2024−25 WEリーグ クラシエカップ優勝を本気で狙う 日テレ・東京ヴェルディベレーザは速すぎたかもしれない
女王復活を感じさせる力強さ……そして生まれた隙と課題の攻撃スピード
ビッグ3の一角・日テレ・東京ヴェルディベレーザはスコアレスドロー発信となりました。試合後の監督会見の冒頭で、松田岳夫監督はタイトル獲得への意欲を表明しました。
「昨シーズンまでカップ戦は何となくプレシーズンみたいなイメージがあったのですが、(今シーズンは)本当に公式戦。開幕戦として100%の力を出せるように準備してきました。」
「ベレーザらしさ」を感じられた90分間
雨の中の熱戦。NACK5スタジアム大宮を訪れたファン・サポーターは、ピッチ上の激しいプレー、そして、最後まで途切れることのない歓声と絶叫、それに心地よい手拍子の音に酔いしれました。
無冠となった昨シーズンの雪辱を誓う
昨シーズンの2023−24 WEリーグカップはグループステージ敗退。しかも、攻守において噛み合わずグループステージ4位。しかも、最多失点で得失点差が−4という、日テレ・東京ヴェルディベレーザらしからぬ結果に終わりました。松田監督の就任直後だったということもあり、戦術的な理解が選手に浸透せず、ポジションは乱れ、縦パス一本の単調な攻めも増え、ピッチ上は大混乱していました。
それから、しばらくは攻守共に上手くいかず、ファン・サポーターが「ベレーザのサッカー」を見失いかけた時期もありました。
パスをつなぎすぎて遠回りすることなく、それでいて攻め急ぎをしすぎない……その絶妙な落とし所が見つかったとき、日テレ・東京ヴェルディベレーザは美しい得点シーンを生み出してきました。シーズン終盤には、選手も監督も、その手応えを感じていました。昨シーズンは無冠に終わりましたが右肩上がりだったことは間違ありません。
「ベレーザのサッカー」は「勝つこと」と「見ている人が面白いと感じてくれるサッカー」
そして迎えた今シーズンの開幕です。開幕戦の取材を終えた感想は「上手くて強いベレーザが帰ってきた」。かつては絶対女王として日本の女子サッカー界の頂点に君臨した日テレ・東京ヴェルディベレーザが、再び頂点に昇るかもしれません。
U-20世代の主力が不在だがU-17世代のスター候補が魅せた
U-17日本女子代表で活躍した眞城美春(しんじょう みはる)選手、青木夕菜選手は、WEリーグでも十分に活躍できることがわかりました。昨シーズン途中に加入した鈴木陽選手は、アジリティが格段に進歩し、長年、日テレ・東京ヴェルディベレーザでプレーしているかのように滑らかにプレーしていました。予想以上にチーム力は増しています。
猛攻の連続がファン・サポーターにインパクトを残したが……
できるだけ最終ラインを5枚にせずに3バックで守り切ろうというチャレンジも表現できていました。放ったシュートは20本。放たれたシュートは4本。この引き分けは優勝のためにベストな結果ではないものの、悪くないスタートを切れたように感じます。
駆け引きの面白さと大胆なプレーが増えた
最終ラインや中盤の選手がドリブルでボールを運び、少し相手を引き出してパスコースを創り出すプレーや、左右にポジションを動かしながらシュートコースを開ける駆け引きが格段に増えました。そのことについて質問してみると「いや、そう見てもらえるのは非常にありがたい」と、松田監督の表情が少し変わりました。
「その部分は、元々このチームが持っている良さです。それから、今年は特に、そのようなプレーを意識してトレーニングで積み上げてきたつもりです。今、U-20(FIFA U-20女子ワールドカップコロンビア2024)で(5人の)選手がいないですが、若い選手が大胆なプレーに関わってくれるようになってきた。これからいろいろなことが起こせると示せたと思います。」
意外だったシュートが入らなかった理由をめぐるコメント
ただ、シュートが大宮アルディージャVENTUSゴールに入らなかっただけだったように見えました。もっとシュート練習をすれば得点できたかもしれない……と感じてしまうのは、どうやらプロの指導者とは異なる思考のようです。
松田監督は「これから検証する」と前置きしましたが、無得点の原因について心当たりを話しました。
(残り 1834文字/全文: 3874文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ