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ありがとう「8日間で3回鹿島」#女子サカマガ が見たE―1現場の知られざる側面 女子サッカー取材紀行 

#女子サカマガ は、今大会で、初めてメディアとして日本サッカー協会による代表マッチの取材パスを取得しました。今大会の取材は、選手、監督、スタッフ、ファン・サポーターからのみならず、ここに集まるジャーナリスト、フォトグラファー、テレビクルーからも多くのことを学びました。試合については、既に記事として掲載していますが、今回は、現地で見て感じた「女子サッカーを支える皆さん」を中心に、あまり報じられない現場の側面をお伝えしていきます。 

茨城県立カシマサッカースタジアム

新型コロナウイルス感染症の再拡大により、中国サッカー協会がEAFF E―1サッカー選手権2022決勝大会の開催を断念。開催地を返上したのは2022年4月のことでした。大会まで3か月。急遽開催の名乗りを上げたのが茨城県立カシマサッカースタジアムと豊田スタジアムでした。短い準備期間、平日のナイトゲーム開催……関係者がたくさんの困難を乗り越えてきたに違いありません。そして、上手くいかないこともありました。例えば、近隣の学校には観戦をお誘いするチラシが配布されていたようです。 しかし、スタンドにお子さんの姿はあまり見られませんでした。

ここから海岸までは徒歩で15分を要する鹿嶋灯台は県立カシマサッカースタジアムの裏にある

一日目 韓国女子代表戦 熱気を感じたダブルヘッダーの記者席 

今日だけは茨城県立カシマサッカースタジアムで男女代表のダブルヘッダーです。受付前から、プレス入り口にたくさんの人が集まりました。多くの第一試合は日本以外の国の代表チーム同士の対戦となりますが、今日は、第一試合がなでしこジャパン(日本女子代表)なので、誰もが遅れないように到着したからかもしれません。ちょうど羽生結弦選手のプロ転向が発表された日ということもあり、受け付け開始までに聞こえてくるジャーナリスト同士の会話にはフィギアスケートの話題も多かったです。テレビクルー、ジャーナリスト(ペン)、フォトグラファーに分かれて整列。検温と手指消毒を行い入場。ADパスを受け取ります。 

WE Love 女子サッカーマガジンとして初のプレスパス

ジャーナリストの座る記者席はメインスタンドの2階席。一般来場者とは動線が分けられており接点がありません。座席はあらかじめ決まっており、筆者の左隣はツイッター・スペースでお話をしたことがあるものの初対面の方、右隣は1993年にお会いして以来の面識のある大御所ジャーナリストとなりました。これがとてもありがたく、良い経験を得ることができました。たとえば「スポーツ・メディアの進むべき方向とジレンマ」について。おそらく、この先 #女子サカマガ も「知っていることを書くべきか書かざるべきか」迷うシーンが増えていくと思います。そんなとき、この日、教わったお話を思い出すのかもしれません。大御所からはたくさんの質問をしていただきました。ずっと長く女子サッカーについて注目し業界をリードして来られた方であるのにも関わらず、わからないことは知っていそうな私に質問するという柔軟なスタンスに驚きました。試合中にも言葉を交わすことが多く、#女子サカマガ として初の代表マッチ取材にも関わらず、リラックスした気分で取材をすることができました。 

第一日目の取材をして感じたのは記者席の熱気と姿勢です。A代表の取材を目的とされるジャーナリストが多いということもあり全体の人数が多い。そして、ピリッとしたムードが漂います。特に印象に残っているのは試合前の国旗掲揚です。アナウンスが始まると素早く立ち上がる人が多い。そして、拍手の音が大きい。大御所は、次に国旗掲揚があると察して、アナウンスが始まる前に、すでに立ち上がっていました。こうしたサッカーに対する真摯な姿勢を見習わなければなりません。 

ジャーナリストはテーブル付きの記者席で試合中に何をしているのでしょう。上から両チームの布陣を把握してノートに絵を描く、スコアブックを付ける、気がついたプレーをメモする、そして、試合中から記事を書き始める。筆者は、試合終了直後に動画を確認するためツイッターのタイムラインを見たのですが、試合終了直後に速報記事が掲載されているメディアが存在するのには驚きます。この記者席のどこかに座るジャーナリストが試合中に記事を書き、読み直し、手を加えて完成し、掲載にまで至っているのです。ものすごい技術だと思います。 

筆者は、池田太監督のコメントを加え、第一試合の記事を第二試合の開始直前に掲載することができました。新型コロナウイルス感染症の影響で、試合後の記者会見はリモートで行われます。多くのジャーナリストはWi-FIに接続し、ZOOMで記者会見に参加します。日頃から女子サッカーの取材をしているジャーナリストを中心に質疑応答がおこなわれますが、JリーグやA代表の取材を中心にされているジャーナリストからの質問もあります。それが、このダブルヘッダーならではですし、再び、なでしこジャパン(日本女子代表)に大きな注目が集まるきっかけになればと思います。 

暑さでのけぞる

二日目 チャイニーズ・タイペイ女子代表戦 注目の低さを認識せざるを得なかった 

二日目も、一日目と同じように検温、手指消毒をした上でスタジアム内に入ります。プレス受付の皆さんに、とても感じ良く声を掛けていただき「今日もしっかりと取材しよう」という気分になります。廊下を進み2階スタンドの記者席に向かいます。一日目と同じ席です。男女代表のダブルヘッダーは一日目のみ。二日目、三日目は取材するジャーナリストの数が少し減ります。以前に取材した産経新聞の邨田さんがそうであったように、大手メディアに「女子サッカー担当」のジャーナリストは多くありません。「サッカー担当」であり他の競技の担当を兼ねる場合もあります。ですから、必ず女子サッカーの全試合に駆けつけるということができないのです。2011年のなでしこブームのように、連日のように女子サッカーの記事が華々しく大きく扱われるような日が再び訪れれば、状況が変わるかもしれません。でも、今は、取材に訪れることができるジャーナリストが頑張り、少しでも、その栄光への階段を登る後押しをしたいと筆者は考えています。 

民間駐車場へのお誘いは鹿島アントラーズのフラッグで

第一試合がなでしこジャパン(日本女子代表)とチャイニーズ・タイペイ女子代表の対戦。第二試合が中国女子代表と韓国女子代表の対戦となりました。今日は土曜日。おそらくテレビ中継の関係で暑い第一試合がなでしこジャパン(日本女子代表)に割り当てられました。一日目と同様にゴール裏スタンドの声出し応援エリアには、熱心に応援するサポーター達が陣取ります。 

本当は、サポーターにこの大会に賭ける思いを直接聞きたいところですが記者席は隔離となっており、それはできません。でも、今は必要ないかもしれません。暑さの中でスタジアム内に響くコール、チャント、歓声から、その思いは十分に伝わってきます。そして、両チームの選手に対する尊敬の念も。

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