「好きなことを続ける」大切さを社会に働きかけたい〜Keep Playing プロジェクト〜 世界屈指のボールとスポーツエキップメントメーカー モルテンの思い
高校生から18歳以上になると競技登録者数が激減することをご存知でしょうか。バスケットボールは73%、サッカーは36%、ハンドボールは82%も減少します。想像をはるかに超える大きな数字を知り、筆者は衝撃を受けています(2021年バスケットボール、サッカー、ハンドボールの女性競技登録者数を参照)。
それぞれのカタチでスポーツを続けてほしいという思いから「好きなことを続けよう。スポーツを続けよう。」〜Keep Playing プロジェクト〜が始まりました。2023年はWリーグ(バスケットボール女子日本リーグ)、W Eリーグ(日本女子プロサッカーリーグ)、J H L(日本ハンドボールリーグ)の3団体で活動しています。競技横断でスポーツを続けることの楽しさや悩み事を話し合う選手座談会にはWEリーグからは、黒沢彩乃選手(東京NB)、松原有沙選手(N相模原)が参加しました(内容は後日公開されます)。座談会ではロゴマークが発表され、3月8日の「国際女性デー」に向けてプロジェクトは動いています。J H Lは3月1日と4日、Wリーグは3月4日と5日、WEリーグは3月12日にそれぞれで「国際女性デーマッチ」を行います。プロジェクトでは競技横断でボールリレーを行います。
この取り組みを呼びかけたのはモルテンです。スポーツをがんばっている女性プレイヤーや、試合観戦などを通じてこれから始めたいと思っている全てのプレイヤーを力づけ、応援しています。
モルテンは1958年に広島市で生まれ育った企業です。2022年11月に新テクニカルセンター molten[the Box]をオープン。B alcom B M W 広島総合グランドの近くの新社屋に4つの事業(スポーツ用品、自動車部品、医療・福祉機器、マリン・産業用品)の開発拠点を一つにまとめ、新たな発想でモノづくりを進めています。molten(モルテン)とはmeltの過去分詞で「溶解する、鋳造する」という意味。それに加えて「古いものから新しいものに脱皮する」という意味を有しています。
スポーツ事業の商品約1千500アイテムのうち約500アイテムがボールです。最近では2時間以内で設置できる3×3サイズの移動式バスケコート・B+(ビー・プラス)『ゲームユニット3』も各所で活躍し、ボール以外の商品が目に触れた方もいるかもしれません。サッカー、バスケットボール、ハンドボール、バレーボールをはじめとする各種スポーツ用品を製造しています。
どのようにプロジェクトは始まったのでしょうか。「Keep Playing プロジェクト」を推進するスポーツ事業本部マーケティング統括部ブランドマーケティンググループグループリーダーの長谷川乃亜さんにお話をお聞きしました。
ずっとプレイを続けられる環境を整えたい
長谷川—以前の話ですが、家の横に引っ越してきた女の子が、引っ越し後もプレイできるサッカーチームを探していました。3週間くらいを費やして、やっと見つかった女子もプレイできるチームは2時間くらい離れた場所にありました。あのとき、ただ純粋にサッカーをしたいだけなのに、こんなに苦労してプレイできる環境を探さなければならない現実があることを知りました。
サッカー、バスケットボール、バレーボール、共に18歳を超え部活を終えると競技人口が減少します。長く競技を続けられない現実があります。できれば、ずっとプレイを続けられる環境を整えたいと思っていました。そして、スポーツを続けることを通じて「好きなことを続ける」大切さを社会に働きかけたいと思いました。そんなことを考えていたときにWリーグ(バスケットボール女子日本リーグ)と社会に貢献できることを一緒にやりたいという話が持ち上がり「Keep Playing プロジェクト」がスタートしました。1年目の2022年は「国際女性デー」に合わせ、数量限定のバスケットボールを発売。バスケットボール日本女子代表キャプテンの髙田真希選手と、Wリーグの音楽プロデュースを手がけるLicaxxx氏が監修し、アーティストのC O I N P A R K I N G D E L I V E R Yがデザインをしてくれました。
1年目はWリーグと取り組み、2年目の今回は3団体に拡大
長谷川—スポーツを続けられない問題は根深く、どの競技にも当てはまります。ですから競技を限定する必要はないと思います。最初はWリーグ(バスケットボール女子日本リーグ)との取り組みから始まり、2023年はW Eリーグ(日本女子プロサッカーリーグ)とJ H L(日本ハンドボールリーグ)に賛同が広がりました。
WEリーグは女子サッカー選手の課題を詳しく把握されています。WE ACTION M E E T I N G で挙げられた300以上の課題の中には、「女の子がサッカーを続ける場が少ない問題」「女性は10代でスポーツやめちゃう問題」等、環境やライフステージの変化により少女や女性がサッカーを続けたいのに続けられないという課題が多く含まれていました。そのようなこともあり、WEリーグとはスムーズにプロジェクトが進みました。
長谷川—ただ、これは女性だけの課題ではありません。だから、「Keep Playing プロジェクト」はジェンダーを区切る必要のない活動だと思います。「部活の終わりが競技の終わり」になっているのは男子も同様です。
—女子の方が、その課題が顕著に表れているから、まず女子スポーツを応援されるわけですが、本来はジェンダーに左右されない課題なのですね。トップレベルでのプレイを終えてからの「Keep Playing」も大切だと思いますがいかがでしょうか?
長谷川—トップレベルでのプレイを終えたアスリートをエクササイザーに変え「Keep Playing」できることが大事だと思います。競技力の向上だけがスポーツではありません。
ゲームの中の公共物を提供する立ち位置だから果たせる役割
長谷川—このような、複数の競技団体で横断するプロジェクトは、これまで、あまりなかったと思います。共通の課題の話し合いを行う、取り組みを継続するためのアイデアを議論する……我々はスポーツを楽しむ環境をどのように作れるかのヒントをいただくことができました。これからも仲間が広がっていく可能性を感じています。
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