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N Y、北欧、バルセロナ経由 元女子プロサッカー選手・品田彩来さんがビジャレアルCF引退後に藍染め工房N O R A B I(ノラビ)設立で気づいたこと

品田彩来さんはN Yマジック(アメリカ)、クングスバッカD F F (スウェーデン)、オーランド・ユナイテッド(フィンランド)、R C Dエスパニョール(スペイン)、ビジャレアルC F(スペイン)等、海外のチームで活躍した元女子プロサッカー選手です。アメリカの奨学金制度を利用し入学したリンジー・ウィルソン大学在学中は、N A I Aカレッジの全米ナンバーワン女子サッカーチームを決めるN A I Aチャンピオンシップを2度も制覇。世界を9年間渡り歩いてきました。

2020年1月に引退した品田さんは、日本古来の技術を用いた藍染でアートや生活雑貨の製作をするブランド・N O R A B Iを設立。千葉県唯一の村である、長生村で工房を開いて活動してきました。これから規模を拡大し、新たな創作活動に入るため、工房を千葉県大網白里市に移転。現在、クラウドファンディングで資金を集めています(https://motion-gallery.net/projects/norabi_indigo)。このクラウドファンディングには多くの女子サッカー関係者が賛同し、サステナブルなアートが生まれる環境づくりを後押ししています。

大網白里市は、全国有数のサーフポイントである九十九里浜に面し、蛤と鰯が名物。豊かな自然と生活が調和する地域です。品田さんは、ここで何を始めようとしているのでしょうか。そして、世界各国で女子サッカー選手として得た経験は、製作にどのように活きているのでしょうか。

クラウドファンディングの返礼品の一部

アマゾンの大火災を見て生まれたモヤモヤから女子プロサッカー選手を引退

品田藍染には、たくさんの種類がありますが、N O R A B Iでは「正藍染(しょうあいぞめ)」と「本藍 染(ほんあいぞめ)」という2種類の日本古来の技法を用いています。正藍染は、室町時代にすでに記録があったとされる、日本の天然藍の中でもかなり古いものです。他の染料では出せない、独特な青が特徴です。

お写真を拝見するとかなり淡い色もありますね。

品田独特の淡い色味でも色落ちや色移りがしにくいです。藍染をやろうと思い立ったときに、ひと言で「藍染」といってもさまざまな技法があることを知り、いろいろと調べているうちにたどり着いたのがこの二つの技法でした。藍染としてよく知られる紺色だけでなく、澄んだ空のような水色も出せるのが魅力の一つだと思っています。

正藍染で生まれるN O R A B Iの青

なぜ、女子サッカーを引退し、正藍染の世界に入ったのですか?

品田2019年の大晦日にバルセロナの年越しイベントでアマゾンの大火災の様子が放映されているのを見て大きな衝撃を受けました。自分の中にリンクするものがいっぱいあり、そこから出てきた感情と、今まで抱えてきた感情が混ぜ合さってしまい、それから2週間くらいモヤモヤを行ったり来たりしていました。しかし、環境問題をはじめとしたこれらの問題としっかりと向き合って、さら にアクションを起こすには、プロサッカー選手との両立が難しいことも自覚していました。「自分が本当にやりたいこと、やるべきことはなんだろう?」と自問自答を繰り返した結果、引退という道を選びました。

品田彩来さん

品田引退後、日本に帰ってから「一体自分には何ができるだろう?」と模索する日々が始まりました。その中で草木染めのことを知り、さらに藍染の魅力にはまっていきました。選択肢の一つとして、サッカーでのキャリアを生かしてアメリカの大学院で学び直すことも考えたのですが、そのときにはもう藍染の魅力に取り憑かれていましたね()。こうして振り返ると、引退から正藍染を始めるまでは短かったです。

海を思わせるデザイン

「もっとスポーティでカジュアルな藍染が欲しい」

染め具合のムラの作り方が面白いと思うのですが、デザインにこだわる工夫はありますか?

品田もっとスポーティでカジュアルな藍染が欲しいと思っています。自分の内面に向き合って、ただのアパレルではなく、一つずつこだわって作ることで唯一無二の価値が生まれると考えています。

異なる色合いの青

正藍染の青は空や海を連想する青

品田小さい頃から絵が好きで、ずっと描き続けてきました。大学には生物学で入学したのですが、途中からグラフィックアート専攻に変更しました。選手時代にいろいろな地域で生活することで、世界的に有名なアートと多く触れ合うことができたこともN O R A B Iを生み出せた要因の一つです。

乾くと青くなる藍の葉

品田北欧は素朴でシンプルなデザイン、ビジャレアルはタイルが有名です。バルセロナとニューヨーク はストリートアートのグラフィティがすごく好きでした。ミロ、ピカソも好きでバルセロナの美術館で現物を見ることができました。ガウディのタイルの使い方も好きで、インスピレーションとして自分の中に取り入れているのかもしれません。

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