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一枚上手だった三菱重工浦和レッズレディース サンフレッチェ広島レジーナの挑戦を退ける(無料記事)

三菱重工浦和レッズレディースとサンフレッチェ広島レジーナ、タイトル保持者同士の第1ラウンドはハイレベルな攻防に

202425 WEリーグ クラシエカップをシードされ水曜日に試合のなかった三菱重工浦和レッズレディース。2024年11月9日は浦和駒場スタジアムにサンフレッチェ広島レジーナを迎えました。202425 SOMPO WEリーグ第8節は晴天に恵まれ、入場者数は2千472人でした。

アウェイゲームのサンフレッチェ広島レジーナは関東二連戦となりました。水曜日に味の素フィールド西が丘で日テレ・東京ヴェルディベレーザと対戦し、その後も広島に帰らず、関東に滞在してこの日の準備をしてきました。

出島(ビジタースタンド)を紫でほぼ埋めたサポーターは今日と明日の対浦和レッズ男女連戦。翌日にJ1第36節の浦和レッズ戦(埼玉スタジアム)を控えます。

三菱重工浦和レッズレディースが勝利し両者の勝ち点差は3に

三菱重工浦和レッズレディースは難敵を21で下して4位を維持。サンフレッチェ広島レジーナは202425 SOMPO WEリーグの初黒星で3位のまま。両チームの勝ち点差は3ですが、三菱重工浦和レッズレディースは試合数が1つ少ない暫定順位です。

塩越柚歩選手が先制点 写真提供:WEリーグ(TOPも)

必要だったシュートを打つこと、相手が嫌がること

前節のノジマステラ神奈川相模原は11の引き分け。三菱重工浦和レッズレディースにしては珍しく、思ったようにシュートを打てない試合でした。サンフレッチェ広島レジーナ戦は、どうしても勝利する必要があるシチュエーションでした。

塩越柚歩選手の芸術弾で試合が動く

一進一退の攻防が続いた61分に塩越柚歩選手の右足から放たれたシュートが、惚れ惚れするような美しい軌道を描いてゴール右隅に決まりました。

「感覚的に、打てそうだなと思って足を振った感じのシュートです。正直、どうしようこうしようとあまり考えませんでした。キックに関しては得意と思っているので、日頃からの感覚的な部分があの一瞬で出せたと思っています。

前節は、内容も結果も自分たちが思っていたものではなかったです。自分たちの得意な攻撃を全然出せなかったから、良い守備をして良い攻撃をという強い気持ちを持って臨んだ試合でした。」

今シーズンの塩越選手らしい、迷いなくゴールに迫るプレーでした。三菱重工浦和レッズレディースは、前線に塩越選手と高橋はな選手が並ぶ布陣でスタートしました。

今シーズンは攻撃の柱として存在感が大きい塩越柚歩選手 写真提供:WEリーグ

高橋はな選手がアクセルを踏み込み、三菱重工浦和レッズレディースの攻撃力を加速

フォワードで起用された高橋選手は身体の強さと前向きなマインドで、チームを前進させました。

「相手のセンターバックが嫌がると思ったので、とにかく走ることだけを意識しました。」

高橋選手は走り続けました。 

「『とりあえず蹴ってくれれば何とかするよ』と、今週は(チームメイトに)ずっと伝えていました。」

高橋選手は、何を心がけて、サンフレッチェ広島レジーナ戦に挑んだのでしょう。

「走ることと魂を持って戦うこと。前を向けたらどんどん仕掛けてゴールに向かうこと、シュートを打つこと。そこは意識しました。」

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念入りに準備したサンフレッチェ広島レジーナだが、三菱重工浦和レッズレディースが上回った

楠瀬監督は試合後の監督会見で試合を総括するにあたり「今日は、高橋が違いを見せたゲームと思っています」と、高橋選手の活躍を賞賛しました。

「高橋が前にいるということは(ロングボールでも前にボールを送る)メッセージ。パスを100本つないでも1点も入らないので、まずはそこに行くところから(前進する方法を)見つけ出して、というところでした。あとは、相手が何をやられたら嫌かというところ。高橋のところを使うことでもう少し有利に試合を進められるのではないかと思っていました。サンフレッチェ広島レジーナは帰陣が早いので、そこ(自陣に戻って守備陣形を整えられてしまうこと)は避けたいと思っていました。

何度の激しく競り合った高橋はな選手(浦和)と市瀬千里選手(S広島R) 写真提供:WEリーグ

圧力をかけて相手に蹴らせるのはサンフレッチェ広島レジーナの持ち味だが

サンフレッチェ広島レジーナの吉田恵監督は「自分たちの持ち味は前から守備をするところ。(相手に大きく)蹴らせて、ディフェンスラインで回収できたシーンもいっぱいありますし狙い通りにいってるところもあった」と一進一退の状況が長かった試合を振り返りました。

ただ、楠瀬監督と三菱重工浦和レッズレディースの選手たちの声を聞くと、三菱重工浦和レッズレディースは、その狙いを理解した上で高橋選手をターゲットとし続け、強度で上回ってセカンドボールを支配するところから縦への推進力を高めようと考えていたことがわかります。そして、その効果の蓄積から、後半に2つの得点をもぎ取りました。

「ボールを保持してるときに押し返すロングボールが増えてしまい、ボールをロストする時間が増え守備に回る時間も増えていました。もう少し前半からボールを動かせる状況が作れれば、逆に浦和さんの足が止まる状況を作れたと思うので、そこは反省材料です。」

吉田監督は、相手の運動量を落とすにまで至らなかったことを悔やみました。今シーズンの初対決では王者・三菱重工浦和レッズレディースが一枚上手の印象を残しました。しかし、73分に三菱重工浦和レッズレディースが追加点を決めた後、79分にサンフレッチェ広島レジーナも持ち味を出し、素早いパスワークから上野真実選手の得点で一矢報いました。

「相手がさらに圧力を強めてきたのでカウンターから得点できました。押し込んだ状態で相手の4バックの間に入ってシュートを打っていこうという話もしてたのでそこをうまく表現してくれて得点までとれたと思います。」

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このカードは、この先もタイトル争いを左右する

今シーズンのタイトル争いをするであろう三菱重工浦和レッズレディースとサンフレッチェ広島レジーナの第1ラウンドは三菱重工浦和レッズレディースに軍配が上がりました。

次のWEリーグへ 一つになるために新ビジョンが必要だった三菱重工浦和レッズレディース

「カップ戦まであと1ヶ月ある」瀧澤千聖選手(S広島R

しかし、すぐに再戦があります。12月8日にPEACE STADIUM Connected by SoftBankで開催される202425 WEリーグ クラシエカップ準決勝です。サンフレッチェ広島レジーナの瀧澤千聖選手は雪辱を誓いました。

「レジーナのサッカーが後半途中からできるようになりました。カップ戦まであと1ヶ月あるので、もっと自信を持って自分たちのサッカーができるようにやらなきゃいけないですし、チーム内の競争も本当に厳しくなってきています。全員が責任を持ってプレーしなければいけないと思いました。」

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次はさいたまダービーの三菱重工浦和レッズレディース

三菱重工浦和レッズレディースは苦しみながらも良い兆しが見えています。次節11月17日(日)に、同じさいたま市を本拠とする大宮アルディージャVENTUSとさいたまダービー。浦和駒場スタジアムに5千人以上のファン・サポーターを集める計画です。

(2024年11月9日 石井和裕)

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