WE Love 女子サッカーマガジン

2022−23 WEリーグカップで史上初の女性監督対決 いつの日か女性監督対決が当たり前となるWEリーグへ 【石井和裕の #女子サカマガ PKど真ん中】

2022年9月19日17時キックオフ、202223 WEリーグカップ第5節ちふれASエルフェン埼玉とAC長野パルセイロ・レディースの一戦は歴史的な対戦となりました。ちふれASエルフェン埼玉は田邊友恵監督、AC長野パルセイロ・レディースは田代久美子監督。史上初の女性監督対決が熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で実現したのです。

ディフェンスラインのコントロールに注目、田代久美子監督の守備戦術

AC長野パルセイロ・レディースの田代久美子監督は浦和レッズレディースでの現役引退後に栃木サッカークラブレディースのコーチ・監督を経て、山梨学院大学では女子サッカー部の創部から指導者として選手を育ててきました。昨シーズンの途中からAC長野パルセイロ・レディースのコーチに就任し、2年目のシーズンを前に、満を持して監督に就任しました。就任会見では「自分の力がどこまで通用するのか、自分の可能性に挑戦してみたい。」と話していました。AC長野パルセイロ・レディースに新たなスタイルを植え付け、早くも結果を出し始めています。グループステージは無敗。最後の最後まで決勝戦進出を争いました。

「得点をとることがサポーターも笑顔になれる瞬間。その瞬間を一つでも多くつくり出せるように」と就任の決意を語っていた田代監督ですが、そのアプローチは守備からです。

今シーズンはボランチと右サイドバックでプレーするAC長野パルセイロ・レディースの肝付萌選手は山梨学院大学時代の教え子の一人。2021年7月のインタビューで田代監督(当時・山梨学院大学監督)のことをこのように語っています。

「タッシーさん(田代久美子監督)に頭を使ったサッカーを教わったおかげで、状況を考えてプレー選択するクセが身につきました。例えば『今はカウンターで早くいくべきなのか?それとも、ゆっくりと時間をかけながら攻撃をするべきなのか?』練習でも試合でもずっと言われてきました。」

田代監督が率いるチームは大学チームであってもプロチームであっても、その基本姿勢は変わりません。今シーズンのAC長野パルセイロ・レディースは、肝付選手の言葉通り、状況に応じたプレー選択と走力が光る試合運びをしています。特に目を見張るのが、最終ラインの上下動です。対戦相手がボールを下げたときに最終ラインを上げる速さが目立ちます。楔のパスへのアプローチも迅速。素早く飛び出し寄せてボールホルダーの自由を奪います。そして、楔への対応をするために前に飛び出した選手のポジションのカバーリングも的確。前線から最終ラインまでが連動し、コンパクトな陣形を維持し続けることで高い位置でボールを奪い速攻による得点を奪ってきました。2022−23 YogiboWEリーグで新たな旋風を巻き起こすかもしれません。

お互いに似たような狙いでゴールを脅かし続ける

ちふれASエルフェン埼玉の田邊監督による前線からボールを奪い切るサッカーと、AC長野パルセイロ・レディースの田代監督によるスペースを圧縮したサッカーの対決は見応え十分。お互いにディフェンスラインの裏を狙い合う、一瞬も気を抜けない攻防となりました。

84分にゴールキーパーを起点に手数をかけずに前に運んだAC長野パルセイロ・レディースは、川船暁海選手が俊足を生かした技アリのゴール。そのまま1−0で逃げ切りました。ちふれASエルフェン埼玉の田邊監督は試合後の記者会見で「我々が今までやれてきた得点の仕方を長野さんにやられたというところで学びの多い負けとして次に繋げていければ」と語り悔しさを滲ませました。AC長野パルセイロ・レディースは、この勝ち点3で決勝戦進出に望みをつなげ、ちふれASエルフェン埼玉は、その望みを断たれる貴重な得点となりました。

ちふれASエルフェン埼玉の田邊友恵監督

2022−23 YogiboWEリーグの女性監督は2人

2年目のシーズンのWEリーグは1年目の2倍の女性監督でスタートを切ります。といっても11チームの中の1人が2人になっただけですから、少ないことに変わりはありません。WEリーグは「世界一アクティブな女性コミュニティ」を目指していますが、実現への道は長く険しいものがあります。指導者については、いまだに男性が主役です。では、世界各国でもトップリーグや代表チームの女性指導者は少数なのでしょうか?

実は、2022年は女性監督の活躍が明確に数字として現れた年になりました。

(残り 1749文字/全文: 3663文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ