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今回の #女子サカ旅 は足袋から始まる古カフェ系 熊谷市スポーツ文化公園陸上競技場に行く前に行田市に立ち寄る

ちふれASエルフェン埼玉のホームゲームは熊谷市スポーツ文化公園陸上競技場で開催されます。さいたま市や東京都内から向かうと、それなりの移動時間を要します。どうせ行くならば、何か観光をしたり美味しいものを食べたりしてみたい……そんな気持ちになる距離です。

もちろん、熊谷市内にも魅力的な観光地やスイーツがあります。でも、今回は周辺に足を伸ばしてみようと思います。まずは、ちょっと手前の行田市を覗いてみましょう。市の中心部にある駅は秩父鉄道の行田市駅です

秩父鉄道・行田市駅

「十万石まんじゅう」のルーツは行田市にある

行田市には昔からの蔵がいくつもあります。そのうちの一つ、築100年を優に超す元呉服商の店蔵が、あの「うまい、うますぎる 埼玉銘菓十万石まんじゅう」でお馴染みの十万石行田本店になっています。埼玉県民がこよなく愛する「十万石まんじゅう」のルーツは、旧忍藩十万石の地・行田市にあったのです。このような蔵を探して街を歩くのが行田市観光の楽しみ方です。

十万石行田本店

「行田足袋」の街が舞台となった日曜劇場『陸王』

行田市はテレビドラマと映画で有名になりました。読者の皆さんもご存知かもしれません。テレビドラマは2017年にT B S系列で放送された日曜劇場『陸王』です。老舗足袋業者の四代目社長がこれまで培った技術を活かしたランニングシューズの開発に乗り出す物語です。行田市は足袋の生産地として知られています。最盛期には、全国に流通する約8割もの足袋が生産されました。現在でも足袋産業の灯は消えず、数社が「行田足袋」を作り続けています。「行田足袋」は肌触りが良く丈夫で長持ち。筆者も愛用しています。まずは「行田足袋」を探す #女子サカ旅 から始めましょう。

「行田足袋」をアピールするタペストリーやのぼりが目立つ

熊谷市スポーツ文化公園陸上競技場でのキックオフは14時。博物館や足袋職人の実演を見に行くほどの時間はないので「観光物産館ぶらっと♪ぎょうだ」へ。入り口に美しい花手水が飾られています。

「観光物産館ぶらっと♪ぎょうだ」の花手水

市内を歩き回る前に、ここで足袋を購入します。お出かけ用の派手な柄の「行田足袋」を選びました。これなら、デニムの着物にも合わせやすそうです。色鮮やかなデザインも「行田足袋」の魅力です。店内にはミシンも展示されています。ひとまず、旅の思い出を先に購入し、安心したところで、次は映画のお話です。

伝統的な柄のみならず大胆なグラフィックを取り入れたものもある「行田足袋」

石田三成の大軍に屈しなかった『のぼうの城』

2012年に映画化された『のぼうの城』は行田市の中心部にある忍城(おしじょう)が舞台です。のぼう様(でくのぼうという意味)と呼ばれる成田長親が率いる500人が豊臣軍の2万人の大軍勢に戦いを挑む戦国時代の物語は、主演の野村萬斎さんの熱演が光り、迫力の合戦シーン、踊り、笑い、涙ありの人情ドラマにもなっています。筆者の好きな映画の一つです。

忍城には江戸時代の御三階櫓も再現。行田市観光の中心となっています。当然のことながら、戦国時代の忍城に、このような立派な建物はありません。広大な沼地と張り巡らされた堀に囲まれた陸地に建物が点在し「浮城」と称されていたそうです。映画の中ではC Gで再現されています。

忍城御三階櫓

水を感じる青と藍。御三階櫓の入り口にも美しい花手水がありました。

忍城址の花手水

戦国時代当時の行田市の地形を微かに残しているのが忍城の近くにある水城公園です。忍城の外堀としても活用された忍沼の大半は埋め立てられましたが、末端部分が整備されて池となり広い公園となっています。

水城公園

水辺に立つのは長年にわたり行田の足袋産業を支えてきた旧忍町信用組合店舗。大正11年に建築された木造洋風建築です。信用組合は全盛期の行田の足袋産業を金融面で支える重要な役割を果たしながら発展しました。現在は旧忍町信用組合店舗 ヴェールカフェとなっています。行田の食材を使ったメニューが人気。行田市随一のおしゃれカフェです。今回のプチ旅では、別のカフェに行く予定ですので外から眺めるだけ。そして、ここからさらに南に進むとさきたま古墳公園が見えてきます。

旧忍町信用組合店舗 ヴェールカフェ

行田市は「埼玉県名発祥の地」でもある 

さきたま古墳公園には、前方後円墳8基と円墳1基により形成される埼玉古墳群があり全国でも有数の大型古墳群として古墳ファンに有名です。そして、この古墳群も『のぼうの城』に登場します。豊臣軍の総大将・石田三成は忍城の周囲を堤で囲み、そこに利根川や荒川の水を引き入れ水攻めを試みます。全長28キロメートルに及ぶ堤をわずか一週間で作り上げたといわれています。そのとき、石田三成の本陣が設置されたのが円墳(丸墓山古墳)の上なのです。現在も、古墳ながら、この円墳の上に登ることができます。そして、周囲には石田堤と呼ばれる堤の一部がわずかに残されています。円墳の上から忍城を眺めると、当時の石田三成の気分を味わうことができます。

丸墓山古墳

埼玉という県名は、この、さきたま古墳がルーツといわれています。行田市民にとって「埼玉県名発祥の地」であることは誇りとなっています。忍城からさきたま古墳公園への移動はバスかレンタサイクル。14時キックオフだと、ちょっと難しい距離かもしれません……ということで、この記事のさきたま古墳公園の写真は今回の訪問で撮影したものではありません。また、別の機会に訪問することとしましょう。ここからのお話は、起点を忍城に戻します。

花手水に目を奪われ「クセあり店主」のうどん店に入る

街を歩くと、たくさんの花手水に出逢います。行田市では、商店や民家の軒先に個性あふれる花手水を飾る「行田花手水week」を開催しているのです(毎月1日~14日 11月と1月は15日~末日まで 7月と8月はお休み)。また、日によって(原則毎月第土曜日)はライトアップイベント「希望の光」も開催されています。WEリーグの開催日によっては、観戦の後に立ち寄るのも良いかもしれませんね。街を歩く楽しみが膨らみます。

50ヶ所以上で飾られる花手水

行田市役所の目の前にうどん大地 行田があります。食べログのうどんE A S T百名店に選ばれた、遠方から通う人も多い人気のうどん店です。行列ができる前に入ってみましょう。

うどん大地 行田

埼玉県は隠れたうどん共和国です。その生産量はなんと全国2位。県内に多種多様なうどん店が存在しています。うどん大地 行田の人気の秘密は味とセットメニューの組み合わせとスタッフの接客です。小麦を感じさせるうどんは硬すぎず緩すぎず、もっちりとした食感が心地よく、生醤油たまごかぶっかけを選べます。そして、ランチのセットメニューでは、うどんに加えてご飯と天ぷらを複数から選択できます。しかも「大森」まで同じ値段です。

うどん大地 行田 人気のセットメニュー

謎の郷土料理・ゼリーフライ

筆者はT K Gを選び、天ぷらはゼリーフライにしました。さて、ゼリーフライとは何でしょう。スイーツのような名前ですが、スイーツではありません。ゼリーフライは行田市の郷土料理。おからやじゃがいもを潰し肉や魚を加えたものを油で揚げたフライ料理です。小判のような形から。「銭フライ」と呼ばれていたのですが、いつの間にかゼリーフライと呼ばれるようになったと伝わっています。うどん大地 行田のゼリーフライは足袋の形をしています。

うどん大地 行田のゼリーフライ

大将の青木信道さんは「クセあり店主」として全国的に有名です。初めて来店したお客さんを会話で和ませてくれます。とにかく明るい。そして、お会計をペイペイで支払うと、その瞬間に「ナイス・ペイペイ!」の掛け声。何がナイスだったのかは分かりませんが、とにかく美味しく楽しくナイスなお店でした。

うどん大地 行田 大将の青木信道さん

最高の贅沢は初代市長の旧邸宅を改装した古カフェでの時間

キックオフまでは、まだ時間があるのでカフェを探します。行田市で人気といえばカフェ閑居の名前が挙がります。美しい庭を眺めながらゆったりと過ごせる古民家カフェだそうです。商店街を進んで探します。

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