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冬のWEリーグ再開 さいたまダービーは生観戦の心地よさに包まれる三菱重工浦和レッズレディースの圧勝 前後左右から大宮アルディージャVENTUSを圧迫

カタールからFIFAワールドカップの熱気が届く毎日。Jリーグがすでに終了している12月に、秋春制の2022−23 YogiboWEリーグが再開されました。2022年12月3日14時キックオフ、NACK5スタジアム大宮で行われた大宮アルディージャVENTUSと三菱重工浦和レッズレディースの一戦を3千190人のファン・サポーターが見つめました。

華麗なる右サイド、主演:遠藤優のショーから前半が幕開け 

両サイドバックの立ち位置を高くし、前線から強い圧力でボールを奪い、素早く縦にパスを差し込む三菱重工浦和レッズレディースが、試合開始直後からピッチを支配しました。先制点は9分。左サイドで起点を作り、サイドバックの水谷有希選手がクロスを入れると、大宮アルディージャVENTUSのゴールキーパー・望月ありさ選手とディフェンダーのポジションが重なり、こぼれ球がゴール前に。そこに走り込んでゴールに流し込んだのは右サイドバックの遠藤優選手でした。

遠藤選手は、パスが左サイドで交換されている時点で、中央の数的優位を作るためにポジションを中に絞っていました。ここでこぼれ球を奪えるのは必然ともいえるポジショニングです。

三菱重工浦和レッズレディースの2点目は40分。左ミッドフィルダーの清家貴子がゴール前正面から強烈なシュート。リバウンドを拾い右サイドでパスをつなぎ猶本光選手がダイレクトでスペースにスルーパス。タッチライン側から遠藤選手が斜めに猛烈なスプリント。大宮アルディージャVENTUSは長嶋洸選手が対応しますが、遠藤選手はスピードを落とすことなく前に入り後ろから倒されてP Kを獲得。これを菅澤優衣香が決めました。菅澤選手は3分後にも得点。3−0と試合を決定づけました。ホームチームの大宮アルディージャVENTUSは前半のシュート1本。三菱重工浦和レッズレディースのゴール前に迫るチャンスを一度も作ることができませんでした。

前半の大宮アルディージャVENTUSは三菱重工浦和レッズレディースの選手の個人能力を過剰に警戒しすぎて戦わずして負けた印象が強いです。コンパクトな守備の組織を設定していますが、三菱重工浦和レッズレディースの選手がバイタルエリアに侵入し前に動きながら縦パスを受けると、そのまま最終ラインがボールにアプローチしないまま下がってしまうシーンが目立ち、ゴール前での防戦が増えていきました。

背番号10がセンターバックの急造ディフェンスを大宮Vは崩せず

三菱重工浦和レッズレディースの楠瀬直木監督は「後半は『本当にこの試合は3−0なのか』と思うくらい拮抗したゲームになってしまいました。」とコメントしました。後半に入ると大宮アルディージャVENTUSが反骨心を見せゴールに迫るクロスが入ったのは51分。そこから73分まで猛攻が続きますが、得点差は3点。勝負は前半で決していた印象です。

高橋はな選手が右膝前十字靭帯損傷で11月18日に手術。全治は8ヶ月の長期離脱となりました。この試合でセンターバックに入ったのは40歳の背番号10・安藤梢選手でした。何があってもチームに生まれた穴を完璧に埋めてしまう安藤梢選手の凄さが存分に発揮された一戦になりました。本来ならば攻撃的なポジションで仕事をするレジェンドですが、昨シーズンは右膝前十字靭帯の損傷の栗島朱里選手の穴を埋めてボランチで活躍。今シーズンもゴールから遠いポジションが主戦場になるかもしれません。劣勢の時間帯があったとはいえ、三菱重工浦和レッズレディースの守備は安定しており後半の反則はオフサイドを除くと1つしかありません。大宮アルディージャVENTUSの攻撃をいなし危なげなく完封勝利しました。

ただ勝利しただけではない浦和サポーターの心を満たす90分間

三菱重工浦和レッズレディースは途中出場の選手たちも伸び伸びとプレーしました。

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