米国女子代表が世界最強に向う第一歩 タイトル・ナイン(Title IX)成立50周年 日本人との意外な接点
タイトル・ナイン(Title IX of the Education Amendments of 1972)が成立して50年が経ちました。タイトル・ナインは「公的高等教育機関における男女の機会均等」を定めた連邦法の修正法で1972年6月23日に成立しました。
To the pioneers who led the way, and those who will break new ground:
Thank you.#Fifty50 x #TitleIX pic.twitter.com/vmRx1LIMFo
— U.S. Soccer WNT (@USWNT) June 23, 2022
どのような法律なのかを前文が示しています。「米国に住む全ての人は,連邦政府から援助を受ける教育プログラムや活動において、性別を理由に排除されたり、利益を与えられなかったり,差別を受けることはない」。WEリーグの岡島喜久子チェアは就任直後からタイトル・ナインの重要性を繰り返し発言しています、なぜでしょうか。
? Oh hey, we know them @Ashlyn_Harris & @alikrieger ?
Proud of our partner @Ally and their commitment to changing the game! #WatchToChange #TitleIX pic.twitter.com/zWtoZa2YnG
— National Women’s Soccer League (@NWSL) June 23, 2022
スポーツにおいても男女平等を義務付けた、50年前の当時、画期的な法律
公的高等教育機関におけるスポーツに当てはめると「男女の機会均等」は「参加機会」「奨学金」「学生競技者の処遇」です。これらを平等にしなければならないという法律です。つまり、タイトル・ナイン成立後の米国では公立の学校(主に高校、大学)に男子のサッカー部を創設したら女子のサッカー部を創設しなければ法律違反になるし、男子のサッカー部員に奨学金を提供するならば女子のサッカー部員にも同条件の奨学金を提供しなければ法律違反になる、そして同条件で男女のサッカー部がグラウンド等の設備を使用できるようにしなければ法律違反になるのです。
日本では「女子サッカーを楽しむ環境が整っていない」「プレーしたくてもプレーできるチームがない」というプレーヤーの悩みがいまだに解消されません。「男子サッカー部がグラウンドを使うから女子サッカー部が練習できる余地はないと言われた」という話も聞きます。しかし、米国では50年前に、法律でこれを解消していました。タイトル・ナインの成立後、女子サッカーのプレー人口は急増。NFHS(米国州立高校連盟)の『競技者数調査』によると1971年の米国高校女子サッカー選手はわずか700名ですが、タイトル・ナインの成立翌年の1973年には1万人に達します(https://sportie.com/2015/08/womens-soccer)。当時の米国はウーマンリブ運動の真っ只中にあり、テニスでは、全米オープンの賞金が1973年から男女同額になりました。
日本で全日本高等学校女子サッカー選手権大会と全日本大学女子サッカー選手権大会が始まったのは、米国でタイトル・ナインの成立から20年後の1992年のことでした。日本の女性は、今でも十分なプレー機会を得られていません。
国務省は、「教育改正法第9編が公布されてから50周年を迎えました。この法律は、全米の女性と少女に教育やスポーツの新しい機会を提供した画期的な法律です。スポーツ外交やその他のプログラムを通じて、国務省は世界中でジェンダー平等の推進を目指しています」とツイートしました。 #TitleIX https://t.co/MG8LUhITHH
— アメリカ大使館 (@usembassytokyo) June 24, 2022
米国はタイトル・ナイン50周年でお祭り状態
ツイッターで #TitleIX を検索すると、様々なツイートに出逢います。米国国務省はGIF付きのツイート。GIFには世界一になった米国女子代表の姿も含まれています。タイトル・ナインはニューズウィークの表紙を飾り、各種競技団体も積極的に発信。まるでお祭りのようです。アマゾンで検索すると、タイトル・ナインをモチーフにしたアパレルグッズがいくつも見つかります。
“Bet on yourself because that is your best bet every single time.” @Venuseswilliams | #TitleIX https://t.co/fovHTCPW7O pic.twitter.com/o8Jq6s5t9R
— Newsweek (@Newsweek) June 22, 2022
竹本まつさんがタイトル・ナインの草案を起こした
日本でも「日本版タイトル・ナインの制定を目指そう」と発言した議員は何名か存在します。しかし、そうした動きは、いつの間にか立ち消えになり、日本の女子スポーツ界は、いまだに、大袈裟に言えば「米国から50年遅れた立ち位置のまま」でゆっくりと歩んでいます。
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