大怪我からの復帰で3年ぶりの公式戦 ウズベキスタンでプレーして感じた「小さいことは気にせずに思い切りやる」大切さ 牛島理子選手(FCソグディアナ・ジザフ)
WEリーグ1年目のシーズンを終えた6月に、INAC神戸レオネッサを契約満了となった一人の選手が海を渡りました。新天地となったのは中央アジアのウズベキスタンです。牛島理子選手はFIFA U-20女子ワールドカップ フランス2018の優勝メンバー。高校生年代から注目を集めてきた選手です。
2021WEリーグプレシーズンマッチでは5月22日に開催された三菱重工浦和レッズレディース戦に90分+3分から途中出場。しかし、それ以降の試合では出場機会がありませんでした。そして、その出場は約1年10ヶ月ぶりのピッチ。2度の大怪我、2度の手術を経ての復帰戦でした。
今回は、意外な場所で海外挑戦をした牛島選手の6ヶ月間を振り返ります。挑戦の舞台はFCソグディアナ・ジザフ。2021年シーズンのウズベキスタン女子リーグ王者です。牛島選手は、なぜウズベキスタンでの挑戦を選択したのでしょうか。
ここ数日で既に
一生分のピンクを
身にまとった気がする👚初めてのピンクのユニフォーム。
試合前に鏡を見てもびっくりしないように早く見慣れたい。 pic.twitter.com/tjONO53HER— 牛島理子 (@riko1212usjm) August 18, 2022
怪我をしたことで海外へ行く決断をできた
牛島—海外に行きたい気持ちが元々ありました。本当は、もっと早いタイミングで行きたかったのですが怪我が重なって、しばらくはプレーできませんでした。怪我から復帰して約1年間、WEリーグでチームの一員として活動することができましたが、このタイミングで海外に行きたいと考えていたら、運よく移籍のお話をいただきました。最初は「ウズベキスタン?どこ?」みたいなところもあったのですが、それも逆に面白いかもしれないと感じました。だから、全くわからない状況で、ここに来ました。
それまで大きな怪我をしたことがなかったので、全治するまでを長く感じました。そして、怪我をしたときよりも、怪我から復帰してから1年間の方が、なかなか思うようにいかない苦しさがありましたね。怪我をしたことで、海外へ行く決断を思い切ってできました。もし、怪我もなく、順調に歩んでいたら、この決断はできていなかったと思います。「怪我をして良かった」なんてことは思わないですが、今となっては、怪我が大きなチャンスをくれたと思っています。
—ウズベキスタンに行ってみようと思えた理由は何なのでしょうか?
牛島—A F C女子クラブ選手権(アジア地域のクラブチームの頂点を決める大会)に出場できることは、大きな理由の一つになりました。
—今シーズンを振り返っていかがでしたか?
牛島—生活でもサッカーでも初めてのことばかり。今まで生きてきた22年間の中で、これほどまでに刺激的な6ヶ月間はなかったですね。
—それは想像以上でしたか?
牛島—ある程度までのことは「あっ、こんな感じなんだ」くらいで過ごしました。こちらには、日本人には驚くような環境のところもあるのですが「これが普通」と考えられるようになりました。今振り返ってみると、意外と普通に過ごしていましたね(笑)。
—それには、チームメイト、クラブの方からのお力添えがあったのでは?
牛島—そうですね。周りの人には感謝しています。ウズベク語、ロシア語は難しくて、最初のうちは相手が怒っているのか喜んでいるのかの感情すらも読み取れなかったのですが、言葉が通じなくても何かしらのコミュニケーションをとって、すごく気にかけてくれました。サッカーと関わりのない人たちも優しくて私は恵まれていました。感謝しています。
いきなりの練習試合出場と公式戦デビュー
牛島—こちらにきて翌日に練習試合がありました。日本では公式戦に出ていませんでしたし、練習試合に出場した数も、それほど多くありませんでした。こちらに来て何度も練習試合に出場し「こんなに試合に出場するのは、いつ以来だろう?」と思いながらプレーしていました。
—公式戦デビューはいかがでしたか?
牛島—公式戦の出場は3年ぶりくらいでした。私はソワソワしていたのですがチームメイトは普通でした。「そうだ、私以外は、こんな気持ち知らないよね(笑)」と思って試合に臨みました。試合が終了したとき「良かった、無事に試合を戦えた」と、一人で喜びを噛み締めました。練習試合とはちょっと違いましたね。嬉しかったです。
—最初からインパクトを残せた手応えはありましたか?それとも徐々にという印象ですか?
牛島—徐々に……ですね。サッカーの考え方が日本と違うので、日本で「ナイスプレー」と言われるプレーが、こちらでも「ナイスプレー」と評価されるとは限りません。その違いに驚きながらプレーして、少しずつ理解していきました。
—怪我をする以前のプレーと比べて、復帰後のプレーはいかがですか?
牛島—正直に言うと、今でも、怪我をする以前とはプレーに違いを感じます。自分自身に、全く満足できません。でも、そのように思えるのは、試合に出場できたからだと思います。だから、そのように思えただけでも、日本にいたときよりも成長できていると感じます。
—牛島選手はF I F A U-20女子ワールドカップで活躍されていますから、ウズベキスタンの方から「助っ人」と見られることがあると思います。そうした立場でのプレーすることで発見したことはありますか?
牛島—身体の強さや足の速さのような特別なわかりやすい能力を持っている選手は、目に見える結果を見せやすいと思います。(ここからサブスク限定)タンに渡ってからは「自分でどうにかする方法を身につけていかないといけない」と常に思っていました。
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