WE Love 女子サッカーマガジン

女子サッカー選手がプレーを楽しんでいる姿を見るのが楽しい 「愛おしい」と感じます 大宮アルディージャVENTUSサポーターが生まれたばかりのチームの応援が作られるプロセスを振り返る

大宮アルディージャVENTUSは1試合当たりの平均入場者数2千279人。これは、全WEリーグチームの中で2番目に多い記録です。これまでも、多くの女子サッカーの試合が開催されてきたNACK5スタジアム大宮をホームスタジアムとし、アットホームな雰囲気が定着しました。1年目のリーグで、既に、大宮アルディージャVENTUSらしいホームゲームの雰囲気を作り上げたのです。

今回は、スタジアムの雰囲気づくりに大きな役割を果たしているゴール裏のサポーターにお話をお聞きしました。NACK5スタジアム大宮ゴール裏スタンドの最前列中央で応援している則巻さん、ほくとさん、ホエールさんの3人です。実は、ウィンターブレイクを挟んで、大宮アルディージャVENTUSの応援スタイルが変化したことにお気づきでしょうか。前半戦は「自然発生の手拍子応援」、後半は「太鼓がリードする手拍子応援」に変わりました。関係者から高い評価を得ていた「自然発生の手拍子応援」は、なぜ変更されたのでしょうか。当事者のサポーターに、生まれたばかりのチームで応援が作られていくプロセスを振り返っていただきました。

大宮アルディージャにできた女子チームなので、躊躇することもなく自然な流れで応援を始めた

則巻私は、トップチームのサポーター歴23年目です。ずっと、横断幕と大型フラッグのまとめ役をやってきました。大宮アルディージャVENTUS立ち上げの話は寝耳に水でした。当初は大宮アルディージャに女子チームを持ってほしくなかったです。でも、初めて見に行ったプレシーズンマッチでスタンボー(華)さんを見たときに秒殺されました。ゴール裏の真ん中の一番前の列で見ていたのですが、目の前のスタンボーさんに「あの人かっこいー」と思ってしまいました。この試合を一度見ただけで「大宮アルディージャのエンブレムをつけたチームだし、大宮アルディージャVENTUSを応援しよう」という気持ちになりました。

ほくとFIFA女子ワールドカップ ドイツ2011で優勝したときのメンバーが集まってきたので、興味本位で試合を見に行きました。最初は指定席で見ました。こんなにハマるとは予想できませんでした。さいたまダービーのホームゲームが熱心に応援し始めるきっかけになりました。三菱重工浦和レッズレディースの応援には太鼓がありましたが、大宮アルディージャVENTUSには太鼓がありませんでした。ホームのNACK5スタジアム大宮で、あれだけの応援をやられて、負けていられないと思いました。

ホエール元々はトップチームを13年くらい見ていました。WEリーグができるときに「0から生まれるチームを応援する波に乗ろう」と思いました。0からチームを作ることを体験できることは、なかなかないですね。大宮アルディージャにできた女子チームなので、躊躇することもなく自然な流れで応援を始めました。

則巻さん(左)、ホエールさん(中)、ほくとさん(右)

結果よりも大事なことがあるような気がする

—WEリーグの良いところを教えてください?

ほくと90分間を通してずっと走って、最後まで諦めない姿勢が良いです。大宮アルディージャVENTUSの試合はスタンドにお子さんが多いです。Jリーグの試合よりも、お子さんには勉強になると思います。バレーボールも男子だと一発のスパイクで決まってしまいます。女子の場合は繋いで接戦になるイメージがります。サッカーも似ていると思います。

ホエール笛が鳴るまで走り切るところです。男子のサッカーと比べるとスピードやテクニックが落ちると感じますが「自分の子どものプレーするサッカーを応援する親の気持ち」に近いのかもしれません。単純にレベルが高いサッカーを見たければ海外サッカーを観れば良いです。他の視点で女子サッカーを見ている人が多いと感じます。見ている人は「結果第一」ではありませんね。負けてブーイングが起きることはほとんどありません。結果よりも大事なことがあるような気がします。

則巻トップチームだけを応援しているサポーターの多くは「女子のレベルはねー……。」と言います。でも、私はプレシーズンマッチを見ていたら「ウチの子たち、みんなかわいい」という気持ちになっていきました。「推し」というよりは「見守っている感じ」です。選手の「元気はつらつ」でキャピキャピしている姿が見られます。本当にサッカーを楽しんでいる感じです。その姿を見るのが楽しいです。「愛おしい」と感じますね。男子の選手には、そのようなことを思ったことがありませんでした。

ホエールそういう感覚はありますよね。「楽しくサッカーをやっている」と感じるのが理由だと思います。辛いことがあっても笑顔で声を掛け合ってプレーしている。みんな仲が良さそうに感じます。

ほくとウォーミングアップから楽しそうです。そういうところをJリーグでは見たことがありませんでした。試合前のシュート練習で、スタンボー華選手がスタンドを煽るときもあります。同じWEリーグでも、三菱重工浦和レッズレディースの試合会場の雰囲気とは違いますね。チームごとにそれぞれ違うと思います。

則巻スタンボーさんに「シュート練習でゴールキーパーが止めたら盛り上げてください」と言われました。それから太鼓で盛り上げるようになりました。トップチームでは、そのようなリクエストをする選手はいません。そのようなことを言うと逆に批判されてしまうこともあるかもしれませんね。

武蔵一宮氷川神社を通ってNACK5スタジアム大宮へ行く

トップチームのゴール裏サポーターと客層が違う

則巻大宮アルディージャVENTUSをこれからさらに盛り上げていきたいです。「応援が楽しい」と思って仲間に加わってくれる人を増やしたいです。

ホエールプレシーズンマッチの最初の頃はゴール裏の中心部には10人くらいしかサポーターがいませんでした。徐々にゴール裏スタンドにも人が増えてきました。ゴール裏スタンドからメインスタンド、バックスタンドを巻き込んで、なんとか応援できています。

NACK5スタジアム大宮のゴール裏スタンドはサポーターが点在しているように見えます。みなさんトップチームの応援をしているときの座席と同じ場所で応援しているのでしょうか?

則巻トップチームのゴール裏サポーターと大宮アルディージャVENTUSのゴール裏サポーターでは客層が違います。私と馴染みのあるトップチームのサポーターは、あまり大宮アルディージャVENTUSの試合に来ていません。私も、大宮アルディージャVENTUSの応援では太鼓を叩いている関係で、トップチームを見ているときとは違う席で応援しています。トップチームのコアなエリアで応援されている人の中には、たまに来て2階席の上の方で観戦されているケースやバックスタンドで観戦されているケースもありますね。

ホエール見たいサッカーの好みは分かれますよね。選手の成長の過程を見た人も完成したサッカーを見たい人もいる。特にトップチームのサッカーを好んで見ている人をたくさん大宮アルディージャVENTUSの試合に集めようとすると難しい感じがします。多分、サッカーをしている子ども、女性を取り込む方が集客しやすいと思います。

トップチームをご覧の方はサッカーが好きなことが確実で、その人数も多いのでWEリーグの試合を見に来てくれる人が含まれている可能性は高い。でも、その、みんながWEリーグに来るわけではないので、違う層の開拓も必要そうですね。

ほくと自分も大宮アルディージャVENTUSの成長過程を楽しみにしています。男子のサッカーを見ている人を誘っても、なかなか大宮アルディージャVENTUSを見に来てくれないですね。

オレンジに染まる大宮の街

歌詞の主語が「俺ら」問題

(残り 2030文字/全文: 5445文字)

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