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地域密着・なでしこリーグ1部 スフィーダ世田谷FC入場者数新記録達成 「世田谷をもっと楽しくする」ための挑戦

3千316人を集め、今季平均入場者数が1千人を超えたスフィーダ世田谷FCの挑戦

2024年6月22日に駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場で行われたスフィーダ世田谷FCのホームゲームは熱気に包まれていました。特に、コンコースにはキッチンカー、テーブル、展示車両等が並び、WEリーグやJリーグのスタジアムでも、なかなか感じられないほどのハイテンションな空気。魅力あふれるイベントとなっていました。世田谷区の人口は約94万人。全国平均と比べれば世帯収入は高い層が多く、日本の女子サッカーでは、随一のおしゃれファミリーが集まるホームゲームとなります。

フェアプレーはなでしこリーグの誇りの一つ

サミットマッチとして開催された駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場での伊賀FCくノ一三重戦

この試合の入場者数は3千316人。スフィーダ世田谷FCのクラブ創設以来の入場者数最多記録を更新しました。熱戦も繰り広げました。しかし、代表を務める稲田能彦さんは、この入場者数を「ちょっと残念」と話します。目標は5千人でした。監督を務める神川明彦さんは試合後に「エンタメ性っていう意味でゲームの質を上げていかないと、僕としてはちょっと……。」と、話しました。

今シーズンのなでしこリーグはインテンシティの高い試合が多い

町クラブは、なぜ、ここまで成長したのか?

スフィーダ世田谷FCは、どこを目指ししているのでしょうか。なぜ、二人は、このような発言をしたのでしょうか。そして、なぜ、トータルで見れば、発言はポジティブで夢や希望に満ちているのでしょうか。

スフィーダ世田谷FCは、202223シーズンの入会審査結果を最後に、WEリーグについて発信することがなくなりました。町クラブという出自を意識し、地域における地に足がついた活動を大事に挑戦と成長を続けるスフィーダ世田谷FCのピッチ内外を取材してみました。

一度は格闘家へ転身し、今シーズンから復帰した堀江美月選手は150試合出場を達成                

サミットマッチとして地元・世田谷区の駒沢オリンピック公園でホームゲームを開催

今シーズンのスフィーダ世田谷FCは、地元・世田谷区にある駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場で2試合を行いました。1試合目は6月8日にバニーズ群馬FCホワイトスターを迎え50で圧勝。2千614人のファン・サポーターを集めスタンドは熱狂に包まれました。

サミットをはじめ、多くの「スフィーダコミュニティ」の皆さんの協力で実現した試合

なでしこリーグ1部の難しさを語った常田麻友選手(伊賀)

しかし、2試合目の伊賀FCくノ一三重戦は、コンパクトで激しい守備でプレッシャーを受けて苦戦。パスミス、簡単に放り込んでしまうプレー選択、突破できるシチュエーションで安易にコーナーキックを狙う弱気なプレーが目立ち01で完封負けを喫しました。

対する伊賀FCくノ一三重・主将の常田麻友選手は疲れを見せながらも晴れやかな表情で試合を振り返ってくれました。

「最近は、自分たちのやりたいことをやるというより、我慢し、相手のやりたいことを消しながら戦っています。」

チームが好調の理由を語った常田麻友選手(伊賀)

サイドチェンジの意識を強くトレーニングに取り組んでいるとのこと。コンパクトな陣形でせめぎ合う落ち着きのない試合の中でも、見つけたスペースを有効に使うことができました。

「前半戦はなかなか勝てず苦しんでいたのですが、ヴィアマテラス宮崎に勝てたことで自信にもなったし、それがチームの勢いにもなっていると思います。」

伊賀FCくノ一三重は、負けなし街道を走り続けた首位・ヴィアマテラス宮崎に初めて土をつけたチームです。今シーズンは、伝統のインテンシティ高い攻守に、ピッチ上での判断力による上乗せを披露しています。逆に、スフィーダ世田谷FCの選手には迷い判断が遅れるプレーが目立ちました。神川監督は「自信が感じられなかった」と話しました。

長身の盧惠妍(ノ へヨン)選手がハイボールをことどとく跳ね返した。 盧惠妍(ノ へヨン)選手 はアンダー年代の韓国女子代表経験がある。小柄な藤田桃加選手もスピードと強さで存在感を見せた

スフィーダ世田谷FCのサッカーに必要なのは「挑戦」

毎試合後に行われる神川監督のインタビューには、必ずと言って良いほど「世田谷をもっと楽しくする」という表現が盛り込まれています。アマチュアチームですが、選手も監督も、常にファン・サポーターを意識しています。

勝っても負けても、試合後にピッチサイドで子どもたちと記念撮影を行う

その意味においても、攻め手に欠けた伊賀FCくノ一三重戦は悔いの残る敗戦となりました。「ゲームの質を上げていかないと」……それはプレーする選手にとって耳の痛い監督コメントです。しかし「世田谷をもっと楽しくする」ためを考えれば、神川監督の偽りのない素直な発言だったのでしょう。

加工食品メーカーをはじめ、さまざまな企業、団体からマスコットが集合した

「世田谷をもっと楽しくする」ために舞台裏で行われる努力

ここからはピッチ外に目を向けます。試合後、稲田代表に、スフィーダ世田谷FCの目指す姿をお聞きしました。

町クラブとしてスタートしたスフィーダ世田谷FCには年代別のアカデミーチームに加え「ママさんチーム」「ブランインドサッカーチーム」があり、主にシニアを対象にした「ウォーキングサッカー体験会」も開催しています。なぜ、活動が広範囲になっているのか、その理由は「世田谷区には、そうした人たちが住んでいるから」とシンプルに話します。稲田代表は「スフィーダコミュニティ」を大切にしています。

女性、ファミリー層の来場が多いスフィーダ世田谷FCのホームゲーム

「スフィーダコミュニティ」を育ててきた

スフィーダ世田谷FCは全てのJリーグクラブと同様に地域密着を大きく掲げます。世田谷区の区民、働く人、関わりを持つ人、世田谷区で活動する企業・団体と共に歩みます。それを最も強く感じさせるのはオフィシャルパートナー(スポンサー)の紹介です。スフィーダ世田谷FCはスタジアムでオフィシャルパートナーを「スフィーダコミュニティ」の一員として紹介するのです。それだけでも、十分に興味深いのですが、さらに驚くことがあります。

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