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WEリーグ 二つの「呪縛」から解放されホームスタジアム初勝利  苦闘ノジマステラ神奈川相模原の歩み 

笑顔に包まれるノジマステラ神奈川相模原。ホーム最終戦で嬉しい今季ホーム初勝利

試合後の大賀理紗子選手は喜びで声を弾ませていました。

「やっと、相模原ギオンスタジアムで勝てました。試合内容よりも、今日は勝てたことが全てだと思うので本当に嬉しい。ホッとしています。

ファン・サポーターの皆さんはいつも温かいです。それでも結果が出せない自分たちの情けなさというか……今シーズンは苦しかったです。次は、喜びの瞬間を増やせるシーズンにしたいと思います。勝つことで得られるものがたくさんあるので、それを求めていきたいと思います。」

小笠原唯志監督代行は、いつもより大きな声で監督会見に臨みました。

「今シーズンは苦しいときがほとんどでした。試合後にサポーターのところに挨拶に行くと選手が申し訳ない顔をしている。我々スタッフもそうでした。勝てなければ袋叩きに合うようなことも受け入れるつもりでしたが、サポーターは『頑張れ』と言い続けてくれる。『すごいな』と思っていました。感謝しています。感謝という言葉では言い表せないような思いです。クラブは一体です。」

チームリーダーの大賀理紗子選手 写真提供:WEリーグ TOP写真も

「勝てないプレッシャー」「ノジマのパスサッカー」……振り解くまでの21節

202324 WEリーグでの初勝利は第17節。テクニカルダイレクターだった小笠原さんの監督代行の就任から約3ヶ月後、開幕から約5ヶ月後、そして、最後のリーグ戦勝利から約1年が経過していました。

相模原ギオンスタジアムで勝利したのは、それからさらに4試合後。ホーム最終戦の第21節でした。なぜ、ノジマステラ神奈川相模原は、ここまで苦しんだのでしょうか。「勝てないプレッシャー」「ノジマのパスサッカー」……この二つは、まるで「呪縛」のようでした。監督・選手は「呪縛」を振り解くための努力を続けました。

第21節は見事な逆転勝利 写真提供:WEリーグ

走る、つなぐ、菅野将晃監督が目指した「ノジマのパスサッカー」

昨シーズンのノジマステラ神奈川相模原は、取締役でもある菅野将晃監督が4年ぶりに指揮を執りました。戦績は勝ち点19の9位でした。課題は守備のオーガナイズと強度。前任の北野誠監督のサッカーとは守備戦術が一変し、選手が前線からボールを追う頑張りが命綱となりました。

菅野監督はクラブ立ち上げの中心人物。ノジマステラ神奈川相模原のフィロソフィーの土台を築いた大きな存在です。昨シーズンは、監督復帰により、菅野監督を慕う選手が再結集しました。

移籍、引退……主力選手の離脱でチーム作りに出遅れ

ところが、今シーズンの開幕を前に、チームを去る主力選手が相次ぎました。

インサイドハーフもしくはボランチで攻守のスイッチ役となる杉田亜未選手は、チーム唯一の現役なでしこジャパン(日本女子代表)メンバーでした。アルビレックス新潟レディースに移籍し、今シーズンは新潟躍進の立役者となりました。

同じくアルビレックス新潟レディースに移籍した石田千尋選手は第19回アジア競技大会(2022/杭州)の日本女子代表に選ばれ大きく飛躍しました。

そして、松原有沙選手が引退。アンカーとしてもセンターバックとしても、チーム随一の守備力があり、なでしこジャパン(日本女子代表)でも経験を積んだ中心選手です。

特に守備の強度と組織形成に大きな影響を及ぼすセンターラインから代表クラス3選手が離脱した穴は、誰が見ても大きなものでした。

開幕間近の2023年夏に小笠原さんがテクニカルダイレクターに就任したものの、十分な補強は間に合いませんでした。そして、GMを兼務する菅野監督は、これまでストライカータイプの選手に頼らないチームづくりをしてきました。守備の強度と絶対的なエースが不足する状況で、進化の著しいWEリーグに挑むことになりました。

パスサッカーを目指すがボール支配率は9位、パス本数も9位

「ボールも人も軽快に動き、皆が連動してゴールに向かう『ノジマのパスサッカー』」の完成を目指しトレーニングを重ねました。しかし、ボール奪取の位置が高ければ、パスをつなぐほど相手ゴールに迫るまでの時間を要することになる。ボール奪取の位置が低ければ、ビルドアップが後ろからとなり、危険な位置で相手にボールを奪い返されるリスクが高まる。202324 WEリーグが開幕し試合を重ねても、その悪循環から抜けることができませんでした。

WEリーグが発表した前半戦スタッツによるとボール支配率は9位、パス本数も9位。理想と現実のギャップの大きさが見てとれます。最後に指揮した2024年1月6日・第7節のサンフレッチェ広島レジーナ戦を終え、菅野監督は、監督会見で意外な発言をしました。

「戦い方を少し変えて挑みました。今シーズンは勝てない中でもゲーム自体は握れていることが何試合もありましたが、そこで失点をしてしまったり、勝ち切れないという状況が続いていたので、今日の前半はあまり手数をかけないで攻撃しようということにトライしました。守備の部分でも、リスクを負わないように辛抱強く戦えたと思います。」

ウィンターブレイクで監督解任、小笠原唯志さんが監督代行に就任 

2024年2月8日、ノジマステラ神奈川相模原は菅野監督を解任し、テクニカルダイレクターの小笠原さんが監督代行を務めると発表しました。ここまでの戦績は6敗1分。小笠原監督代行は菅野監督が湘南ベルマーレで監督を務めた際にコーチだった間柄です。馬場正臣社長は「現状を打破し、さらなる変化と進化をすべき」とコメントしました。

また、小笠原監督代行がテクニカルダイレクターとしてピックアップしていたなでしこリーグの有力選手の中から、ウィンターブレイクに、ストライカータイプの大竹麻友選手(スフィーダ世田谷FCより)、片山由菜選手(ニッパツ横浜FCシーガルズより)を加えました。

選手の成長を促す起用と戦術の変更

リスタートしたものの苦戦は続きます。小笠原監督代行は目の前の勝負だけに固執せず、選手にチャンスを与え、チーム全体を育成していきます。

「一つ残念だったところでいえば、途中から出た選手がフルスプリントでボールに食らいついていったか、ギリギリのところで足を出すところをお見せできたか。』(第8節・日テレ・東京ヴェルディベレーザ戦02)

「今より下はないので、勇気を持ってトライし続けることをやってほしいと思います。」(第9節・ちふれASエルフェン埼玉戦12)

「僕が声を掛けてこうするああすると言って動かすよりも、本人たちが理解して、ファイティングポーズを取って、球際で負けないという気持ちをもっともっと出して欲しかったです。」(第10節・三菱重工浦和レッズレディース戦05)

「選手は下を向いていませんし、私も下を向くわけにはいきません。」(第11節・AC長野パルセイロ・レディース戦11)

ここまでで、12チームで編成するリーグ戦一巡目を終えました。その後も「力およばず敗戦」が続きます。小笠原監督代行のコメントからは、選手による新たなアクションへの期待が伝わります。

何が何でも勝ちたいというチーム全員のベクトルが大敗で芽生える

転機になったのは、意外にも第16節・INAC神戸レオネッサ戦での大敗でした。小笠原監督代行は監督会見で「一番残念なゲームになった」と、来場したファン・サポーターにお詫びしました。「熱意というか汗をあまり感じなかった」と試合を振り返りました。

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