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なでしこジャパン後任監督選考のプロセス判明 越年の可能性も  どのように決まるのか?3つのポイント

池田太監督「結果がベスト8止まり」と話す佐々木則夫女子委員長の考える、なでしこジャパンが次に目指すこと

日本サッカー協会は、なでしこジャパン(日本女子代表)の池田太監督が8月末で契約満了となり退任することを発表しました。

池田監督はなでしこジャパン(日本女子代表)の監督として指揮した世界の主要大会2つ(FIFA女子ワールドカップ、五輪)をいずれもベスト8に導きました。優勝もしくはメダル獲得には届かなかったものの、東京2020大会で引き離されたかに見えた世界一との距離を再び紙一重のところまで近づけました。

パリ五輪は準々決勝敗退となったなでしこジャパン(日本女子代表) Photo by Ke X→@ke780kx5 instagram→@ke_photo410

宮本恒靖会長からのメッセージ

日本サッカー協会の日本サッカー協会の宮本恒靖会長は感謝のコメントを発表しています。

「池田監督には2017年にU―19日本女子代表の監督に就任していただき、2018年のFIFA U-20女子ワールドカップで若い選手たちを率いて初優勝をもたらしてくれました。2021年からはなでしこジャパンの監督として世界一を目指す選手たちを継続して成長させてくれました。パリオリンピックでは優勝したアメリカに惜しくも延長戦で敗れ、ベスト8で大会を終えることとなりましたが、池田監督のマネジメントによりチームとしての結束が生まれ、厳しい戦いを勝ち切る姿を幾度となく見せてくれました。池田監督のもとで経験を積んだ選手たちが、これからの日本の女子サッカーをより発展させていってくれると信じています。池田監督には今後も日本サッカーの発展に力を貸していただければと思います。太さん、本当にありがとうございました。」

日本サッカー協会 宮本恒靖会長 Photo by Ke X→@ke780kx5 instagram→@ke_photo410

選手と共にここから先の景色を見たかった池田太監督

池田太監督は日本サッカー協会を通して、次のようなコメントを発表しました。

「就任してから2年11ヶ月、なでしこジャパンとして一緒に戦ってきてくれた選手、スタッフ、そしてサポートしてくださったパートナー企業の皆様、温かく、熱く応援してくださったサポーターの皆様に感謝の気持ちを伝えたいです。ワールドカップ、オリンピックという世界大会を通して、チームとしてできることを増やし、成長してこられたと思います。なでしこジャパンとしてさらに上に進み、選手と共にここから先の景色を見たかったです。なでしこジャパンがこれからも多くの人に勇気と感動を届け、子どもたちの夢見る場所であるよう願っています。ありがとうございました。」

池田太監督  Photo by Ke X→@ke780kx5 instagram→@ke_photo410

注目を集めたのは、この決定がどのような経緯で行われたか。そして、これから、どのようなプロセスで、何を基準に、いつまでに後任監督が決まるかです。なぜなら、パリ五輪から帰国した直後の羽田空港で、佐々木女子委員長が、このように発言していたからです。

「(なでしこジャパンは)どのチームにも意外にボールを握られている現状があります。池田監督のチームのみならず、やはりU-17、U-20含め、もっと判断とか技術的な要素を高めていかないといけない。今、世界の女子サッカーはボールを動かす力、技術、戦術的な要素も急激に伸びています。堂々と戦うというところを踏まえると、今大会では反省の部分が見られました。

次の大会では、自分たちでボールをしっかり握って相手を破る部分をやっていかないとなでしこの未来はないのではないか。海外の所属チームではやっていないのに、なでしこでプレーすると、いつもボールを支配されてカウンターサッカーの試合をやらなければならないという(海外チームでプレーする選手の)ストレスは日本の少女たちに見せるようなサッカーではないというところもあります。しっかりと僕の責任のもとに、成長させなければならないと考えています。」

守備における一対一の強さも印象に残った長谷川唯選手(マンチェスター・シティ)   Photo by Ke X→@ke780kx5 instagram→@ke_photo410

急遽発表された監督退任

まず、今回の監督退任発表は急に公表されたという点が重要です。2024年8月21日16時にプレスリリースで発表。その後、16時30分から佐々木則夫女子委員長が取材対応。経緯と理由、さらには後任監督の候補者について話しました。プレス各社は当日に、佐々木則夫女子委員長の取材対応があることを把握しました。そのため、佐々木女子委員長の取材対応は「急遽こういう形になりまして、お集まりいただきましてありがとうございます」という挨拶から始まりました。

日本サッカー協会 佐々木則夫女子委員長

佐々木女子委員長によると、池田監督に契約満了による退任を伝えたのは8月19日。池田監督に契約を更新したいという「思いはあったんじゃないかなとは僕も感じています」と、佐々木女子委員長は話しています。

なぜ、池田太監督は契約満了なのか、そして、どのように後任監督は決まるのか?3つのポイント

1 評価 「サッカー的な要素」の中で新たな人選が必要だろうと判断した佐々木則夫女子委員長

まず、気になるのは池田監督の評価です。最新のFIFAランキングはパリ五輪準優勝のブラジル女子代表の一つ上の7位。参考まで、男子のランキング7位はオランダ代表なので世界の強豪の一角といえる位置です。

佐々木女子委員長は「監督としての資質の部分については、選手、スタッフとのコミュニケーションに問題はない。非常に良い雰囲気の中でなでしこジャパンを指揮してくれた」と話しました。ただ、一方で「結果がベスト8止まり」「日本でもっと女子サッカーが話題になるところまで引っ張ることができなかったのは残念なこと」という表現をしました。

そして、契約満了の理由を「『サッカー的な要素』の中で新たな人選が必要だろうと判断しました」と話しました。

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