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WEリーグの先陣を切って始動 大宮アルディージャVENTUS 強さを求め「先頭に立ってやっていきたい」仲田歩夢選手ら選手・監督コメント 

個の強さからチーム力向上を図る今シーズンの大宮アルディージャVENTUS

WEリーグは、2024年8月31日(土)に開幕する2024−5 WEリーグカップからスタートします。各チーム、編成の大詰めを迎えていますが、いち早く、大宮アルディージャVENTUSが7月7日に始動しました。

西澤日菜乃選手

西大宮練習場に行ってみると、トレーニング開始時刻・9時30分の前に、新シーズンの到来を待ち侘びた多くのファン・サポーターが足を運んでおり、ピッチに入る選手たちを歓迎する準備をしていました。逆にスタッフは、うちわを配布し、ピッチサイドに集まったファン・サポーターを歓迎しました。

短時間で密度の濃いトレーニング

トレーニングは、柳井里奈監督の「暑い顔しなーい!」という声で動き出しました。この日のさいたま市は最高気温36.7度。酷暑もあってか10時42分に全体練習を終了。グループを分けて短時間に密度の濃いトレーニングをできるように準備してきた印象です。

新加入選手の多い大宮アルディージャVENTUS。ウォーミングアップの冒頭では、グループごとにリフティングとバレーボールのトスを同時に続け、頭を使いながら会話が生まれるメニューもありました。選手は次第に打ち解け、緊張感がほぐれていきました。

乗松瑠華選手

「個の強さも絶対に大事」仲田歩夢選手の決意

特に、目についたのは仲田歩夢選手のグループです。仲田選手が大きな声を出し、率先して動き、ムード作りを買って出ている印象。やや大人しいイメージだった大宮アルディージャVENTUSのトレーニングが、パッと明るくなりました。

トレーニング後の仲田選手にお話をお聞きすることができました。

「何人かの主力メンバーが抜けて変化があると思っています。少し前までは、ベテランの選手が抜けてしまう影響への不安が大きかったです。でも、こうしてチームで集まって、今は、どのようなチームになっていくのか本当に楽しみな気持ちが大きいです。」

引き締まった表情から、気持ちの変化と強い決意がうかがえます。

「今までは、年上の選手に頼りすぎて、甘えていた部分を少なからず感じていました。もっと自分が『チーム全体に目が届く選手』になっていかないとチームとしてまとまりができないし強くなっていかないと感じました。今までと同じでは駄目だと思っています。

若い選手たちには遠慮せずプレーしてほしいと思います。新加入の選手は、おそらく、まだ緊張があったり馴染めていなかったりする部分があると思います。できるだけ良い雰囲気でサッカーをできるようにしていくのは、自分たちの役目だと思います。先頭に立ってやっていきたいと思っています。」

仲田歩夢選手

仲田選手のお話は、チーム全体に係る事柄が多かったことが印象的です。リーダーシップをとろうという意識の現れかもしれません。最後に、個人的なことを聞いてみました。今シーズン、どのようなプレーを披露してくれるのかについてです。キーになるのは「個」と「強さ」です。この二つの単語は、この後の取材にも出現します。

「チームが強くなっていくためには『個』の『強さ』も絶対に大事だと思うようになってきました。もちろん、チーム力は本当に必要ですが、もっと『個』が強くなっていくことが、今のVENTUSには必要だと思います。自分自身で(ピッチ上で)できることを増やして、それによってチーム力を高めることができたら、もっと勝利に近づくと思っています。気持ちを前面に出したプレーをしたいと思っています。」

井上綾香選手

「早くチームに馴染めるようにしたい」期待の新加入選手

では、新加入の選手は、トレーニング初日を終えて、どのような感想を持ったでしょうか。2人の選手にお聞きしました。

「強さ」が特徴「左サイドの狩人」金平莉紗選手

まず、ご紹介するのはちふれASエルフェン埼玉から加入した金平莉紗選手です。どのような気持ちで、始動に臨んだのでしょうか。「まだ緊張が残っていたので早くチームに馴染めるようにしたい」とトレーニングを振り返ります。

金平莉紗選手

聞きたかったのは、偉大なレジェンドがプレーしてきたポジションに挑む金平選手の心境です。大宮アルディージャVENTUSの左サイドバックといえば鮫島彩選手の印象が強いですが昨シーズンで引退しています。

「自分は鮫島さんの足元にも及ばないので、自分のできることをやってチームに貢献したいです。『金平莉紗のちょっと違う左サイドバック』を見てもらえたらと思っています。」

そう謙遜するものの、金平選手は自身の強みを意識している選手です。

「目の前の人に負けないことに、すごくこだわっています。それを続けつつも、チームによって求められる部分が違うので、頭を使いながら監督の言うことを体現できたらと思っています。」

昨シーズンはちふれASエルフェン埼玉で頭角を現しリーグ戦22試合に出場。対人の強さを求めるチーム方針に応え、レギュラー・ポジションを勝ち取りました。 WEリーグが公開したスタッツを見るとインターセプト数がリーグ2位。元々はセンターバックでのプレーを得意としていましたが、ちふれASエルフェン埼玉でサイドバックとしての才能を開花させました。今では「左サイドの狩人」です。

仲田選手の言う「個」「強さ」を新天地で具体的に示す選手となるかもしれません。金平選手が「強さ」を発揮すれば、左サイドバックは、新しい大宮アルディージャVENTUSを象徴するポジションになるはずです。

クレバーで戦術眼に長けた鈴木日奈子選手

そして、もう一人は鈴木日奈子選手です。昨シーズンは得点力不足に苦しむAC長野パルセイロ・レディースの前線で存在感を示しました。トレーニングについて聞いてみると「長野より全然暑い!」と驚いていました。

この日はピッチ2面を使用しました。

「すごく良い環境でトレーニングをできているので、皆さんに感謝しなければいけません。やるからには上を目指してやっていこうと思います。」

昨シーズンの大宮アルディージャVENTUSは、中央に構えるストライカータイプのフォワードを固定することができず、攻撃のバリエーションが広がりませんでした。ディフェンダーと駆け引きしながら「個」を発揮できる鈴木選手にかかる期待は大きいです。

「キックの質やシュートの精度を見てほしいと思います。昨シーズンよりたくさん点をとってチームに貢献できるように頑張っていきたい。」

山梨学院大学時代の恩師・田代久美子さん(現・三菱重工浦和レッズレディースコーチ)は鈴木選手を「負けん気が『強い』クレバーで戦術眼に長けた選手」と表現していました。そして、努力の人です。逆境でも勝負する鈴木選手の「強さ」が大宮アルディージャVENTUSに新しい味を加えるかもしれません。

鈴木日奈子選手

「プロである以上は勝つためにやらなければいけない」柳井里奈監督

最後に、お話をお聞きしたのは柳井監督です。ベテラン選手の移籍・引退で、新たな「チーム一丸」を作り直すことになります。選手、一人ひとり責任感が変わることに期待しています。

「メンバーが変わったところもあります、変えずに戦いたいところもあります。それをどう持っていくか楽しみなことの方が多いと思います。」

柳井里奈監督

「個」をしっかり伸ばしチームの力としたい

取材が進んでいくと、仲田選手のお話と柳井監督のお話が、しっかりと連動していることがわかってきました。おそらく、それが、今シーズンの大宮アルディージャVENTUSのチームとしての個性となっていくのでしょう。

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