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日テレ・東京ヴェルディベレーザがチラリと見せた「大人の女子サッカー」と「若さゆえの隙」 ビッグ3対決は浦和が追いつき引き分け #女子サカマガ WEリーグ ピックアップ(無料記事) 

女子サッカーの頂点・WEリーグ屈指の好カードから見えたもの

WE Love 女子サッカーマガジンがWEリーグから一試合をピックアップ。今回は、バックスタンドが満員となった日テレ・東京ヴェルディベレーザと三菱重工浦和レッズレディースのビッグ3対決(第3節 味の素フィールド西が丘)をお届けします。 

2023−24 WEリーグ初のビッグ3対決 

先発平均年齢28.64歳の三菱重工浦和レッズレディースに挑む日テレ・東京ヴェルディベレーザの先発平均年齢は21.91歳。しかし、前半は、日テレ・東京ヴェルディベレーザが三菱重工浦和レッズレディースの前線の選手を巧妙に誘い出し翻弄しました。11分に土方麻椰選手が技ありの先制点。24分に山本柚月選手がエースの貫禄すら感じさせる追加点。三菱重工浦和レッズレディースの清家貴子選手は「前半の守備の入り方が悪かった」と、苦戦の原因を捉えています。 

わかっていても通されてしまう日テレ・東京ヴェルディベレーザの鋭い縦パス 

日テレ・東京ヴェルディベレーザは最終ラインでパスを回し、三菱重工浦和レッズレディースの前線の守備の選手が食いつくと、生まれたスペースに鋭い縦パスを通します。それをスイッチに一気に攻撃のギアを上げることを繰り返しました。 

三菱重工浦和レッズレディースは、このパス回しのルートを事前に把握しており、前から圧力をかけてボールを奪い取る作戦を立てていました。しかし、日テレ・東京ヴェルディベレーザの宮川麻都選手のポジションが絶妙で、それに釣られて圧力をかけきれない選手が生じ、何度もピンチを招きました。 

若いチームには似つかわしくない、日テレ・東京ヴェルディベレーザの大人のサッカーがスタンドを沸かせました。その縦パスを引き出すキーパーソンになった菅野奏音選手は、前半は狙い通りのプレーができたと考えています。 

「(木下)桃香がちょっと低い位置をとったときに自分が高い位置で縦パスを受け、相手のフォワードの守備ラインの奥に出て行くところはできたので、これからも継続していきたいと思います。」 

日テレ・東京ヴェルディベレーザの攻撃の鍵を握る菅野奏音選手 写真提供:WEリーグ  TOP画像も

三菱重工浦和レッズレディースの楠瀬直木監督も「一つズレてしまうとベレーザは上手なので菅野、木下が空いてしまい起点を作られました」と振り返ります。それに加えて、この試合では、試合前に守備よりも攻撃について重点的に指示を出したため、今一つ選手がマークを徹底できなかった面もあったようです。 

若さゆえにコントロールできなかったスピード 

日テレ・東京ヴェルディベレーザの松田岳夫監督は「良い形でゴールを奪えた。自分たちがゴールを目指すところでは非常にパワフルに動いていけた」と、素晴らしい立ち上がりの前半を振り返ります。ただ、そこに落とし穴がありました。 

「ゴールできたことでスイッチが入ってしまったのは事実。そこでプレーの質を上げ、グラウンド内で(試合の動かし方を)コントロールできる選手が出てこないと、経験のある(三菱重工浦和レッズレディースのような)チームにはこういう結果になってしまう。」 

山本柚月選手は得点後もスピードと迫力で三菱重工浦和レッズレディースに脅威を与え続けた 写真提供:WEリーグ

日テレ・東京ヴェルディベレーザの選手たちの若さと勢いが、三菱重工浦和レッズレディースに付け入る隙を与えたのかもしれません。緑色のユニフォームの選手たちは60分頃からプレーの精度を欠いていきました。 

楠瀬監督は「最初からフルオープンに近いゲームだったので、お互いに選手がかなり消耗した」と見ています。後半は経験に勝る三菱重工浦和レッズレディースの選手たちが状況を的確に判断しプレッシャーをかけ、次第に、日テレ・東京ヴェルディベレーザ陣内深くにボールを押し込んでいきました。 

日テレ・東京ヴェルディベレーザの選手たちは、前半と変わらず、ボールを奪うと縦に鋭いパスを出し、三菱重工浦和レッズレディースのゴールに向けてチャレンジを続けましたが、ボールを奪う位置が深いためロングカウンターが増え、さらに消耗を増していきます。その結果、71分に菅澤優衣香選手、85分に塩越柚歩選手、二人の交代出場選手が得点。三菱重工浦和レッズレディースは辛くも引き分けに持ち込むことができました。 

得点した塩越柚歩選手と菅澤優衣香選手 写真提供:WEリーグ

松田監督は、日テレ・東京ヴェルディベレーザの選手たちは「プレッシャーの中でできなかったというよりは、自分のプレーを出せなかったと思っています」と話しました。その表現は、選手には、やや厳しく感じるかもしれないものでしたが、実は口元だけには微かに笑顔の一部が見え隠れしていたように感じます。心の奥底では一定の手応えを感じていたのかもしれません。試合全体を振り返り「守備の時間は長くなりましたが、3ラインの意識で全員がコンパクトで守るところは3節までで一番良かった」と話しました。そして、会見の最後に、改めて目指すサッカーを宣言しました。 

「しっかりとスピードコントロールを使い分けられるようにしたいですが、今までのベレーザの『ゆっくりボールを動かしながらゴールを目指すサッカーにスピードとパワーを付け足す』というより『スピードとパワーのサッカーを求めながら今までの良さを出していく』」 

ファン・サポーターに、新しい日テレ・東京ヴェルディベレーザの姿が見えた前半でした。しかし、まだ、このサッカーのイントロを感じただけにすぎなかったようです。 

(2023年11月23日 石井和裕) 

WEリーグ開幕直前 日テレ・東京ヴェルディベレーザをホームタウンの北区が激励 地域の強みを引き出せる女子サッカーへ

 

 

 

 

 

 

 

 

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