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WEリーグ再開 ウィンターブレイク中の加入 木﨑あおい選手(東京NB)小山史乃観選手(C大阪)浜田芽来選手選手(N相模原)笹井一愛選手(N相模原)ら注目すべき20+3人

WEリーグは秋春制シーズンを採用しています。試合を中断するウィンターブレイクが学校の卒業時期にかかるため、この間に多くの選手が新卒新加入します。ウィンターブレイクが明けた2023年3月5日に行われた2022−23 Yogibo WEリーグ第9節では、多くの新加入選手が出場しました。

今シーズンは、来シーズンからWEリーグに参入するセレッソ大阪ヤンマーレディース(2023年2月24日に新チーム名発表)の主力選手が移籍していますので、全体の動きが活発な印象です。今回は、シーズン半ば、ウィンターブレイク中に加入した選手についてお伝えします。これからの女子サッカー観戦にぜひお役立てください。

セレッソ大阪ヤンマーレディース関連の移籍が多数発生

来シーズンのWEリーグに参入するセレッソ大阪ヤンマーレディースの所属選手のうち、筒井梨香選手と小山史乃観選手がINAC神戸レオネッサに期限付き移籍しました。ウィンターブレイク明けの第節マイナビ仙台レディース戦で揃って先発出場し勝利に貢献しました。

筒井梨香選手はセレッソ大阪堺レディース(昨シーズンまでのチーム名)のキャプテン。当たり負けしない強い身体とタフなハートの持ち主。迫力抜群の強靭なセンターバックです。23歳ですが、すでになでしこリーグで100試合以上に出場しあらゆる局面の経験が豊富です。マイナビ仙台レディース戦では立ち上がりの3分に強烈なヘディングシュートをゴールに突き刺しました。ロングレンジの直接フリーキックの威力も披露しています。

小山史乃観選手はF I F A U-20女子ワールドカップ コスタリカ2022での大活躍に加え、なでしこジャパン(日本女子代表)でもデビュー済み。U-20日本女子代表やINAC神戸レオネッサではサイドバックに起用されますが、セレッソ大阪堺レディースでは攻撃的なポジションでの起用も多く得点能力が高い選手です。背番号10を背負った2021年、2022年の2シーズンで合計19得点しています。

2人の選手の移籍期間は2023年2月1日から2023年6月30日までです。セレッソ大阪堺レディースは、春秋制のなでしこリーグをすでに退会済み。来シーズンは秋春制のWEリーグに戦いの舞台を移します。夏までは、桜色のユニフォームで戦える公式戦がないため、2人は期限付き移籍をしてWEリーグでプレー。プロリーグでの実戦経験を積んだ上で7月にセレッソ大阪ヤンマーレディースに復帰します。秋春制と春秋制のギャップを埋めるための期限付き移籍です。

ちょっと複雑な「完全移籍+期限付き移籍」

複雑な移籍が発表された選手がいます。アルビレックス新潟レディースでプレーする森中陽菜選手はセレッソ大阪ヤンマーレディースへ完全移籍しました。ただし、2月1日より6月30日まではアルビレックス新潟レディースへ期限付き移籍します。森中選手は大阪府出身。セレッソ大阪堺ガールズ育ち。今シーズンの開幕前にセレッソ大阪堺レディースからアルビレックス新潟レディースに移籍してきた選手です。セレッソ大阪ヤンマーレディースのWEリーグ参入決定に伴い、再び移籍し復帰することになりました。とはいえ、今シーズン終了までは、「本籍」が変わっただけで、そのままアルビレックス新潟レディースでプレーします。これも日本の女子サッカーならではの移籍です。

セレッソ大阪堺レディースからの完全移籍も

セレッソ大阪堺レディースから新天地に羽ばたく選手もいます。田畑晴菜選手が、マイナビ仙台レディースへ移籍しました。期限付きではなく完全移籍です。田畑選手はアンダー年代の日本女子代表で活躍するディフェンダー。F I F A U-20女子ワールドカップ コスタリカ2022でも主力選手として活躍しました。P K戦に持ち込んだ準々決勝のU-20フランス女子代表戦では最後のキッカーを務めています。ディフェンダーとしての強さに加え、ビルドアップとサイドからの攻撃参加も得意とし得点も多く記録しています。最終ラインの組み合わせに苦心が見えるマイナビ仙台レディースに、心強い戦力となりそうです。ウィンターブレイク明けの第9節では後半から途中出場しました。

ヤングなでしこがチームの躍進の鍵を握るか

F I F A U-20女子ワールドカップ コスタリカ2022で活躍した選手は、ここにもいます。松窪真心選手はスピードと俊敏性が魅力のアタッカー。JFAアカデミー福島でプレーし2021プレナスなでしこリーグ2部で得点王に輝いており、高校生年代の枠をはみ出す実力をすでに発揮しています。マイナビ仙台レディースに加入しました。F I F A U-20女子ワールドカップ コスタリカ2022では準々決勝のU-20アメリカ女子代表戦で先制点を記録しています。得点力が課題のマイナビ仙台レディースで攻撃の起爆剤となることが期待されます。U-20女子代表で気心の知れた田畑選手、JFAアカデミー福島で共にプレーした佐々木里緒選手とチームメイトになりました。ウィンターブレイク明けの第節では佐々木選手と共に先発出場し86分までプレー。持ち味を発揮しています。船木里奈選手とのフレッシュなコンビネーションは魅力があります。

日テレ・東京ヴェルディベレーザに加入した土方麻椰選手は「柔よく剛を制す 剛よく柔を断つ」をモットーとする点取り屋。頭での得点も得意とする得点感覚に優れた選手です。クロスボールからの得点も増やしたい、これからの日テレ・東京ヴェルディベレーザの戦い方にマッチしています。

土方麻椰選手

すでに202223 YogiboWEリーグで2試合出場。第3節のノジマステラ神奈川相模原戦でヘディングシュートを決めています。U-19日本女子代表候補にも選出されました。

ウィンターブレイク初となるWEレギュラークラスの移籍

日テレ・東京ヴェルディベレーザはサンフレッチェ広島レジーナから木﨑あおい選手を「獲得」しました。竹本一彦監督は会見で、加入ではなく「獲得」という単語を使用しています。これまでWEリーグ開催期間中に実現しなかったタイトルを争う同リーグのライバルからのレギュラークラスの「獲得」です。

日テレ・東京ヴェルディベレーザはウィンターブレイク中に三浦成美選手がノースカロライナ・カレッジ(N W S L)へ移籍したため、その不在を埋めるために多様な起用をできる選手を求めていました。ウィンターブレイク明けの第節ちふれASエルフェン埼玉戦では先発出場。決定機の起点となる働きを見せました。内側のポジションをとって前線の選手とパスで崩すプレーもスムーズに披露しています。「強気な性格で攻撃的な発想を表現してほしい」と竹本監督が期待します。前例のない移籍オファーに木﨑選手は驚き悩んだそうです。

WEリーグに事例がなかなかないのでお話をいただいたときは驚きました。嬉しい思いが強くて、でも広島への思いもあったのですごく悩みました。自分の中で、どのようなサッカーをしたいか、どのような人生を歩んでいくかを考えて、ベレーザで活躍してもっともっと成長したいと強く思って決断しました。(ベレーザの選手は)みなさん、技術が高いですし、判断だったり一つ一つのプレーの質だったりが高い中で自分がどれだけできるのかが大きかったです。サイドバックでしたら攻撃参加の部分、ビルドアップしてゲームを作る部部分を見てほしいです。その中で得点やアシストという結果にこだわって見せていければと思っています。」

広いスペースを活用したり一対一を挑む練習をしたりすることの多かったサンフレッチェ広島レジーナと異なる、日テレ・東京ヴェルディベレーザの練習メニューに戸惑いながら、チームに溶け込む努力をしてきました。

「新しいチームに行くということは、全てが新鮮でわからないことだらけなのですが、自分がどれだけ通用するの、(そして)まだまだやらなければいけないことが発見できました。環境が変わり最初はミスが多かったのですが、徐々に味方と合わせる部分ややりやすいと思える部分ができているので、試合に出場したときに、それを活かせればと思います。」

右でも中央でも多様な起用をできる才能豊かな選手ですが、本人は慣れ親しんだポジションで勝負したいのが本音のようです。

「どこででも出場したいと思いますが、左サイドバックを長くやってきたので、そこで勝負したいと思います。」

見事に、得意のポジションで存在を見せつける活躍となりました。

木﨑あおい選手

第二の千葉玲海菜選手を目論む大卒新人選手の抜擢にも注目を

昨シーズンはウィンターブレイクに加入した千葉玲海菜選手が大活躍。ジェフユナイテッド市原・千葉レディースのエースとなり後半戦だけで6得点を記録しました。今シーズンも有力な大卒選手が加わり、第2の千葉玲海菜選手を目論みます。

早稲田大学ア式蹴球部女子から多数の選手がWEリーグチームに加入しました。髙橋雛選手は、ウィンターブレイク明けの第節でちふれASエルフェン埼玉の一員として先発出場し躍動しました。得意とするディフェンスラインの裏に抜け出すプレーは対戦相手に脅威を与えそうです。高橋選手が祐村ひかる選手とツートップを組むことで、吉田莉胡選手を得意の右ウイングのポジションに起用することができるのも大きな効果です。フィジカルコンタクトにも難なく対応し、前からボールを奪うプレーや相手とボールの間に身体を入れるプレーでも強さを感じさせました。ちふれASエルフェン埼玉はボールを奪うサッカーを強化できることでしょう。日ノ本学園から早稲田大学に進んだ選手ですが、当時の日ノ本学園の監督は、現・ちふれASエルフェン埼玉で監督を務める田邊友恵さん。師弟コンビの復活です。

スフィーダ世田谷F Cユース出身のブラフ・シャーン選手はアルビレックス新潟レディースへ。ボランチまたは最終ラインでのプレーを得意とし、全日本大学女子選手権(インカレ)優勝に貢献しています。ピンチを潰し、即座にロングフィードでチャンスを創る「チームのへそ」になる選手です。世宗スポーツTOTO WFCに移籍したイ ヒョギョン選手の穴を埋めることができればアルビレックス新潟レディースは浮上のきっかけを掴めます。

日テレ・東京ヴェルディベレーザに9月からJFA・WEリーグ/なでしこリーグ特別指定選手として合流していた船木和夏選手は日テレ・メニーナ出身。早稲田大学ア式蹴球部女子を経て、再び緑のユニフォームでプレーします。ディフェンスならばどこでもできると評価ですが、両サイドバックで特徴を発揮します。サイドバックといっても、インサイドのポジションで組み立てに参加するプレーも得意とします。これは、日テレ・東京ヴェルディベレーザで求められるプレーとマッチするので、出番のタイミングは早いかも知れません。

万能フォワードの廣澤真穂選手はマイナビ仙台レディースに加入しました。ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ出身です。早稲田大学ア式蹴球部女子では1年目から得点を量産。簡単にボールを失わない技術を有しています。ドリブル突破の能力を活かして左ウィングでもプレーします。ウィンターブレイク明けの第節では1点差を追う終盤に投入されました。

サンフレッチェ広島レジーナに加入した吉野真央選手は強さとスピードが武器。パッションにあふれたファイターです。ロアッソ熊本ジュニアユース出身。早稲田大学ア式蹴球部女子では2、3人を背負っても、強引に前を向くシーンが印象的で力強さを感じました。

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