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帰国なでしこジャパン 14日発表パリ行き18人5つのポイント 欧州経験で変化を見せた選手も

帰国したなでしこジャパン(日本女子代表)選手、監督を取材し、メンバー選考の最新情報を整理

いよいよパリ五輪のメンバー発表が近づいてきました。なでしこジャパン(日本女子代表)はスペイン遠征から帰国。パリ五輪メンバー発表前、最後の強化試合となる国際親善試合のための遠征でした。

ムルシア市にあるエスタディオ・ヌエバ・コンドミーナでニュージーランド女子代表と2試合を実施。第1戦は20で勝利。第2戦は41で逆転勝ち。実力面では一枚劣る相手との連戦ですので、重要なのは結果よりも内容です。

誰がパリ行き18人に選ばれるのか?

WE Love 女子サッカーマガジンではメンバー予想をしません。しかし、メンバー選考の分かれ目となるポイントがどこになるのかを、帰国直後の取材を通して考えました。選手・監督の声を元にお伝えします。

パリ五輪後は海外でのプレーを目指している清家貴子選手(浦和)

さらに高みを目指し新たな課題が見つかった今回のスペイン遠征

「守備のやり方でテーマを持って2戦できたのも収穫でした。」

大会が近づく中、戦術的な完成度が今ひとつというファン・サポーターの声がありましたが、池田太監督は新たな狙いを持って、この遠征に臨んでいたようです。

池田監督の率いるなでしこジャパン(日本女子代表)は「3バックと4バックを併用する」と語られることが多いですが、単にシステム通りに選手を並べるだけではなく、例えば、対戦相手がどちらかのサイドの圧力を高めてきたときに、どのような配置で対処するかといった細かな戦術の精度を上げています。

ゲームを安定させたいとき、何がなんでも得点を奪いに行くとき、相手の攻勢を受け止めるとき……それぞれで、やり方は変わります。今回のテーマは五輪が近づいていることもあり、詳細が明かされていませんが、システムの併用を伴う守備戦術のテストがあったと考えられます。

スムーズに相手の状況に対応するための最適解を探す

熊谷紗希選手(ASローマ)は「上手くいったところと上手くいかなかったところがあった」と話します。具体的には、相手の布陣が自分たちのシステムと上手く噛み合っていないときに、修正を決断するタイミングやプロセスについてです。

セリエAのベストイレブン入りが発表された熊谷紗希選手(ASローマ)

長谷川唯選手(マンチェスター・シティ)からも熊谷選手と近い話がありました。チームとして目指したやり方にチャレンジすることは大事ですが、場合によっては相手の状況に合わせ、短時間に修正することも必要です。

「最初の10分、15分で『本当にできないな』と感じたときに変えるタイミングが難しかったです。自分自身の中で変える選択をして、関わる選手に伝えようとしたのですが、全体にその意図をしっかり伝え切るほどの時間もなかった。選手が倒れたときに時間を作るのも選択の一つなのかな、と試合が終わった後には感じます。」

長谷川唯選手(マンチェスター・シティ)

FIFA女子ワールドカップより5人少ない18人にメンバーを絞り込む

五輪はFIFA女子ワールドカップよりも登録選手数が少なく、メンバーを18人に絞らなければなりません。FIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023と比べると5人も少なくなります。そして、出場国数が12しかないため、どの試合も息を抜けません。なでしこジャパン(日本女子代表)が戦うC組は、スペイン女子代表、ナイジェリア女子代表、ブラジル女子代表と曲者揃いです。熊谷選手や長谷川選手が話したように迅速な対応力が求められます。

成長を続ける選手たち

特に成長を感じた選手がいます。千葉玲海菜選手(アイントラハト・フランクフルト)と浜野まいか選手(チェルシー)です。プレーの幅が広がり、これまで、あまり見せなかったプレー選択を披露。2選手とも、第2戦で得点しています。

海外移籍でポジショニングが明らかに変わった千葉玲海菜選手(フランクフルト)

千葉玲海菜選手は、FIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023を終え、ドイツ・ブンデスリーガ女子の名門・アイントラハト・フランクフルト・フラウエンに移籍しました。

アグレッシブな姿勢とディフェンスラインの裏への抜け出し、そして、躊躇なくシュートを打つプレーが特徴です。しかし、今回の遠征では、これまで、あまり見せなかったオフ・ザ・ボールの動きを見せました。

千葉玲海菜選手(アイントラハト・フランクフルト)

得意としていたオフサイドラインギリギリでの駆け引きだけではなく、選手と選手の間に立ち位置を取る絶妙なポジション選択が目立ちました。その結果、中盤の選手からパスを引き出せる機会が増えたように感じます。ドイツで欧州流のポジショニングの概念を叩き込まれ、対戦相手の動きを見ながら適切なポジションをとる習慣がついてきました。

「ポジショニングのところは意識してやっていました。相手のライン間に立つことを、今まではあまり意識せず、(自分から)取り組んでこなかったです。苦手意識みたいなところが少しあったのですが、思い切ってチャレンジしてきました。」

千葉選手は「自分がなでしこの中心選手になってやりたい」という強い気持ちでブンデスリーガに新天地を求めました。その成果は戦術理解の面で表れ始めています。しかし、本人は、まだまだ道のりの半ばにしか到達していないと考えています。

「ドイツの環境に慣れたというか(トレーニングに)ついていった結果こうなったので、まだまだフィジカル面も、スピードも足りないと思っています。けれど、(フィジカル面やスピード面等は)日本にいたときよりは成長できた部分なのかなとは自分でも思っています。」

「マリオのスター状態へ!」意外な選手からヒントを吸収している浜野まいか選手(チェルシー)

浜野選手はイングランド女子プロサッカーリーグ・WSLのチェルシーでプレー。出場機会は多くありませんでしたが、5連覇達成に大きく前進する得点をアストン・ヴィラ戦で決め、強いインパクトを残しました。チェルシーの名将・エマ・ヘイズ監督は「彼女はチェルシーの将来にとってとても大きな選手になるだろう」と話しています。

浜野まいか選手(チェルシー)

今回の遠征で、これまでとの違いを見せたのは第2戦の同点ゴール。ミドルレンジから見事にコントロールしたシュートを逆サイドの隅に決めました。これまでの、がむしゃらなプレーとは一味違う、確かな自信を感じさせる落ち着きでした。

「所属チームで日頃から世界のトップレベルの選手とトレーニングできていることも自信につながっているのですが、結局は自分の行動が自信につながっているのだと思っています。日頃の練習から意識してチャレンジし、それが、今回の点につながったのかな。」

プレーの引き出しが増えた要因の一つとして、浜野選手は、肩の怪我を治療している期間にたくさんの選手のプレーを観察してきたことを挙げました。中でも、チームメイト1名の名前を具体的に挙げました。意外な名前です。

浜野選手が特に観察していたのは、チームメイトのローレン・ジェームズ選手でした。足の裏を使ったヌルヌルとしたイメージのドリブルでボールを前に運ぶテクニシャン。しかし、強靭な肉体を誇り、キックにパンチ力があり、ミドルレンジからも難なく得点を決めるスター選手です。これまでの浜野選手のプレースタイルとは対極に近い存在です。

「あの選手は、何か違う別次元にいるというか、ああいう選手になりたいと、いつも思わせてくれます。『ボールをとりに来るならとりに来い』くらいのドリブル、とりに来ても跳ね返すというか、ボールを持ったら、もう『マリオのスター状態』です。」

メンバー選考を左右する5つのポイント

なでしこジャパン(日本女子代表)は、パリ五輪メンバー発表前の全ての活動を終えました。浜野選手は、今の心境を語りました。

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