WE Love 女子サッカーマガジン

WEリーグのその先へ Xーgirlの本気を多くの人はまだ知らない(前篇)注目を集める「フットボールとストリートの融合」

Xーgirlは「REAL GIRL'S CLOTHING」を テーマに掲げ「リアルな女の子のストリートスタイル」を提案し続けています。2022年10月22日に202223 YogiboWEリーグが開幕。全11チームのうち6チームのユニフォームを Xーgirlが製作しました。

ユニフォームデザインのコンセプトは「WEAR THE HOPE」。女性の可能性を拡張させる希望の象徴。一人一人が自分の個性を愛し、自分らしい選択を誇ることを応援する想いを込めてデザインされています。

大宮アルディージャVENTUS

なぜ「WEリーグ事業部」を設置しているのか?取材は謎解きからはじまった

2021年7月に Xーgirlを提供する株式会社ビーズインターナショナルがWEリーグのオフィシャルサプライヤーになると知ったとき、筆者には、素直に「すごい」と思った感情と「 女子サッカーの現場とレディースストリートウェアブランドには距離感がありそうだ」と感じた懸念があったことを覚えています。あれから1年が経ちました。

2年目のWEリーグ開幕に合わせて #女子サカマガ は、 Xーgirlが女子サッカーに参入した理由と目指す未来を探ることにしました。そして、株式会社ビーズインターナショナルにコンタクトをとり、いきなり驚愕することになります。なぜなら、取材の担当部署は「広報部」でも「CSR推進室」でもなく「コンテンツチャネル開発本部/WEリーグ事業部」だったからです。なぜWEリーグのビジネスに取り組むための「事業部」を設置しているのか?今回の取材では、その謎解きが必要でした。なぜなら「事業部」は営利を目的として形成する組織だからです。 X―girlはWEリーグで、どのように営利を生み出そうとしているのでしょうか。

マイナビ仙台レディース

Xーgirlが関わることで、女子サッカーが面白くなる

WEリーグの女性活躍の理念に共感してサプライヤーとして参入しました。(オフィシャルサプライヤー契約を発表したときは)どよめきというか、驚きの方が大きかった記憶があります。」

プロジェクトの準備段階から「WELEAGUE事業」に関わる宮本淳さんは、WEリーグの理念やウーマン・エンパワーメントの考え方と Xーgirlが起こしたい「GIRL'S MOVEMENT」に親和性があると言います。現代の若い女性が自分らしく生きるため、人と違うことを恐れない。ファッションも、夢も、自分らしい個性を放ちながら生きていく。そんな姿を Xーgirlは応援しているというのです。

WEリーグの試合会場に設置した Xーgirlブースでファン・サポーターとの接点が多くなった小倉祥子さんは、当時、こんな気持ちでオフィシャルサプライヤー契約を歓迎しました。

Xーgirlが関わることで、女子サッカーが面白くなるんじゃないかな。」

XーgirlとYUSUKE(盆栽アーティスト)のコラボレーション

Xーgirlの公式サイトを開くと、商品紹介コンテンツの前に、まず、たくさんのコラボ・プロジェクトが表示されます。Xーgirlはレディースストリートウェア商品を提供しているブランドですが、実は「ストリート・カルチャーを伝えるブランド」ともいえるかもしれません。さまざまな分野の最先端で活躍する人材(アーティスト等)や団体とのコラボレーションで新たなスタイルを生み出しています。

Xーgirl × ROMY(ポスト・ポップバンドThexxボーカル兼ギターリスト)」「Xーgirl × GIRL SKATEBOARDS(スケートボードブランド)」 「Xーgirl × SODA BAR(ドリンク)」「Xーgirl × Plastic Monster (サスティナアートコミック)」「Xーgirl × YUSUKE(盆栽アーティスト)……驚くようなコラボレーションが次々に誕生しています。こうした活動がXーgirlの目指す「GIRL'S MOVEMENT」に力を与えます。そのコラボレーション先の一つとしてWEリーグは位置付けられているのです。

X―girlのウェブサイト

 X―girlのユニフォームがスポーツ専門店に陳列されることを目指す

WELEAGUE事業部の全体統括をしている冨田裕也さんに、なぜ「事業部」なのかを聞いてみました。答えは単純かつ予想よりも壮大でした。

「新規事業として成立させます。」

つまり、オフィシャルサプライヤーとしてウェアを提供するのは、広報活動やCSR(社会貢献)活動ではなく、事業としてWEリーグで営利を生み出すことを目的とした活動の一環だというのです。X―girlのオフィシャルサプライヤー活動が、一般的なスポンサー活動やサプライヤー活動とは少し違うことが分かりました。では、Xーgirlは、どのような新規事業展開を目指しているのでしょうか。

「我々はアパレルメーカーですが、当たり前のように我々の提供するユニフォームがスポーツ専門店に陳列されることを目指していきます。」

冨田さんの、この一言は、筆者の想像を超えていました。とはいえ、 X―girlはスポーツブランドではありません。「ファッションブランドが可愛いデザインのユニフォームを提供している」というイメージがファン・サポーターの間では強いはずです。女子サッカーの現場とレディースストリートウェアブランドの距離を埋めることはできるのでしょうか。

ちふれASエルフェン埼玉

ここで、もう一度、 Xーgirlの特徴を思い出してみましょう。Xーgirlの最大の特徴はスポーツブランドではなくレディースストリートウェアブランドだという点です。そして、もう一つ付け加えたいのは「WELEAGUE事業に特化した組織を整えたブランド」だという点です。では、これから、 Xーgirlは何にトライしていくのか……WELEAGUE事業部の全体統括をしている冨田裕也さんに聞いてみました。

「このビジネスを大きな規模で展開したいと考えています。そのため、事業部規模の組織でプロジェクトをスタートしています。フットボール(サッカー)は世界で最もメジャーで、競技団体の加盟協会(国や地域)が一番多い競技です。」

そして、世界中で女性の競技人口が急増。それに加えて、女子サッカーは見て楽しむ競技としてもマーケットが急激に拡大中です。2022年に世界中で行われたサッカーの観客数トップ3は、いずれも女子サッカーが記録しています(UEFA欧州女子選手権イングランド2022決勝戦とUEFA女子チャンピオンズリーグ・ノックアウトステージの2試合)。冨田さんは、そこに大きな可能性を感じています。

HUF ×  Xーgirlコレクション

「女性を前提としたブランディング」がWEリーグに新風を吹き込む

Xーgirlは、レディースストリートウェアを好む人、WEリーグのことを知らない人との接点を多く持っています。「サッカーそのものを軸にした視点ではなく、カワイイ、カッコイイ……女性の可能性を拡張させるカルチャーや感性につながる Xーgirlならではの視点から、WEリーグのプレーヤーの魅力や着こなしを発信し、WEリーグに目を向けてもらうことを担っています。」というのが冨田さんの説明です。

そして「ユニフォームを選手が着用し、憧れの対象となっていくこと」は Xーgirlが目指す事業展開の第一ステップとなります。冨田さんは、これを起点に、WELEAGUE事業部のビジネスを大きく変貌させていきたいと考えています。

ノジマステラ神奈川相模原 

今回の取材とは別のインタビュー取材で、ユニフォーム撮影に参加したアルビレックス新潟レディースの滝川結女選手は「撮影時に Xーgirlさんにご用意いただいたボトムスやアクセサリーがとてもかわいくて撮影が楽しかった。」と笑顔で語っていました。滝川選手の感想について冨田さんは、このように理由を推察します。

「おそらく、我々と他のスポーツメーカーの一番の違いは『女性を前提としたブランディング』にあります。 X―girlは、着用した選手が、より輝いて見える方法を生み出すことに取り組んでいます。極力『サッカーらしさ』を削ぎ落とした上でかわいくかっこいいビジュアルを創造していくことを目指しています。それを新鮮に感じていただいていると思います。」

すでに気づかれた方がいるかもしれませんが、Xーgirlの撮影には選手がボールタッチするシーンが一切ありません。Jリーグをはじめとする各種のリーグやクラブへウェアを提供するスポーツブランドのクリエイティブとは、全く異なるクリエイティブ方針を定めているのです。

従来のユニフォーム発表ビジュアルとは異なるXーgirlらしいスタイリング アルビレックス新潟レディース

Xーgirlが契約しているモデルをユニフォームデザイン発表のモデルに起用していることもポイントです。

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