WE Love 女子サッカーマガジン

宮澤ひなた選手(マイナビ仙台レディース)のプロフェッショナルスピリッツ 2022−23 YogiboWEリーグに挑む(前篇) チーム成長の過程

読者の皆さんは、宮澤ひなた選手に、どのようなイメージをお持ちでしょうか。筆者は「タッチライン際を縦にドリブルで仕掛けるサイドアタッカー」のイメージをずっと持ち続けてきました。しかし、WEリーグのスタートを機にマイナビ仙台レディースでプレーするようになった宮澤選手はプレーの幅を大きく広げました。今や、トップ下のポジションが本職と言っても良いかもしれません。

ポジションについて質問すると「ポジションによって魅せられるプレーが違います」という答えがありました。「魅せられるプレーが違います」という表現に驚きました。全選手がプロ契約でスタートしたマイナビ仙台レディースで、宮澤選手は何を変えたのでしょうか。そして、なでしこジャパン(日本女子代表)でのプレーで得られたものは何だったのでしょうか。 

「選択肢が多くなった」がゆえの苦しみとは?

 いよいよ、2022−23 YogiboWEリーグが開幕します。もちろん、宮澤選手は注目選手の一人です。所属するマイナビ仙台レディースは2022−23 WEリーグカップのグループステージを1勝2敗2分で終えました。メンバーが入れ替わり苦しんだ印象です。その苦しみを、どのように感じているのか宮澤選手にお聞きしたところ、この質問にも意外な答えが返ってきました。「選手一人一人にできることが増えて、選択肢が多くなった」がゆえの苦しみだというのです。そして、宮澤選手自身が、過去にそのような苦しみを乗り越えてきたと。

今回は、22歳にしてなでしこジャパン(日本女子代表)の中心選手としてのポジションを確立した宮澤選手の胸の内をご紹介します。そして、今回のインタビュー取材での、宮澤選手の一つひとつの表現の選択が、プロフェッショナルなスピリッツに溢れたものであったことも、先にお伝えしておきます。

WEリーグ開幕で模索した「プロって何だろう?」

宮澤WEリーグ自体もまだ2年目で、リーグ全体を見てもまだ成長段階にあると思います。自分達も、どのチームも成長段階だと思います。一年目のシーズンは5位で、結果にもどかしさがありました。2022−23 WEリーグカップは新しい選手が加わって迎えたカップ戦で、リーグに向けてチームが動いていくのに良い大会でした。ただ、結果がついてこなかったので、大きな課題が残りました。チームとして、これから伸ばしていくべきところが明確になりました。私たちには、女子サッカーを知ってもらう使命があると思うので、試合の結果を残すだけではなく、そうした使命も頭に置いてプレーしていきたいと思います。

 

宮澤「プロって何だろう?」と聞かれても、今までも、ずっとサッカーをやってきたのでピンとくるような答えがありませんでした。WEリーグが開幕して、周りからは「プロサッカー選手」と見られるようになりました。でも、いろいろな方と関わらせていただくと、サッカーが仕事になっても「ただサッカーをやっているだけじゃダメだ」と感じます。

スタジアムに見に来ていただく方々の年齢層が広がったと思います。でも、地元に帰ると「仕事しているの?」とか、まだプロ選手としての認知度が低いと実感するときがあります。プロ選手であることを伝えるには、もっと女子サッカーを見にきていただいて「女子サッカーにはこんな選手がいるんだ」ということを、より発信していかなければならないと感じています。

チームが苦しんでいるのは成長の過程にあるから

グループステージの最後の試合(第5節大宮アルディージャVENTUS戦:1−0)はアディショナルタイムの得点で良い終わり方をして、選手の皆さんは「これでリーグ戦に良い雰囲気で臨めるぞ」というお気持ちになられたのではないでしょうか?

宮澤最後まで皆で戦った結果がついてきたのは良かったです。それまでの何試合かは、まだまだ甘いところがあると感じましたし、拮抗した試合をモノにできないのは昨シーズンからの課題です。2022−23 WEリーグカップでは、そこが顕著に出ました。(勝負強さを身につけることは)昨シーズンとメンバーが変わっても、チームとしてやっていかなければならないところだと思っています。

昨シーズンのマイナビ仙台レディースの見どころだった前への推進力が、2022−23 WEリーグカップでは若干弱く見え、ご苦労されているようにも感じましたが、ピッチ上ではどのように感じていらっしゃいましたか?

宮澤選手一人一人にできることが増えて、選択肢が多くなったので、選手がどうやって決断して前に運んでいくかが引っかかっている部分だと思います。みんなで力を合わせてゴールをこじ開けていくのがサッカーの楽しいところです。コミュニケーションが大事だと思います。対戦相手に対策をされると思いますし、より厳しい状況で、自分達がどのようにボールを動かして、相手のどこが空いているのかをみんなが考えて合わせていくしかないと感じますね。「もう一個、こっちだったな」というちょっとしたズレを修正していくとボールが回るのだと思います。

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