WEリーグにはさいたまダービーがある しかし、三菱重工浦和レッズレディースと大宮アルディージャVENTUSの力の差は開いた(無料記事)
藤﨑智子選手の2得点で、大宮アルディージャVENTUSの反撃の芽が摘まれる
2024年11月17日に開催された2024−25 SOMPO WEリーグ 第9節は、三連覇を目指す三菱重工浦和レッズレディースが浦和駒場スタジアムに大宮アルディージャVENTUSを迎えました。大宮アルディージャVENTUSは、まだ、今シーズンの勝利がありません。
赤く染まった浦和駒場スタジアム
J1はインターナショナルマッチウィーク。今週末は一部を除き試合が開催されず、試合に飢えた多くの浦和レッズサポーターが浦和駒場スタジアムに集まりました。サポーターの数の差は大きく、ダービーマッチながら出島(ビジタースタンド)はオレンジに染まり切りませんでした。入場者数は4千202人。その多くは、赤を身につけ、拍手、歓声、声援、歌声、手拍子等で選手を後押ししました。
積極性で局面を打開していった三菱重工浦和レッズレディース
立ち上がりは慎重にゲームに入り、思い切りに欠けていた三菱重工浦和レッズレディースですが、遠藤優選手のドリブルから34分、36分に得点を重ねると、次第にのびのびとプレーする場面が増えていきました。
後半は、若い選手が投入され積極果敢にプレー。中でも藤﨑智子選手が2得点しスタンドを沸かせました。前後半合わせて4−0。三菱重工浦和レッズレディースが危なげなく圧勝しました。順位通りの力の差があからさまに現れる試合となりました。
勝ちたいという気持ちだけでは埋められなかった力の差
大宮アルディージャVENTUSにとって、得点差が示す通りの厳しい結果となりました。一対一の勝負に勝ち、ドリブルで相手を剥がしたときにチャンスは生まれましたが、どうしてもゴール前にかけられる人数を増やせませんでした。
「下を向いている人はいないです。ただ、得点が入らないと……最後のところで『決めないと』というプレッシャーの中で、どれだけしっかりと足を振れるかが本当に大事だと感じています。」
阪口萌乃選手のコメントからは、なかなか勝てないチーム状況に、選手が少しばかり重圧を自覚しているように感じます。チームとして放ったシュートは2本でした。
ウイングバックのスタートポジションでプレーした金平莉紗選手は、4千人以上のファン・サポーターの前でプレーできた充実感があるものの「なかなかボールに触れられなかった。自分たちの時間ですごく短かった」と90分間を振り返りました。そして4失点という結果について「不甲斐ない。悔しさでいっぱいです」と話しました。
さいたまダービーから見えた大宮アルディージャVENTUSの苦悩と光 佐藤百音選手(16歳)が経験した三菱重工浦和レッズレディースの力
三菱重工浦和レッズレディースは、立ち上がりから大宮アルディージャVENTUSの3バックの外に選手を配置し、3バックの幅を広げようとしました。本来であれば、できるだけ3枚で守り、最終ラインを高い位置に設定したかった大宮アルディージャVENTUSはやむを得ず5枚の最終ラインとする時間が長くなっていきました。
「それがちょっと重くなってしまったので、後半は最終ラインを4枚に変えました。4枚でも守れているところはあったし、前半のうちにもっとはっきりしたほうが良かった。」
ピッチ上の選手同士、そして、選手とベンチのコミュニケーションで、今後はもっと早めに対策を打っていきたい考えを話しました。
ゲームを読む力に優れ得点を重ねた三菱重工浦和レッズレディース
ただ、三菱重工浦和レッズレディースの百戦錬磨の選手たちの声からは、対応力でも大宮Vに先手を打っていた印象がありました。
「後半が始まってすぐに、ボールが(外に)出たタイミングで栗島(朱里選手)と話したら、彼女は相手がどのようなシステムになったのかを、こちらから言う前に理解していました。」(楠瀬直木監督)
最後まで戦う姿勢を見せた大宮アルディージャVENTUSだが
あらゆる場面で三菱重工浦和レッズレディースが上回りました。王者と最下位、その力の差は歴然としていました。大宮アルディージャVENTUSは第1節のアディショナルタイムに得点して以降、7試合連続の無得点試合。試練は続きます。ただ、王者を相手に戦えていなかったわけではない。柳井里奈監督は「選手は最後までゴールに向かってくれた」と話しました。次の試合はすぐにやってきます。落ち込んでいる時間はありません。
(2024年11月17日 石井和裕)
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