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「愛をどれだけ集められる存在になるか」 髙田春奈さん WEリーグ 新チェア・理事・監事就任記者会見

女子サッカー選手という職業の誕生、理念・ビジョンを社会に伝え女子プロサッカーリーグをスタートすることに尽力されたWEリーグの初代チェア・岡島喜久子さんが任期満了となり2022年9月29日付で退任。2代目WEリーグチェアに髙田春奈さんが就任し記者会見を行いました。Jリーグ理事、日本サッカー協会理事、全日本大学サッカー連盟理事を務める高田チェアですが、Jリーグ理事については辞任し特任理事となります。

緊張した面持ちで会見に臨んだ髙田チェアは、言葉を選びながら明瞭な表現で初心を表明しました。また、ビジネスとしてスポーツに関わる以前からスポーツが好きで、ロンドンオリンピック2012では女子サッカーの決勝戦を観戦し、ウェンブリースタジアムでなでしこジャパン(日本女子代表)を応援した思い出を明かす等、次第に和やかなムードとなり会見は進みました。

今回は、WEリーグ 新チェア・理事・監事就任記者会見で何が語られたのか、そして、髙田チェアの両肩にかかる期待をお届けします。

髙田チェアはWEリーグがJリーグから見習うべき点を独特の表現を用いて力説しました。

「Jリーグと似ている部分と異なる部分があると思います。近いところで見習うとすれば『サポーターの皆さんの愛』だと思います。(WEリーグが躍進するために必要なことは)愛をどれだけ集められる存在になるかだと思います。」

任期満了に伴い退任した岡島喜久子さん

読者の皆さんは、髙田チェアに、どのようなイメージをお持ちでしょうか。創設時からV・ファーレン長崎を追い、長崎サッカーマガジン『VSta』で長崎のサッカーの最新情報をレポートしているスポーツライターの藤原裕久さんは、2020年1月から2022年3月までV・ファーレン長崎の代表取締役社長を務めた髙田チェアをこのように表現します。

「就任2年余りの短い期間でしたが、長崎ではクラブと街の関係性を再定義し、変革への道を作った調整役的存在でした。強烈な個性を発揮した髙田明氏の後任として、周囲との関係性強化や再構築といった調整を主導し、コロナ下でも信頼関係を醸成しています。自身の人事部経験や大学での教育思想の研究をバックボーンとした『人』と『社会』を重視する姿勢で、クラブによる平和活動の活発化や社会連携活動を加速させ、ホームタウンでもアンバサダーや委員会のメンバーなど官民問わず多くの役割を担っています。自身の理念や意見を曲げない強さもありますし、サッカーだけの視点で考えない点とともに、WEリーグの社会進出や周囲との関係性の強化に大きく貢献できると思います。」

大きな課題を抱えるWEリーグ

髙田チェアは生粋の経営者です。大学を卒業後、ソニーに入社し人事の仕事を経験した後にジャパネットたかたの人材開発を担うジャパネットソーシャルキャピタルを設立。広告代理業やコミュニケーション制作をする会社も経営しています。そしてトップとしてV・ファーレン長崎の舵取りもしてきました。そんな髙田さんが、経営者の視点でWEリーグの現状を、このように話しました。

「少なくとも赤字であってはいけないと思います。今の売上規模もリーグ全体で少なすぎると思います。J2のクラブ1つよりも売り上げが少ない状況なので、まだ(パートナーに)ついてくださっている企業様が少ないと思っています。

同じサッカー界にいながらWEリーグの動向をキャッチアップできていませんでした。それは私の努力不足かもしれません。ただ、いかに、多くの人に自然と情報が入っていくようにしていくのかが大きな課題だと思っています。そうして、価値を上げることによってスポンサードしてくださる企業が増えていくと思います。それは選手に還元したり新たな取り組みをしたりしていくことにつながります。良い循環を生み出すことが求められていると思います。

パートナー企業様を増やしていくためには組織がしっかりとしていないといけないと思いますので、働く人たちが最大のパフォーマンスを出せるようなチーム作りをしていくことが大事だと思います。」

皆で力を合わせてWEリーグをより高いところへ

では、髙田チェアは、どのように仕事を進めていく人物なのでしょうか。髙田チェアは、チェアの仕事において「つながりを大事にしたい」と考えています。

「トップに立つ上で『発信すること』は必要だと思っていますが、基本的には、素晴らしい専門性を持った皆さんの力を最大のパフォーマンスにつなげるのかを考えるのが一番の仕事です。素晴らしい選手たちがいて、素晴らしいメンバーに恵まれ、仲間が揃っている場所ですので、私一人が頑張るというよりも、皆で力を合わせてWEリーグをより高いところへ引き上げて、皆さんに勇気を与えられるように……特に女性活躍社会への貢献という意味において、女子サッカーが正当な評価を受けてたくさんの人たちに夢を与えることが、日本社会全体の女性活躍につながると信じて、これから頑張っていきたいと思っています。」

新チェア・理事・監事

女子サッカーの概念を変える

髙田チェアの選任に併せ、理事・幹事も選任されています。その中でも理事に選任された大山加奈さんは心強い存在になるかもしれません。大山さんは、サッカーと同じチームスポーツであるバレーボールの元日本代表。アテネオリンピック2004に出場しました。現在は、全国での講演活動やバレーボール教室に精力的に取り組み幅広く活動しています。バレーボールはサッカーと違い「女子は男子よりも魅力がない」とファンから言われることが滅多にないそうです

「男子はすぐ『バシっ』で終わってしまうけれど女子はラリーが続くから面白くてよく見ていますという声をたくさんかけていただきます。同じ競技ではあるのですが(ファンの)皆さんの捉え方が全く別だと実感しています。

選手自身も『男子と比較する』ということが全くなくプレーしています。でも、女子サッカーの選手に聞くと、選手自身が男子と比較してしまっているということもうかがっているので『そうではないんだよ』と、選手たちに自信を持ってピッチに立ってもらうために周りがやっていくべきだと思っています。(男女)それぞれの良さ、魅力をもっと発信して認知してもらうことが必要だと思っています。」

理事の大山加奈さん 

同様の考えを髙田チェアも持っています。

「試合を見て『女子ならではの面白さ』を感じるとことがあります。とても、競技自体を見やすい。理解をしやすい。それから、とてもフェアで、男子の激しさやパワーとは別の技術で戦う清々しさが魅力的だと思っています。

まず『女子サッカーが男子サッカーよりも劣っている』とか『遅い』という概念を変えて、女子ならではの魅力を発信していくことがプラスされれば、もしかしたら、Jリーグを越えるくらいの存在になれるかもしれない……という大きな夢を抱いて取り組んでいきたいと思っています。」

競技人口が多く、女子が男子よりも広くメディアで取り上げられるバレーボールの良いところをWEリーグは取り入れることができるかもしれません。大山さんだけではなく、それぞれの専門領域で深い知識と豊富な経験をお持ちの理事・幹事と、共に歩む2年間が始まります。

WEリーグへの期待は衰えていない

#女子サカマガ はツイッターアカウントでアンケート調査を行いました。テーマは「WEリーグが日本の女子スポーツを変える期待について」。集計結果によると62.8%が「とてもある」または「ある」と回答しました。同アンケートはWEリーグが開幕する以前の2020年8月にも実施していますが、そのときの「とてもある」または「ある」は79.2%。比較すると今回は15ポイント以上を下げていますが、それでも期待が衰えていないことが分かります。

2022年9月のアンケート調査結果 

WEリーグは女子サッカー選手のプレー環境を劇的に改善しました。

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