パリ五輪へ行く18歳のなでしこジャパン 古賀塔子選手(フェイエノールト) 人生の岐路は自分で決断してきた
JFAアカデミー福島、フェイエノールト、決断は自分でしてきた18歳 次の舞台はパリ五輪女子サッカー
2024年6月14日13時、日本サッカー協会は第33回パリオリンピック競技大会に挑むメンバーを発表しました。
「ワールドカップに帯同した後、自分が成長するために海外のクラブに所属し試合に関わり、また、我々なでしこジャパンの活動では、トレーニングもしくは国際親善試合の中で強さ、スピード、ボールを持ち運べる、ビルドアップに関われる良さが見えてきましたので、今回の18人に選ばせていただきました。」
古賀塔子選手を選出した理由を、池田太監督はメンバー発表会見で説明しました。古賀選手はFIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023ではトレーニングパートナーとして現地に帯同しました。今回は狭き門の18人のメンバー入りです。4日前、メンバー入りへ意欲を見せていました。
「パリ五輪のメンバーに選ばれたら自分の良さを出して、チームに貢献したいです。」
古賀選手はJFAアカデミー福島出身。2023年11月になでしこジャパン(日本女子代表)で初出場(17歳)。第19回アジア競技大会(2022/杭州)日本女子代表ではレギュラーとしてプレーし優勝の立役者に。2024年1月からオランダに渡りフェイエノールトでプレーする古賀選手は、すでに国際Aマッチ8試合に出場しています。しかも、出場した試合には経験を積むための国際親善試合だけではなく、パリオリンピック2024 女子サッカー アジア最終予選・朝鮮民主主義人民共和国(DPR KOREA)女子代表戦でのスタメン出場も含まれています。
パリ五輪メンバー発表直前に18歳が語った自らの意思
ここまでは順風満帆、望みは高く自己評価は抑えめ。古賀選手の発する言葉は少なく常に落ち着き払っています。しかし、時折、見せる笑顔が18歳のあどけなさを語ります。そんな古賀選手が1時間近くも話してくださいました。
インタビューを終えた感想は「日本の女子サッカーの将来をこの人に預けてみたい」でした。今回は、古賀選手がロッテルダムで得た経験と未来への展望をご紹介します。
「対人守備が自分の武器」と語るなでしこジャパン(日本女子代表)の新世代
—スペイン遠征(ニュージーランド女子代表戦)はいかがでしたか?
古賀—3ー4ー3のポジションから流動的に4ー4ー2になって、前から奪いに行くやり方をチャレンジしました。五輪の前に新しいやり方を増やしたので、良い準備になったと思います。個人的には守備の部分は対人に強く行ったり、予測したりできたと思うのですが、ビルドアップの部分で縦パスをつけたり運んだりは、もっとできるはずだと思っています。
—古賀選手が、今、1番の強みと考えていることを教えてください。
古賀— 対人守備が自分の武器です。それから、シュートブロックをして自分の身体にシュートを当てるプレーには自信を持っています。結構、当てている感覚があります。
ロッテルダムでサッカー漬けの毎日を過ごす
—オランダ・ロッテルダムの生活はいかがですか?
古賀— スタディオン・フェイエノールト(収容人数・約5万人)の、すぐ近く、歩いて行ける場所に住んでいます。住まいはクラブが決めてくれました。フェイエノールトの男子の試合は、いつもスタンドが埋まるくらいの人気です。オランダは日本よりもサッカー文化の浸透が強いと感じますね。
—ロッテルダムはどのような街ですか?
古賀— 実は、あまり街に行っていなくて……。
—トレーニング施設と自宅の往復以外は寄り道しないサッカー漬けの毎日ですか?
古賀— そんな感じですね。
個人で守る場面が多いオランダで挑戦を続ける
—1月にフェイエノールトに合流されたので、秋春制シーズンの後半戦をオランダの女子プロサッカーリーグ(エールディヴィジ)でプレーされました。どのようなシーズンでしたか?
古賀— どの選手も身長が高く、身体能力が高いので、守備の部分では、日本だったらボールを奪えるはずのところで抜かれてしまったこともありました。球際のところやセットプレーは怖い(強い)印象があります。
—身体の大きさだけではなく、日本と違うやり方への戸惑いを感じたことはありますか?
古賀— 日本のサッカーと違い、組織的に守るより、個人で守る場面が多いので、初めは「難しいな」と思いました。加入前にトレーニングに参加したときから個が強いとは思っていたのですが、正式加入してトレーニングを繰り返してみたら、やはり個が大きくて(笑)難しい印象を持ちました。
向上心を形成したJFAアカデミー福島での日々
—古賀選手はJFAアカデミー福島のご出身(第13期生)です。JFAアカデミー福島は施設に足を踏み込むと、自分から課題を見つけて向上しようとする空気に溢れていると感じます。今の古賀選手の向上心は、JFAアカデミー福島で学んできた日々の影響を受けていると思いますか?
古賀 — たくさんの先輩がなでしこジャパン(日本女子代表)に入っています。自分の世代なら、一緒にプレーしていた(石川)璃音さん(11期生)が先にプレーしています。JFAアカデミー福島にいると常に刺激があると思います。皆が、自然と上を目指せる環境にあると思います。ピリついているような空気ではないと思いますけど(笑)。
—自然な感じですかね。
古賀— そういう感じです。
自らセレクション参加を希望した小学生
—古賀選手は、なぜJFAアカデミー福島に進まれたのですか?
古賀— 小学生のときに所属していたチームの先輩でJFAアカデミー福島に進んだ人(十川ゆき選手 第8期 現・SSDナポリ)がいたのでJFAアカデミー福島の存在を知りました。それでセレクションに参加しました。
—自らセレクションに参加したいと思ったのですか?
古賀— はい。自分から受けたいと思いました。正直、合格するとは思っていなかったので「受けるだけ受けてみよう」くらいの気持ちでセレクションに参加しました。
—合格したときの気持ちはいかがでしたか?
古賀— 受かると思っていなかったので嬉しかったです(笑)。
—それは小学生のときの出来事です。より高いレベル、より面白い人たちと一緒にプレーしたい気持ちだったのでしょうか。オランダでのプレーに挑戦する際の気持ちと共通するところがあるかもしれませんね。
古賀— 自分がより成長できる道を選んだのだと思います。
比較対象は国内のチームだけだったフェイエノールトへの移籍
—フェイエノールトへの移籍は、どのように決まったのでしょうか?JFAアカデミー福島のときと同じようにご自分で希望されたのでしょうか?
古賀— FIFA U-17女子ワールドカップ インド2022でのプレーをフェイエノールトの人が見てくれたことがトレーニング参加につながりました。準々決勝でスペインに負けて、力の差を感じていました。海外でやってみたい気持ちが出てきた頃でした。
リードしていたのですが87分に失点し、アディショナルタイムに逆転されました。2失点とも、今、バルサでプレーしているヴィッキー・ロペス選手に決められました。勝負強さがすごいと思いました。全体的に悪くはなかった試合だと思うのですが、1失点した後に、そのまま続けてしまった。1対1で延長戦に入ったらわかなかった試合だったと、今になって思います。
「普通にちゃんと削りにくる」手荒な歓迎が好印象に
—トレーニングに参加し、フェイエノールトに加入を決めた理由は何だったのでしょうか?
古賀— 正直、WEリーグのチームに加入するか、めっちゃ迷っていましたが、自分がより成長できると思って海外でプレーすることにしました。
—フェイエノールト以外の海外チームの選択肢はいかがでしたか?
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