21市町を巡るV・ファーレン長崎のサッカー教室 前田悠佑さんに聞く
長崎県には971もの島があります。長崎県は、島の数が多い都道府県ランキング1位なのです。そんな島を含め、長崎県全域21の市町を巡回しているサッカー教室があります。それは、V・ファーレン長崎のサッカー教室です。例えば、2021年11月21日には、中学生からレディース(社会人まで)の方を対象とした女子サッカー教室を五島列島北部の小値賀町(長崎県北松浦郡)で開催しました。長崎駅から小値賀港までは、電車と高速船を乗り継いで約4時間かかります。
V・ファーレン長崎は長崎県全域をホームタウンとしているのです。
年間13回の女子サッカー教室を開催
「離島からプロサッカー選手が出れば、離島の人たち全員がスタジアムに応援に来てくれるくらいの温度を感じます」(V・ファーレン長崎 普及インストラクターの前田悠佑さん)V・ファーレン長崎の指導者は、島に上陸すると、大歓迎を受けます。それくらい、V・ファーレン長崎のファンは長崎県全域に広がっています。
V・ファーレン長崎が女子サッカー教室に力を入れはじめたのは2021年から。2022年3月現在で開催回数は14回になりました。まずは「サッカーが楽しい」と思えるようなボールを使ったメニューから始めています。
人が地域とのつながりを感じられるきっかけに
V・ファーレン長崎とは、どのようなクラブなのでしょう。V・ファーレン長崎 代表取締役社長(当時)の髙田春奈さんは、NewsPicksの連載、地域と生きる『「生きがい」と「つながり」を生み出すスポーツの力』(2021年9月21日)で、地域とスポーツについて、このように話しています。
「ひとつ目はサッカーというファンの裾野の広いスポーツを通して、県民の関心の矛先、生きがいになっていけるのではないかということ。(中略)ふたつ目は地方以外の人が地域とのつながりを感じられるきっかけになるのではないかということです。」
V・ファーレン長崎は『地域活性化の中心になる覚悟』を決め、地域の魅力を最大化することを目指しています。Jリーグでトップチームが活躍することは、その代表的な活動ですが、こうしたサッカー教室も、過疎化が進む地域の交流を生み出すアクションになっています。
「スタジアム外での県民との交流は、よりチームを応援する気持ちを高めてもらえますし、選手たちのチーム愛の醸成にもつながると感じます。」と髙田春奈さんは想いを表現していました。
さらには、ジャパネットホールディングスが、サッカースタジアムを中心に、オフィス・商業施設・ホテルなどの周辺施設を民間主導で開発する「長崎スタジアムシティプロジェクト」を進めています。ジャパネットホールディングスは「当事者として日本初の地域創生モデルを創り上げる」先駆者を目指しているのです。
前田悠佑さんに聞く女子サッカー教室の現場
今回は、普及インストラクターの前田悠佑さんに、お話をうかがいました。前田さんはホンダロックSCからV・ファーレン長崎に加入。J1昇格に貢献する大活躍をされた後に2018年シーズンを最後に引退。Jリーグ百年構想およびV・ファーレン長崎のクラブ理念に基づいた、ホームタウン活動推進とサッカー・スポーツの普及活動を行っています。
—V・ファーレン長崎は地域づくりに積極的なクラブだと思います。地域の皆さんと一緒に活動していくモットーのようなものはありますか?
前田—V・ファーレン長崎は長崎県内唯一のプロサッカークラブです。その活動は長崎県民への影響力が大きいと感じています。ホームタウンである長崎県の課題解決のハブになることができるよう、地域に寄り添い、一緒に活動しています
—サッカー教室で目指すところは
前田—参加人数が増えてくれると良いですね。たくさんの人とサッカーをできると、これまで少人数でしかサッカーをできなかった参加者は、とても楽しいと思います。
まず、サッカーをやる場を提供しています。物理的な場に加えて「クラブに入っていないからボールを蹴れない」といった皆さんも参加いただけるメニューと場の雰囲気作りに心がけています。
男の子よりも上手い子も出てくる
—長崎県の女子サッカーはプレー人口が多いわけではないとお聞きしていますが、普及の観点で感じることはありますか?
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