未勝利 「日本でいちばん、“ひと”が育つクラブ」を目指すマイナビ仙台レディース 苦闘の中の光
WEリーグ最下位 マイナビ仙台レディースに浮上のキッカケはあるのか?
須永純監督は選手思いが強い人物です。試合後の監督会見では、まるで選手の良き兄貴のように語ります。たとえ勝利できなくても、全力でプレーする選手の良いところを記事にしてもらおうと懸命に伝えます。質疑応答でパススピードに関する質問があると「ポジティブなご質問ありがとうございます。」と感謝の言葉から説明に入りました。
今シーズンよりネットメディアの有料記事ではWEリーグより写真が提供されないことになりました。無料記事よりも有料記事の方が無料部分の文字数も多くGoogleの評価が高いため有料記事の閲覧数は多いのですが、自社で撮影人員を投下できず試合の写真を掲載できないことをお詫び申し上げます。申し訳ありません。
チーム編成の痕跡が残る「選手リスト」
主力選手が海外移籍の夢を実現しチームを巣立ち、今シーズンのマイナビ仙台レディースは20歳以下の若い世代が多い編成になっています。選手登録された30人のうち11人の選手が2004年以降の生まれです。ただ、他のチームにも2004年以降に生まれた選手は多い。日テレ・東京ヴェルディベレーザは29人中12人、セレッソ大阪ヤンマーレディースは32人のうち11人ですから、マイナビ仙台レディースだけが、極端に若い選手の人数が多いわけではありません。しかし、WEリーグの公式サイトで「選手リスト」を見ると7名の選手に写真がありません。急ごしらえのチームになっていることが伝わってきます。
失点を減らそうとすると得点できない、得点しようとすると失点が増えるジレンマ
マイナビ仙台レディースは。10月5日に行われた2024−25 SOMPO WEリーグ 第4節に、何が何でも失点しない決意で臨みました。身体を張った守備を徹底し無失点に抑えることはできましたが、その代償も大きく、放ったシュートは0でした。勝てる可能性を感じにくい試合でしたがスコアレスドローに持ち込み、今シーズン、初めての勝ち点を獲得しました。
そして迎えた10月13日、日テレ・東京ヴェルディベレーザのホーム。マイナビ仙台レディースは味の素フィールド西が丘に乗り込みました。今度こそ勝利したい……しかし、力の差は大きく前半から失点を重ね4−0で敗れました。試合終了のホイッスルが夜空に響くと、多くの選手がガックリとうなだれ両膝に手をつけました。日テレ・東京ヴェルディベレーザに自由にボールを回され、消耗する時間帯が多い試合となりました。
個で対抗できず攻撃の起点を潰す守備ができなかった
佐々木里緒選手は81分まで奮闘しました。試合後のミックスゾーン取材では、悔しそうな表情が崩れず、なかなか前を向くことができませんでした。
「内容でもベレーザさんに圧倒されました。自分たちにも、少しはチャンスがあったのですが、精度を上げることができない試合なりました。
前半は、相手のウイングバックに対して、自分たちは4バックでやっていたのですが、中央にボールが入ったときに起点を潰せずサイドに振られ、少し後手になっていました。難しかった。相手が一つ余っていて対応できませんでした。後半は自分たちが5バックになって、少しは対応できたと思いますが、個でやられた感じがします。」
4バックでは日テレ・東京ヴェルディベレーザのワイドの攻撃に対応できなかった
なぜ、前半に試合の大勢が決してしまったのか、監督会見で須永監督に聞いてみました。
「4バックで準備を進めていました。(日テレ・東京ヴェルディベレーザが)中を使って縦パスを刺して3人目の動きでスピードアップしてくるのはわかってました。我々を広げる作業、食いつかせる作業をすることもわかってました。(日テレ・東京ヴェルディベレーザの)3バックの選手はテクニックがあるので、あまり快適にプレーさせないようにウイングの選手を行かせようとしたのですが、中盤のラインを突破されたときにベレーザの選手に、かなりスピードがあって持ちこたえられませんでした。本来は持ちこたえてほしかったのですが、一対一のところでやられてしまいました。
そこでシステムを変えました。2列目からベレーザの選手がスピードを持って入ってくるので守備のラインを5枚にして5レーンを埋めました。元々は、この試合で3バック(5バック)を採用する予定はありませんでした。
後半は相手のウイングバックに対して、こちらのウイングバックで対応することがはっきりしたことによって、ボールを奪った後に、前に出ることができたと考えています。」
強度での対応と4バックのスライドが思うようにいきません。
起点潰しを断念し、最終ラインに5枚を並べて耐え反撃のときを待つ
後半に5枚の最終ラインが安定し、前半は0本だったシュートを後半は3本うつことができました。しかし、勝利にまでは至りません。日テレ・東京ヴェルディベレーザ戦を黒星で終え、2024−25 SOMPO WEリーグの戦績は0勝4敗1分けで最下位。2024−25 WEリーグ クラシエカップも3連敗。今シーズンは、まだ勝利がありません。しかし、須永監督は、選手をかばいます。
「結果がなかなか出ず、本当に苦しいチーム状況です。出場している選手が良くないということではなくて、我々全体で、この現実を受け止めなければならない。力不足のところはありますが、自分たちに矢印を向けて改善するために選手は本当に一生懸命にやってくれています。」
中盤で一対一の劣勢が続くと、どうしても押し込まれる時間が長くなります。最終ラインで守る人数が増えれば前にかける選手の数は少なくなります。なかなか試合の主導権を握れません。それでも前を向きます。
自らの課題を自覚し解決に向けて努力する選手
WEリーグは世界的に見ても中盤のインテンシティが高いリーグです。ここで戦い抜くために、自ら強度不足の課題解決に取り組んでいる選手がいます。遠藤ゆめ選手です。
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