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なでしこジャパン(日本女子代表)はスペイン女子代表戦で何を修正したのか?スタンドから応援していたのは誰だったのか?現地レポート

なでしこジャパン(日本女子代表)ジャパンの欧州遠征は2試合連続の完封負けで終わりました。第2戦の対戦相手はスペイン女子代表。FIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023で同組となることが決まっている相手です。池田太監督は、この試合について「ワールドカップのグループステージで同組だから、そこに向けて何かを仕掛けるということはなく、今日の相手に対してイングランド戦から修正して何ができるかにフォーカスしました。」と語りました。

今回は、選手・監督のコメントから試合を振り返ります。修正できたこと、できなかったことは何だったのでしょうか。その前に、まずは、スペイン女子代表戦をエスタディオ・オリンピコ・セビージャで観戦したぼにたさんのレポートをお届けします。

この試合をスタンドから観戦したぼにたさんは女子サッカーを長く応援しています。3月から1年間、セビージャへ留学しているのです。留学前は「スペイン含む欧州でプレーしている日本人女子サッカー選手の試合も観に行くつもりです」と話していましたが、それが、まさかの国際親善試合となりました。自宅から徒歩10分ほどのところになでしこジャパン(日本女子代表)が宿泊しているホテルがあります。

セビージャの街 提供:ぼにたさん

セビージャのトラムに闘牛士のラッピング 提供:ぼにたさん

5万7000人を収容する巨大スタジアムでの試合

試合会場のエスタディオ・オリンピコ・セビージャはセビージャのセントロからバスで30分くらいかかります。中心街から少し離れています。営業停止の遊園地があり寂しい雰囲気のエリアです。バス停からスタジアムまでの路上にグッズを売っているテントが2つありました(TOP写真)。

開場はキックオフ時間前の19時。スペインの人たちは明るく大らかで、時間に対する考え方もゆったり。開場時間になってもさほど人がいませんでした。キックオフ時刻が迫るまでガラガラでした。私たちはなでしこジャパン(日本女子代表)のベンチのすぐ後ろの席。雨が降ったり止んだりの天気で座席は濡れて汚れていました。屋根のあるスタジアムですが、前列は濡れます。前列の座席とピッチの高さに、あまり差がないので、陸上トラックがあるわりには、選手が近くに感じました。味の素フィールド西が丘のようにベンチに触れられる距離です。

「日本側」とも言える私たちの席の周りにも、スペイン人の子どもたちがたくさん座っていました。サッカーをやっている子どもたちです。女子も男子も楽しそうにスペイン女子代表を応援。「エスパーニャ!!」とコールしていました。客層は親子連れ、子どもたちのサッカーチームが多かったです。

入場者数は1千400人。学校の先生たちもクラスメイトも試合のことを知らなかったので、知る人ぞ知る、開催だったと思われます。チケットはオンラインでのみ購入でき、スペインのクレジットカードでしか買えませんでした。価格は2枚で15ユーロ(約2千円)ですから、なでしこリーグより安いです。

なでしこジャパン(日本女子代表)は新型コロナウィルス対策で、日本国内と同じようにファンとの接触が禁止されていたので、スペインの子どもたちがサインや写真を客席からお願いしても申し訳なさそうに断っていました。スペインは公共交通機関のみマスク義務が残っていますが、あとは元通り普通の生活をしています。

選手には、とても悔しい試合だったようです。猶本光選手が交代でベンチに戻って来るときに、美しい顔が崩れてしまうほど涙していたのが印象的でした。

セビージャはカトリック教会の多い街 提供:ぼにたさん

強度の強い守備と攻撃のスピードを回復

ここからは選手のコメントを交えて試合を振り返ります。0−1の敗戦です。8分に放たれたミドルシュートをゴールキーパーの山下杏也加選手(I神戸)がコーナーキックに逃げることができずリバウンドから悔しい失点。前半は、なでしこジャパン(日本女子代表)のかけるプレッシャーに対して、スペイン女子代表がバックパスを活用しながら左右に大きくボールを動かしボールを追いかけるシーンが目立ちました。

しかし、後半はスペイン女子代表のパスワークを封じ、ほとんどの時間で主導権を握って試合を進めました。ファーストディフェンダーが前線から守備のスイッチを入れ、圧力を高めて、後ろが連動してボールを奪い、意図した攻撃の形を作ることができました。特に、インサイドハーフに入るボールに対しては、個々の持ち場を離れても厳しく背後からチェック。ボール保持者に前を向かせない迫力ある守備が効果的でした。前日の記者会見で熊谷紗希選手(F Cバイエルン・ミュンヘン)は「最後はボールに行くというところが、もっとあって良いのではないかというか『結局はボールに対して守る』ということを忘れてはならないと思います。」と話しましたが、まさに「ボールに対して守る」気持ちが感じられる守備でした。

南萌華選手(A Sローマ)は「迷ってプレーしていると中途半端なプレーになってしまう。今日のようにある程度プレッシャーに行けるタイミングがはっきりすると、潰しに行けるシーンが増えてきて、迷いなく思い切りプレーできる感じがあります。」と、試合の主導権を握れた要因を話しました。

数多く見られたスペイン女子代表のゴールを脅かす場面 

長谷川唯選手(マンチェスター・シティ)は「イングランド女子代表戦よりチャンスがありましたし、相手ディフェンスラインとの1対1や2列目が飛び出したらフリーになるという場面、サイドの裏のスペースも空いていたのでそこは取れていました。ただ2試合で点が取れなかったのは前の選手として責任は感じますし、チームとしてもチャンスがあったなかで決めきらないといけなかったと思います。」と試合を振り返りました。

とはいえ、スペイン女子代表のゴールを脅かす場面は多く、得点までは紙一重。縦パスを受けて反転してのドリブル、バイタルエリアに移動してのパスワークは、池田太監督の目指す縦への速さを感じさせます。終盤にはスペイン女子代表が苛立ちからかファールを連発するシーンもありました。特に右サイドを主戦場にした藤野あおば選手(東京NB)のドリブルやスペースへの飛び出しは、若い選手の加わったスペイン女子代表に脅威を与え続けました。藤野選手は今回の欧州遠征2試合で得られたことと次の目標を、このように話しています。

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