日本の女子サッカーはスコアレスでも面白い 意地がぶつかるNACK5スタジアム大宮 主将・乗松瑠華選手はタイトル獲得を前提に課題を話す(無料記事)
迫力、気迫、有言実行の激戦にファン・サポーターの熱狂が止まらない2024−25 WEリーグ クラシエカップ
台風迷走による不安定な大気状態の影響で、夕方からゲリラ豪雨が何度も襲うNACK5スタジアム大宮。選手がピッチに登場すると、やっと眩しい日差しが差し込むようになりました。
新戦力を加え、本格的にタイトル争いに参入したい大宮アルディージャVENTUSにとって、大切な2024−25 WEリーグ クラシエカップの開幕戦がやってきました。迎える相手は日テレ・東京ヴェルディベレーザ。今まで一度も勝ったことがない相手です。
得点シーンがなくても局面の戦いに歓声が上がる
双方が攻め合う出入りの激しい試合となりました。どちらも得点のチャンスがある。でも、身体を張ってゴールを死守する。真っ向勝負の戦いは90分間続き、アディショナルタイムに手拍子の音量が一段と大きくなります。そして、主審の小泉朝香さんが試合終了のホイッスルを吹くとピッチは大きな拍手に包まれました。
選手を讃える柳井里奈監督
柳井里奈監督は新体制発表記者会見で「走力のある選手を生かした迫力あるサッカー」の披露を約束していました。有言実行。攻守に迫力あるシーンが連続する試合でした。守備では中を締め、攻撃では相手の背後をとる。
「昨シーズンに(0−7で)大敗したチームを相手に怖がらずに戦えた選手は素晴らしい。」
柳井監督は奮闘した選手を称えました。
迫力あるサッカーをできたが、タイトル獲得のためには課題の残る試合
主将の乗松瑠華選手は手応えを感じながら、試合運びを悔やみました。
「後ろから見ていて、今シーズン迫力があると感じていました。自分は、守備の戻るスプリントはまだまだと思ったのですが、結果、失点ゼロに抑えられたので、すごく見応えある試合になったと思う。何回かチャンスも生まれていたし……でも、迫力ある攻撃とか守備とか、それは、勝つための手段でしかないので、やはり勝てなかったことが悔しいです。
相手にボールを持たれることは想定していたのでカウンターをものにしようという、厳しい試合になると考えていました。やはり、もう少しマイボールの時間がないと『勝ち続ける』ことは難しい。主導権を握らないと、ゴールに迫る回数が少なくなる。」
主将の昨シーズンには使わなかった一言から決意が見える
筆者は、さりげなく盛り込まれた一言を聞き逃しませんでした。乗松選手は「勝ち続ける」と表現しました。大宮アルディージャVENTUSは、目の前の勝ち星を拾うために戦うシーズンを卒業しました。今シーズンは勝ち点を重ねてタイトルを獲得するための戦いを始めています。
笑顔でいっぱいになったNACK5スタジアム大宮
この天候でも入場者数は2千人を超えました。「オレンジサマーカーニバル」記念シャツを着用したファン・サポーターは笑顔でした。試合前の縁日ブースにも、子どもたちの歓声が響きました。大宮に女子サッカーの季節が帰ってきました。そして、初のタイトル獲得のシーズンとなることを望んでいます。
(2024年9月1日 石井和裕)