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『魔女の宅急便』の島で知った日本の女子サッカーの特徴 大井美波選手(P18I Kフットボール)

大井美波選手 撮影:Magnus C Lydahlさん

スウェーデン女子代表はコンスタントに好成績を収めています。FIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023で4位になりました。過去の戦績は準優勝1回、3位が3回。オリンピックでは、直近の2大会連続で準優勝しています。クラブチームにも強豪が存在し、ウメオI KU E F A女子チャンピオンズリーグで優勝2回、準優勝3回。ユールゴーデンI Fダムとティーレソーも準優勝の経験があります。女性の人口は日本の8%ですが、女子サッカーの競技人口は日本の約4倍。女子サッカーが身近にある女子サッカー大国といえます。

大井美波選手 撮影:Magnus C Lydahlさん

これまで、多くの日本人選手がスウェーデンでプレーしてきました。現在、P18I Kフットボールでプレーする大井美波選手もその一人です。

『魔女の宅急便』で描く街のモチーフになったヴィスビーの街並み

P18I Kフットボールのホームタウンはヴィスビー。バルト海で最も大きな島・ゴットランド島で最大の都市です。ゴットランド島はバルト海交易の中心地で、中世にはヴァイキングの支配下となり栄えました。今も、その面影を残しています。ヴィスビーの街は城壁に囲まれ、13ヶ所の教会の廃墟も残ります。街全体が世界遺産になっておりたくさんの観光客が訪れます。

教会の廃墟

日本では『魔女の宅急便』の舞台となるコリコの街を描く際のモチーフになった街として知られています。そういえば、魔女のキキの年齢は教会の廃墟の数と同じ13歳ですね。

バルト海最大の島で奮闘する日本人選手

大井スカンディナヴィア半島から船で3時間くらいかかります。なので、アウェイ遠征は、毎回、船での移動になります。朝6時半に集合し、14時くらいにキックオフする試合を終えて帰ってくると日付が変わっています。

毎回、そのスケジュールなのは大変ですね。移籍される前から把握されていたのですか?

大井移籍して1年目は船移動だと説明されていました。ただ、その1年目のシーズンにアマチュアリーグの1部リーグ(プロリーグから数えて3部)に昇格することができました。それで飛行機移動に変更されると聞いていたのですが、いまだに変わらず船移動を続けています。「来年はこうなるよ」と言われて、ならないままに次のシーズンを迎えるのは「海外あるある」じゃないですかね。思った通りにならないことはよくあります。最初は、その緩さに困惑していましたが、多分、今は自分も日本にいたときよりも緩くなっていると思います(笑)。

大井美波選手 提供:大井美波選手

スウェーデンに来てプレーの引き出しがすごく広がった

大井大学卒業のタイミングで海外のチームに加入してプレーしたいと思っていました。自分が早稲田でプレーしていたときは、ユニバーシアード代表に早稲田から選ばれる人がとても多かったです。でも、私は選ばれませんでした。海外の選手と対戦できないのがとても悔しく「もう、自分から海外に行ってプレーするしかない」と思うようになりました。ところが、大学4年生のときに前十字靭帯の怪我をしてしまいました。卒業のときには治っていたのですが、治療のブランクの後にすぐに海外でプレーするのは怖かったので、しばらくは国内でプレーすることにしました。そのうちコロナ禍が到来してしまい、やっと2021年の夏に日本人選手を獲得したい監督から連絡をいただくことができました。当初はスペインに行きたいと思っていたのですが、監督の熱弁と現地の環境に惹かれてスウェーデンに行くことを決断しました。

大井美波選手 提供:大井美波選手

欧州でプレーして、予想と違うと思ったことはありますか?

大井日本人選手はテクニックに優れ、サッカーI Qが高いといわれています。でも、日本にいるときは、それを感じることがありませんでした。なぜなら、それは日本でプレーする選手のベーシックだから。

ラウクは海沿いに点在する奇岩群 提供:大井美波選手

大井でも、スウェーデンに来るとベーシックが日本とは違いました。どの選手も足が速い、強い。皆、賢くて戦術理解をできます。ところが、基礎の「止める・蹴る」のところは日本とかなり異なります。最も驚いたのはリフティングをできない選手がいることですね。日本では小さい子どもにボールを与えると一人でリフティングをすることから始まります。でも、こちらは競争やゲームのようなことから始まります。パスやリフテインングのような基礎技術を身につけることはあまり行いません。

別の見方をすると「スウェーデンは対戦相手や競争相手がいるシチュエーションからサッカーに入る」「日本は自分や仲間とやるシチュエーションからサッカーに入る」。サッカーへの入り方が違うとも言えますね。

大井確かに常に競争しています。だからなのか、対人には強いですし負けん気も強いですね。

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