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メタバースとデジタルツインで変わるファン・コミュニティ 浦和レッズ、日本代表、マンチェスター・シティ

2023年1月5日(木)に、展示会「C E S2023」のプレスカンファレンスでソニーが、マンチェスター・シティとの協業でメタバース上に次世代ファンコミュニティを実現する実証実験開始を発表しました。

急速に拡大するメタバース市場

2023年は、より一層、メタバースに注目が集まります。メタバースは仮想と現実を融合したインターネット上に構築された3次元の仮想空間で、ユーザー同士が自分のアバターを操作して交流し、様々なサービスやコンテンツを利用できます。矢野経済研究所によると2021年度の国内メタバース市場規模は744億円。2026年度には1兆円を超えると予測しています。この1年間は、V Rゴーグルを着用しない、P Cブラウザーやスマートフォンで使用できるメタバースが先行してエンターテイメント・シーンで普及してきました。

今後のメタバースは、オンラインイベント(エンターテイメント、展示会、セミナー等)やシミュレーション、教育・トレーニング、インターネット通販での接客やショッピング体験など、様々な産業分野において活用が拡大していきます。

2022年に先行事例が生まれた日本のサッカー界のメタバース活用

日本のサッカー界でも、すでにメタバースの展開は始まっています。日本サッカー協会は、2022年9月23日(金・祝)にドイツで開催したキリンチャレンジカップ2022のアメリカ代表戦において、バーチャル渋谷を活用したサッカー日本代表メタバース応援イベントを実施しました。参加者は発表されたばかりの新ユニフォームのアバターになって集合し、バーチャル渋谷でメタバース応援。メタバース内ではスペシャルゲストが解説を行いました。

バーチャル渋谷での日本代表メタバース応援イベント 提供:日本サッカー協会

浦和レッズは2022シーズントップパートナーである凸版印刷と共に、クラブ設立30周年を記念して「REDS 030th VIRTUAL FAN WORLD by TOPPAN」を開設しました。凸版印刷がプロデュースしたメタバース空間に、浦和レッズの歴代ユニフォームやトロフィーの3D C G、また30年間の浦和レッズの歴史を振り返ることができる写真や軌跡映像などの展示をおこなっています。

REDS 030th VIRTUAL FAN WORLD by TOPPAN 提供:凸版印刷

REDS 030th VIRTUAL FAN WORLD by TOPPAN 提供:凸版印刷

女子サッカーでは、なでしこリーグ1部のアンジュヴィオレ広島がメタバースを開設しました。アンジュヴィオレ広島は2022年シーズンで活動を停止しましたが、今もメタバースは残っており、誰でも足を踏み込むことが可能です(https://s.door.ntt/YFfwYrv)。2022年10月16日()に行われた2022プレナスなでしこリーグ1部の最終節後にサポーター同士の交流会を開催しました。

アンジュヴィオレ広島のメタバースワールド

デジタルツインで、触れてはいけないものを360度回せるようになる

このデジタルツインを活用してバーチャル・ミュージアムでリアル以上の体験を提供する動きも出ています。デジタルツインとは現実の世界から収集したデータを使って、まるで双子であるかのように、コンピュータ上で再現する技術のことです。

1997年に人間国宝に認定された青磁作家、三浦小平二の私設ギャラリー「Art House MIURA」(東京都国立市)ではデジタルミュージアム「360度Art House MIURA」(https://miura-koheiji.com/)で青磁作品のデジタルツインを公開しています。橋梁点検や非破壊検査技術を有する有限会社丸重屋が青磁作品を3D スキャン。香炉 ・花瓶 ・壺 ・盌(碗)・香炉の蓋など合計13点をデジタルツイン化しているのです。

青磁作品は3次元作品ですから本来は手に取れるものです。どこか一方向から鑑賞するだけでは魅力の一部しか味わうことしかできません。しかし、貴重な作品は破損の危険があり、誰もが手にとるわけにはいきませんでした。

そこで、「360度Art House MIURA」は精巧な3Dモデル化した作品を展示。ブラウザーで360度回転も非常にスムースに底裏まで見ることができるようになっています。特に、タブレットを使用して表示すると、まるで手に触れているように作品の向きを変えることができます。

有限会社丸重屋による青磁作品のデジタルツイン

メタバース・プラットフォームサービスを活用しファン・サポーターに全く新しい体験を

同じことが、サッカーチームの優勝カップにもいえます。輝きを維持するために、ファン・サポーターは直接、自由に手に取ることはできません。

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