WE Love 女子サッカーマガジン

WEリーグのその先へ Xーgirlの本気を多くの人はまだ知らない(後篇)カラフルなユニフォームはなぜ動きやすく立ち姿が綺麗なのか?

「REAL GIRL'S CLOTHING」を テーマに掲げ「リアルな女の子のストリートスタイル」を提案し続けるXーgirlがWEリーグのオフィシャルサプライヤーになったことで、女子サッカーのユニフォームは独自の進化を始めました。ユニフォームのコンセプトは「WEAR THE HOPE」。女性の可能性を拡張させる希望の象徴です。

前篇ではXーgirlを提供する株式会社ビーズインターナショナルがWELEAGUE事業部を設置し、ここまで、どのような展開をしてきたのかを振り返りました。そして、なぜ「コンテンツチャネル開発本部/WEリーグ事業部」を設置して取り組んでいるのか、その謎を解くヒントを探しました。今回の後篇では Xーgirlの参入がWEリーグに与えた効果と今後の展望についてお伝えします。

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まだ見えていないお客様を獲得する 

 Xーgirlは10歳代後半からF1層(20歳〜34歳の女性)の支持を得ているレディースストリートウェアブランドです。一方で、WEリーグもF1層の集客に力を入れ、選手と同年代の女性からも支持を拡大しようと努力しています。集客活動の効果は幾分現れ始めていますが、入場者の絶対数が当初の目標に達しておらず、WEリーグは苦戦を強いられている感が否めません。

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WEリーグの女性活躍の理念に共感してサプライヤーとして参入した Xーgirlは、この理想と現実とのギャップをどのように考えているのでしょうか。株式会社ビーズインターナショナル WELEAGUE事業部の全体統括をしている冨田裕也さんに聞いてみました。

「お客様の来場を増やすために、我々ができることをやりたいと思っています。『まだ見えていないお客様(見込み客)を獲得するためにどうするか』に、我々は着目すべきだと考えています。」

WELEAGUE事業部のスタッフはWEリーグ各チームの課題をヒヤリング。少しでもスタジアムへの集客の支援をするために XーgirlのSNS からWEリーグの情報を発信しています。また、ブランドのアカウントだけではなく、インフルエンサーとして活動しているショップスタッフがホームタウンのWEリーグをスタジアムで観戦。自らの体験やスタンドでのユニフォームの着こなし等をSNSでレポートしているといいます。

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昨シーズンは一部のスタジアムに Xーgirlのブース(販売コーナー)が設置されました。2022年5月14日にINAC神戸レオネッサが開催した国立競技場での試合では予想以上の売り上げを記録。株式会社ビーズインターナショナル WELEAGUE事業部の小倉祥子さんは販売現場で手応えを感じた一人です。

「NACK5スタジアム大宮の Xーgirlブースに2週間続けて入りました。すると、サポーターが私のことを覚えてくださってフレンドリーに接してくださいました。マネキンのコーディネートをご覧になって『 Xーgirlのパンツがかわいい。ネットで買えますか?』とユニフォーム以外の商品にまで関心を示していただきました。お客様は楽しそうにコーディネイトを見てくださっています。」

Xーgirl×選手コラボロングTシャツも発売。 祐村ひかる選手×中村ゆしか選手

その効果は、2年目のリーグ戦開幕を前に現れ始めています。202223 WEリーグカップのスタンドには、思い思いのコーディネートでユニフォームを着用して観戦する女性のファンが増えたように感じます。着こなしが以前とは異なってきました。へそ出しコーデ、ボトムスのセレクト……。やはり、レディースストリートウェアブランドならではの提案がファン・サポーターに影響を与えたのではないでしょうか。

ユニフォームに加えて選手考案シリーズも発売。池尻凪沙選手考案  X―girlフードパーカー

冨田さんは、このように言います。

「通常のスポーツブランドのウェアのモデルには、当然、スポーツ選手が起用されます。我々も、そのイメージを踏襲して、選手を起用した写真撮影を国立競技場等で行いました。でも、その前にユニフォームデザインの発表の際は Xーgirlが契約するモデルを起用し、コーディネート提案をしています。

スタジアムの中だけでなく、レディースストリートウェアの着こなしの一つとしてユニフォームを取り入れていってほしいです。いつもの Xーgirlのコーディネートに、より溶け込めるようなユニフォームの着こなし提案をビジュアルやムービーで配信させていただきました。そのあたりから影響を受けて、スタジアムでの着こなしも変わっていったかもしれません。」

Xーgirlが女子サッカーのユニフォーム開発のリーダーシップをとっていきたい

さて、ここまでは、主にレディースストリートウェアとしてのユニフォームのコーディネートと集客プロモーション活動についてお伝えしてきました。後半では、技術面の取り組みをご紹介します。冨田さんは2シーズン目の Xーgirlは選手のパフォーマンス向上に特に注力したと言います。

「スポーツメーカーのウェアの開発ベースは基本的に男性です。女性向けの商品開発は、男性のベースモデルを女性サイズにリサイズする手法で行われています。しかし、我々は男性のためのスポーツサイエンスを持ち合わせた企業ではありません。そこで、(男性のベースモデルを経由せず)ゼロから女性のためのユニフォームを開発していきました。」

Xーgirlは従来のユニフォーム開発とは異なるプロセスを経てWEリーグ各チームのユニフォームを開発しています。重要なのは、女性の体型を事細かなところまで把握できているところです。

「本来、男性と女性では筋肉のつき方が違います。特に大きく違うのは肩幅、ウエストから臀部までの長さ、ウェアが筒状に身体をカバーリングする幅です。我々は女性の肩がスムーズに動く型を研究し開発してきました。動きやすさを追求し女子選手のパフォーマンス向上を目指すのと並行して、女性が立ち姿を綺麗に保ち着こなすための工夫も行いました。着丈は、女性のウエストから臀部までの長さに合わせ、Jリーグのレディースサイズよりも長くなっています。

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