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なでしこジャパン(日本女子代表)池田太監督が2023年に目指す世界、そして気になるPK戦と代表選手選考のこと【新春インタビュー】

日本の女子サッカー界に勝負の年がやってきました。7月からFIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023が開催されます。前回大会では不運なP K判定に泣きラウンド16で敗退したなでしこジャパン(日本女子代表)が、どのようなサッカーを見せてくれるのか、期待が膨らみます。

2022年はカタールでの日本代表の熱戦が日本中をアツくしました。目標のベスト8進出という「新しい景色」を見ることはできませんでしたが、多くの感動を呼び起こし、世界に日本サッカーの素晴らしさをアピールしました。現地で応援した日本サポーターが「今回はこれまでと明らかに違う。」「日本代表は人気チームの一つになった」「世界が応援してくれるサッカーを披露した。」と口にします。

なでしこジャパン(日本女子代表)を率いる池田太監督は、南半球の決戦の地で、わたしたちに何を見せてくれるのでしょうか。12月に高円宮記念JFA夢フィールドで行われた新春会見で、丁寧に、そしてアツく語りました。

「『勝つために全力を尽くす姿』が見ている人に伝わると思います。応援してくれる方、見てくれる方に勇気、心を動かすプレーをお見せしたいです。」

カタールでの激戦から何を学び、オーストラリア&ニュージーランドでどう活かすのか?

これまで、アンダーカテゴリーの代表チームを率いて世界と戦ってきた池田太監督ですが、フル代表でのFIFA女子ワールドカップは、これが初めてです。カタールでの熱戦から何を感じたのでしょうか。7月、8月にやってくる、オーストラリア&ニュージーランドでの戦いを想定し、池田太監督は決意を語りました。

「スポーツの素晴らしさ、サッカー素晴らしさに心を動かされました。4年に一度の特別感、重みを感じます。純粋にワールドカップの楽しさも感じています。そして、世界と戦う厳しさにも刺激を受けました。

戦いの準備には、ものすごいものがあったと思います。チームを作っていく上での一体感、いろいろなトライをされたと思います。ワールドカップに向けていろいろなことを考え準備して選手スタッフとチームを作り上げていかないといけないですね。準備の大切さを教えてもらいました。日本のサッカー発展のために、そして、少女たちがサッカーをやりたいと思っていただける大会だと思うので、ワールドカップを戦う喜びと責任や覚悟をもって挑みます。」

森保一監督の「選手の主体性を尊重するチーム作り」はサッカー界のみならず、広く社会的に話題となりました。これまでにない素晴らしいチームワークであったと評判です。日頃はサッカーとは縁遠い情報番組までもが、連日、年末になっても詳しく報じました。池田監督は、FIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023に向けたチームづくりで何を重視しているのでしょうか。

「チームスポーツなので『一体感』を大切にしています。選手各々が持つ力をしっかりと出せることが大切です。そして、選手が他の選手(チームメイト)の力を引き出すことも必要だと思います。ハードワーク、献身性、チームとして戦えることが、そのベースにあります。世界大会ではプラスアルファの力も必要だと思います。」

U―20フランス女子代表戦はP K戦の蹴る順序を決めていた 

そして、もう一つ話題になったのはP K戦です。クロアチア代表戦での日本代表のキッカーは「挙手制」だったと伝えられました。5秒ほど、誰も手を上げなかったそうです。「挙手制」を批判する声もありましたが、アルゼンチン代表も同じように監督が選手に希望者を募ったという話が、後日、ネットに上がりました。アルゼンチン代表の場合は全員が「蹴りたい」「自分のキックで勝負を決めたい」と志願したのだそうです。

東京2020大会の女子サッカーでは準々決勝の2試合と決勝戦がP K戦決着となりました。過去、なでしこジャパン(日本女子代表)は監督による指名でP K戦のキッカーを決定し、FIFA女子ワールドカップ ドイツ2011を優勝した経験があります。池田監督は、FIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023カップのP K戦に、どのように臨むのでしょうか。キッカーを指名するのでしょうか。

「チームの状態、選手の状態に応じた判断があると思います。どのような判断にせよ、準備はします。U―20女子ワールドカップ コスタリカ2022のU―20フランス女子代表戦はP K戦の蹴る順序を決めていましたが、いつも決めているというわけではないです。ピッチで戦っている選手にもよります。監督が決めてあげた方が落ち着いて蹴られるだろうと思ったときは決めますし、選手たちが自分から決めにいきたい感覚があるときは、(キッカーを)自分で勝ち取るパワーを使うかもしれません。」

2023シービリーブスカップで世界の強豪と対戦 

2023年は「しっかりと選手が成長していくこと、1試合1試合、目の前の試合を戦って勝利していくことが大切。」という池田太監督。2023年の最初の戦いは2023シービリーブスカップです。7月を見据えて、世界の強豪チームと真正面から対戦します。シービリーブスカップは、毎年、アメリカで開催される女子サッカーの4カ国対抗戦です。今回は大会ぶりの参加。強豪との対戦で、現在地を見極めることとなります。

・ブラジル女子代表戦 FIFAランキング9位/5勝2分3敗(16得点11失点)
  2月16日() 16時キックオフ 日本時間17日() 6時
  東京2020大会ベスト8

・アメリカ女子代表戦 FIFAランキング 1位/1勝8分28敗(30得点102失点)

2月19日() 14時30分キックオフ 日本時間20日() 5時30分
 FIFA女子ワールドカップ フランス2019優勝

・カナダ女子代表戦 FIFAランキング 6位/744敗(23得点20失点)
  2月22日() 15時キックオフ 日本時間23日() 6時
  東京2020大会優勝

※FIFAランキングは2022年12月9日時点

2022年11月に、なでしこジャパン(日本女子代表)は欧州に遠征し、池田太監督体制となってから初めて強豪国と対戦しました。しかし、残念なことに連敗。U E F A欧州女子選手権イングランド2022(ユーロ)を制したイングランド女子代表、スペイン女子代表から1点も奪うことができませんでした。2023シービリーブスカップでは強豪チームに引くことなく戦うことはできるでしょうか。

「少し受け身になってしまったと感じています。強豪国との対戦は、ひとつのミスを許してくれないレベルになっています。それを選手が体感できたと思います。なでしこは、自分たちから仕掛けていくときに強みが出ると感じました。迷いなく戦えるような積み上げが必要だと思います。」

好成績をおさめれば、7月に向けて国民的な期待が膨らむかもしれません。2023年の前半を占う大会となりそうです。

 「奪う」を際立たせてきた秘訣はポジティブなコミュニケーション

2022年1月のA F C女子アジアカップインド2022で本格的に始動した池田ジャパンはアジアの頂点に立つことができませんでしたが、FIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023の出場権を獲得。池田太監督が掲げたチームコンセプト「奪う」を短時間で身につけ体現してきました。その秘訣を知りたくなりました。

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