フクアリを熱狂させた一撃 ジェフユナイテッド市原・千葉レディースが日テレ・東京ヴェルディベレーザを破る WEリーグでは2021−22シーズン以来(無料記事)
スーパーゴールがゴールネットを揺らしジェフユナイテッド市原・千葉レディースを応援するサポーターは絶叫
タイトル獲得の実力を十分に有する両チーム。水曜日に2024−25 WEリーグ クラシエカップ敗退が決定しリスタートの一戦となりました。リーグ戦は、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースがここまで3敗、日テレ・東京ヴェルディベレーザは1敗。無敗で首位のINAC神戸レオネッサから引き離されないために、勝ち点3の欲しい試合です。
キックオフ時刻は午前中の11時30分。ハーフタイムから来場する人が多かったのは、試合終了後に、引き続き行われる J2最終節のライブビューイング(アウェイ・モンテディオ山形戦)が目当ての人がいたからです。ジェフユナイテッド市原・千葉レディースにとっては大切な1日となりました。
両チームの持ち味が出た、ジャズのようなスイングする試合
パスをつなぎながら変化に富んだリズムを奏でて前進する日テレ・東京ヴェルディベレーザと、直後的なビートでゴール前に迫るジェフユナイテッド市原・千葉レディース。対象的なスタイルが見応え十分な試合となりました。
JFA・WEリーグ/なでしこリーグ特別指定選手の2人で右サイドを突破し得点
白熱したゲームの勝敗を分けたのは73分の攻撃。ハーフウェイライン付近で鴨川実歩選手が右に展開。大外で長い距離を走った稲山美優選手(東洋大学在学中)が内側の小林莉々子選手(東洋大学在学中)にパス。ペナルティエリア角から思い切って放ったシュートが逆サイドのネットを揺らすスーパーゴールが生まれました。
その後は日テレ・東京ヴェルディベレーザの猛攻をジェフユナイテッド市原・千葉レディースが凌ぐ展開に。なんとか逃げ切り1−0でジェフユナイテッド市原・千葉レディースが、公式戦7試合ぶりの勝利をしました。
1点が遠かった日テレ・東京ヴェルディベレーザ
敗れた日テレ・東京ヴェルディベレーザの松田岳夫監督は「ゴール前の意識は高めてきたつもり」と話しました。15本のシュートを放ちましたが、最後まで得点を奪うことができませんでした。
「守備意識が低かったわけではなく、ハードワークはできていましたが、ワンチャンスで決められてしまいました。 サッカーというのは、こういうものかもしれないですけれど、人数を多くかけてゴール前を守る相手をどう崩すのかは、我々の課題です。」
大興奮のメインスタンド、心を掴むプレーにつながったハードワーク
ジェフユナイテッド市原・千葉レディースが日テレ・東京ヴェルディベレーザにWEリーグで勝利したのは2021−22シーズンの第18節、味の素スタジアムで2−3と勝利して以来です。試合終了のホイッスが鳴った瞬間に、大歓声が秋空に届きました。試合中も時間が進むにつれてファン・サポーターはヒートアップし、メインスタンド中央付近の席でもプレー中に立ち上がり跳ねて応援する人が現れるほどの熱狂ぶりとなっていました。
応援の声が選手のモチベーションにつながった
なぜ、ここまでスタンドは熱狂したのでしょうか。試合後にイスマエル オルトゥーニョ カスティージョ監督に聞きました。
「今日は男子チームにとってもすごい大事な日です。プレーオフ行きを賭けた最終節です。それも、ファン・サポーターがく熱狂してくれたことにつながっていると思います。そして、選手たちのプレーに観客の皆さんは大きく熱狂してくれたと思っています。一つひとつのボールに対してタイトに行こう、アグレッシブにやっていこうと選手に伝えていました。選手たちは、それをしっかりと表現してくれたと思います。 そのようなプレーが、熱狂というか、すごく声を上げて応援してくれたことにつながったんじゃないかと思ってます。 また、応援してくださる声が選手たちに届き、それもモチベーションになって、選手たちのプレーをより一層タイトに、アグレッシブにやれたと思っているので見に来てくれた皆さんのおかげで勝利できたと思っています。」
長所を伸ばし難局を克服する選手たちの歩みをファン・サポーターが後押し
日テレ・東京ヴェルディベレーザはサイドからのクロスを多用して、最終局面の攻勢を仕掛けました。ゴールキーパーの望月ありさ選手は、勇気を持って飛び出し、ピンチを防ぎました。
「前に出て、しっかり弾き切ることを心がけてきました。以前の試合でクロスへの対応が十分でなかった試合があったのですが、改めて練習を繰り返し身につけてきました。ファン・サポーターの中には、それを見てくださった方もいると思います。心を掴むプレーをするために、毎日、繰り返し取り組むことが大事だと思います。これからもやり続けて試合で出せるようにしたいです。」
ジェフユナイテッド市原・千葉レディースは、ここまで6試合連続失点。なかなか安定した戦いを披露することができていませんでしたが、ここまでリーグ最多得点(平均3.1点)の日テレ・東京ヴェルディベレーザを完封することができました。
「ディフェンスラインだけではなく、前の選手も献身的に守備をし、全員がハードワークできたからこそのクリーンシートだと思いますし、ゴールにもつながったと思います。 」(蓮輪真琴選手)
「一対一を強く行こうという話を監督からされていたので、ファウルになっても良いから止めてやろうというくらいの気持ちでプレーしました。見ている人に気持ちが伝わるプレーが大事だと思います。」(藤代真帆選手) ※実際のファウルは11で多くはない。
「自分たちの持ち味でもある前からのアグレッシブな守備を前半からしっかりとできていました。皆がハードワークでやり切ったことが一体感につながったのだと思います。」(鴨川実歩選手)
ジェフユナイテッド市原・千葉レディースの選手の口調は喜びか弾んでいました。
日テレ・東京ヴェルディベレーザにとって明るいニュースは土方麻椰選手のスタメン復帰
敗れた日テレ・東京ヴェルディベレーザの選手たちは、憔悴し切った表情でミックスゾーンを通過していきました。土方麻椰選手は、怪我でなでしこジャパン(日本女子代表)を辞退した後、初めてのスタメン出場となりました。
なでしこジャパンへの旅立ち 標高2600m富士6合目相当の戦いFIFA U-20女子ワールドカップコロンビア2024 F I F A+で中継
「自分が思っていたより早く復帰できました。また代表に選ばれるには、1試合に複数点をとらなければけないです。チームの勝利に貢献しないといけません。 今日は本当に悔しい試合だったので、これを期に自分にもっと矢印を向けて練習していきたいと思います。」
首位が引き分け上位は混戦となるか
首位のINAC神戸レオネッサが引き分けたため、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースと首位の勝ち点差は7に縮まりました。
「次に当たる相手はサンフレッチェ広島レジーナです。上位にしっかりと勝って、少しでも食い込むための大事な試合です。今回だけでなく、勝ち続けていくことが大事だと思うし、やれば絶対にできると思う。」
望月選手は、次戦に向けた意気込みを力強く話しました。
この好ゲームでWEリーグに初めて触れた人が1人でも多く再来場してくれればと思います。
(2024年11月10日 石井和裕)