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「『キャプテン翼』ボールはともだちプロジェクト」inカンボジア プノンペン・クラウンFC 市川実季選手が望むジェンダー差別撤廃と女子サッカーにできること

市川実季選手がカンボジアで女子サッカー現役復帰 毎日が充実している理由と広がる可能性

2024年9月20日から21日の3日間、カンボジアの首都プノンペンで、スポーツにおける差別撤廃とジェンダーインクルージョン促進をテーマに全国サッカーキャンプが開催されました。カンボジア全国から、国際NGOワールド・ビジョンの活動地域で子どもクラブのメンバーとして活動している10代の男女210名が集い、サッカーボールを追いかけて汗を流し、差別を無くしジェンダーに関わらず誰もが参加の機会を手にするために必要な考え方やスキルを学びました。

何が市川実季選手を動かしたのか?

今回は、プノンペンとリモートで結び、プノンペン・クラウンFCの市川実季選手にお話をお聞きしました。「『キャプテン翼』ボールはともだちプロジェクト」inカンボジアとカンボジアの女子サッカー事情、女子スポーツ事情をお届けします。

以前とは比べ物にならないくらい拡大している女子サッカーの可能性を東南アジアから見てみましょう。

「『キャプテン翼』ボール」を受け取ったカンボジアのチャイルド・スポンサーシップによる支援地域の子どもたちとワールド・ビジョン・スタッフ 写真提供:特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン

「『キャプテン翼』ボールはともだちプロジェクト」inカンボジアが子どもたちの未来を明るくする

この全国サッカーキャンプは「『キャプテン翼』ボールはともだちプロジェクト」inカンボジアの一環として開催されています。世界の子どもを支援する国際NGOワールド・ビジョンのカンボジア事務所がプノンペン・クラウンFCと協働しています。

画像提供:特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン

「『キャプテン翼』ボールはともだちプロジェクト」とはNFTを購入することで、購入者にも世界の子どもたちにも高橋陽一先生描き下ろし限定デザインのサッカーボールが届くプロジェクトです。ワールド・ビジョンを通して10カ国の支援地域の子どもたちにボールが届けられています。

「女性も男性もサッカーをできると考えています」という女の子も発言の意味するところ

参加したスレイさん(10年生)は将来の夢を語りました。

「このサッカーキャンプに参加できて、とても嬉しいです。別の地域から来た新しい友だちと出会い、試合をしてワクワクしました。試合を通して、相手チームに対して寛容であること、必要な時には謝ること、また、チームメートで一丸となって勝利するためにどのように互いを理解すればよいかを学びました。10歳の時からサッカーを続けています。障壁もありますが、チームの仲間と一緒に、どのようにしてプレーを続けていけるか考えて、乗り越えてきました。私は女性も男性もサッカーをできると考えています。サッカーを続け、大人になって、村を代表する次世代のサッカー選手になりたいです」

スレイさん(10年生) 写真提供:特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン

日本で叶えた夢をカンボジアの少年・少女に語る

式典では、プノンペン・クラウンFCでプレーする市川実季選手が、参加者に励ましのメッセージをお送りました。

「子どもの時からサッカー選手になることが夢でした。サッカーは男性がするスポーツと見なされることも多く、私の夢を笑う人もいました。でも、私はあきらめませんでした。サッカーが大好きだったからです。そして今ここに、サッカー選手として立っています。どうか夢をあきらめないでください。サッカーでも他のことでも、自分を信じて、前に進んでください。ここにいるすべての皆さん、女の子も男の子も、夢を追いかける皆さんを応援します。」

セレモニーの様子 左から市川実季選手、ワールド・ビジョン・カンボジア事務局長、プノンペン・クラウンFCオーナー、在カンボジア日本国大使館池邑さん、JICAカンボジア事務所柳川さん

プノンペン・クラウンFCでプレーする市川実季選手が実感する女子サッカーの可能性

市川選手は、岡山湯郷Belleや朝日インテック・ラブリッジ名古屋でプレーした選手。2023年シーズンで一度は引退しましたが、2024年8月にプノンペン・クラウンFCで現役復帰しています。

市川選手が朝日インテック・ラブリッジ名古屋でプレーしていたときから勤務していた興亜商事、カンボジア法人であるGOMI RECYCLE、 そしてプノンペン・クラウンFCの三社間でカンボジア女子サッカーを応援していくためのパートナーシップが結ばれ、市川選手はプノンペン・クラウンFCでプレーするようになりました。

カンボジア女子サッカーリーグは10チームで行われます。最初のステージは全チームのホーム&アウェイ。上位4チームが第2ステージに進み、チャンピオンを決定します。

引退してから取り組もうと思っていたことを現役選手としてできる喜びがある

市川引退後に「女子サッカーの普及や環境を変えていきたい」「違った立場から行ないたい」「これまで培ったことから還元していきたい」と考えていました。カンボジアでも女子サッカーの普及に役立つことをしたいと思っていました。そして、前例にないことにチャレンジして、道を切り拓いていきたい思いもありました。

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