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岩渕真奈選手に寄り添う人、仕事、自然 新アウェイユニフォームを纏いFIFA女子ワールドカップへ(無料記事)

FIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023の開幕まで約4ヶ月。見事な自然の風景に恵まれたオーストラリアとニュージーランドの共同開催となる歴史的な大会に向け、アディダスは各国女子代表のユニフォームを発表しました。ユニフォームの着想の源となったのは自然。各国ならでは、多様な自然景観は、その国の誇りです。大胆でエキサイティングなデザインを見ると、女子サッカーもまた、各国の誇りを賭けて戦う地球規模の祭典であることを再認識します。

世界各地の見事な自然環境を讃える各国のユニフォーム

なでしこジャパン(日本女子代表)のメンバーとして4度目の大会出場を目指す岩渕真奈選手は日本から遠く離れ、ロンドンで暮らし、トッテナム・ホットスパーFCウィメンでプレーしています。

ウィメンズ・スーパーリーグ(W S L)には世界各国のスター選手が集まり熱戦を繰り広げています。今回は、なでしこジャパン(日本女子代表)のアウェイユニフォーム発表直前のタイミングに、ロンドンでの暮らしとFIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023への思いをお聞きしました。そして、日本で女子サッカーを楽しむプレーヤーたちへのメッセージもお預かりしています。最後まで、ご覧ください。

岩渕真奈選手(トッテナム・ホットスパーFCウィメン)

日本には桜の季節がやってきましたが、今、ロンドンはどのような気候ですか。

岩渕寒いです。「1日中ずっと良い天気」という日がなかなかないのがロンドンの気候です。でも、その分、青空が見えたら、その日はなんだかラッキーな感じになります。

FIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023でなでしこジャパン(日本女子代表)が着用するアウェイユニフォーム

岩渕選手に寄り添う人

イングランドでは、今、女子サッカーの一大ムーブメントが起きています。イングランド女子代表が地元開催のU E F A欧州女子選手権イングランド2022(ユーロ)を優勝し、かつてない程に女子サッカーが注目を集めているのです。スピードがありフィジカルの激しさもあるウィメンズ・スーパーリーグ(W S L)を戦う岩渕選手に寄り添うのは熱心な地元のファン・サポーター。そして、家族です。

イングランドでは、たくさんのファン・サポーターが集まるスタジアムでプレーされる機会も比較的多いと思いますが、そうしたスタジアムの雰囲気や空気感は岩渕選手にどのような影響を与えてくれますか? 

岩渕日本にはないスタジアムの雰囲気を感じます。試合を終えて自分の映像を見ると、スタンドがワンプレーごとに盛り上がってくださっている。「やっぱり良い雰囲気だな」と感じることは多いですね。応援されることが、本当に力になります。サッカー選手である喜びや幸せを感じます。

たくさんの方に応援していただいていると思いますが、それとは別に、身近なところで寄り添ってくださる方もいらっしゃると思います。これまでのプレーヤー人生を、いつも自然に支えてくださっている方はどなたですか?

岩渕やはり家族だと思います。

若くして第一線でデビューされているので(なでしこリーグ2008で新人賞:当時15歳)、ずっと陰ながら支えてくださっている感じでしょうか?

岩渕陰ながらというか……割としつこめに応援はしてもらっているかな(笑)。ありがたいというか、とても助けてもらっています。でも、その分、心配をかけていると感じることもあります。それほど自分から頻繁に連絡を取らない方なのですが、あまり連絡しないと「連絡がなかったから心配だったよ」と言われることもあります。そうですね……だから、3日に一度くらいは連絡をしますね。

岩渕選手に寄り添う仕事

日本から多くの選手が活躍の場を求めて欧州に渡りました。その理由の一つに恵まれた施設、環境、スタッフ体制があります。岩渕選手に寄り添ってサポートしてくれるのは女子チームのスタッフだけではありません。サッカーの母国の土壌深くにまで根付いたフットボール・クラブのカルチャーがイングランドの女子サッカーを支えているのです。

たくさんのスタッフが選手と共に試合を作ってくださっていると聞いています。スタッフと選手の関係や雰囲気で日本と違うところがあれば教えてください。

岩渕トッテナムに来て(2023年1月にアーセナル・ウィメンから期限付き移籍)まだ日が浅いのでアーセナルを例に話をさせてもらいますが、やはりクラブの規模が大きく、使用する施設が男女で一緒なので、クラブ全体としてのあり方というか雰囲気があります。男子が勝てば(女子チームも含めて全体の)雰囲気がものすごく良いし、女子が勝っても雰囲気が良い。本当に一つの目標に向かってクラブにいる人たち全員がいろんな方面から動いてくれていると感じますね。クラブの中だけではなくサポーターも含め、イングランドのサッカー文化を感じています。

岩渕選手に寄り添う自然

発表された新しいアウェイユニフォームは美しい日の出から着想を得たデザインとなっています。朝焼けの美しいグラデージョンに、FIFA女子ワールドカップ優勝を示す星が輝いています。まるで、山頂から眺める明けの明星のようです。岩渕選手のお気に入りの自然景観について聞いてみました。

岩渕やっぱり天気は意識しますね。イギリスは天気がコロコロ変わるし、青空がなかなか見えないということもあって「なんか天気っていいな」って思いますね(笑)。ロンドンにいると、なかなかきれいな日の出を見られないですね。

日本人の自然観や日本文化に大きな影響を与えてきた富士山

ヨーロッパにいらっしゃることで、逆に思い出す日本の自然景観はありますか?

岩渕やはり富士山かな。日本を象徴する美しい景色だと思います。個人的には海が好きなので、きれいな海の景色も良いですね。宮古島の海が好きです。本当にきれいで透き通っています。それから、日本は四季がはっきりしているのが良いですね。イギリスだと「寒い季節」と「ちょっと温かい季節」がある感じです(笑)。

宮古島の美しい海

3月23日(木)に発売される新しいアウェイユニフォームは、山頂から眺めた美しい日の出に着想を得たデザインです。袖を通してみて、どのような印象をお持ちになりましたか?

岩渕かわいいですね。パステルカラーのトーンが良いと思いました。それから、日の出って、なんだか良いじゃないですか。一日の始まりに差し込む日差しを見て「今日は良い天気だな」って感じて、前向きな気分になれます。日の出が与えてくれるパワーがあると思います。新しいアウェイユニフォームのデザインと日の出のパワーを自分たちに取り入れられるようにプレーしたいと思いました。

サッカーの楽しさを感じる瞬間が増えてきた。チーム全員で楽しむ姿を見せたい。

岩渕選手がサッカーをプレーすることで感じる楽しさについて教えてください。

岩渕まず、サッカーをするのが楽しいというのがベースにあります。勝利に向かってチームを作り上げる時間も好きなので、1週間のトレーニングをして、その結果、週末の試合で勝てたら嬉しいです。

以前の楽しさと今の楽しさに違いはありますか?

岩渕若いときの楽しさは本当にピンポイントだったと思います。極端な例で言うと、若いときはチームが勝っても自分のプレーが良くなかったら楽しくなかったこともありました。それから、いろいろな経験をして、その分、サッカーに「難しいな」と感じるところも増えてきました。だから、何か小さなことでも「これ、やっておいてよかったな」と感じる瞬間をいくつも持てるようになったと思います。今は「上手くいかなかったことが上手くいくようになった瞬間」も楽しいですね。

日の出の時間帯に撮影し、朝焼けと新しいアウェイユニフォームが見事にマリアージュ

7月にFIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023が開幕します。楽しみにしているファン・サポーターがたくさんいます。皆さんにメッセージをお願いします。

岩渕自分たちは全力でプレーします。皆さんに良い結果を届けられるようにサッカーを楽しんでプレーしたいと思っています。チーム全員で楽しむ姿を見せられるように頑張るので、皆さんも楽しんで応援してもらえたら嬉しいです。

ありがとうございます。最後にもう一つお願いです。明るい未来が広がる日本のプレイヤーたちにもメッセージをお願いします。

好きなことをやれるのは本当に幸せなことです。好きなことを楽しむことで、上手くなったり強くなったりできると思うので、とにかく楽しく!いろいろと難しい壁もあると思いますが、それを乗り越えたら、多分、また楽しいと思えるときが来るので、諦めずに何事も夢を追いかけてやってもらえたらいいかなって思います。

(インタビュー:2023年3月16日 石井和裕)

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