WE Love 女子サッカーマガジン

JFA女子サッカー普及コーディネーターから見たWEリーグ 女子サッカー選手だと胸を 張って言える環境に(無料記事)

サッカー協会の運営には3つの柱があります。「普及」「育成」「強化」です。今日、ご紹介する、るーしーさんは理学療法士でJFA級コーチライセンス保有者。「強化」にあたるU-12女子トレセンコーチと「普及」にあたる2017-2020JFA女子サッカー普及コーディネーターを勤められました。

JFA女子サッカー普及コーディネーターは、女子サッカー普及活動の調整役として、既存の事業や行事、制度等を有効活用し、それらを更に発展させる他、女性がサッカーにより気軽にアクセスできる環境の創出や整備を様々な観点から促進させる役割を担っています。

「育成」や「普及」の現場から女子サッカーのプロ化はどのように見えるのか、お話を聞いてみました。

女子サッカー普及コーディネーターの存在を知らない人がたくさんいます。

普及コーディネーターについて教えてください。

るーしーJFA女子サッカー普及コーディネーターは女子サッカーをより良く普及できるように各都道府県に相談窓口を置いている役割です。都道府県でそれぞれ違う課題の解決のために取り組んでいます。「普及」のための活動なので「サッカーをやったことがない子がやるために」とか「トップクラスではないけれどサッカーを続けたい人のため」など「強く」ではなく「広く・細く」「長く」サッカーファミリーをどのように維持していくかをやっています。

女子サッカーをプレーしている人でも、女子サッカー普及コーディネーターの存在を知らない人がたくさんいます。女子サッカー普及コーディネーターの存在が広く知られて、たくさんの課題が女子サッカー普及コーディネーターに集まるようにならなければならないと思っています。

トレセンは、どのような役割ですか?

るーしートレセンコーチは「普及」「育成」「強化」の中の「強化」がメインです。上手い子をより上手く高いレベルへ。(トレセン選考会に参加される)人数が多いので地域ブロックで選考をかけて、その中から(優秀な選手を)選んでいきます。選ばれた選手はちょっと育成のスピードが早いコースに乗れます。選考会に来る子は選ばれたい、選ばれれば、なでしこクラブのセレクションに受かりやすいと思っているのはあると思います。トレセンに選ばれただけで評価されたという印になるからです。

「幸せになるから行ってこい」と言われるようになってほしい

「育成」「普及」の現場から、WEリーグはどのように見えますか?

るーしー私はU-12女子トレセンコーチとして指導してきたので「この子たちが幸せになればプロだろうとプロでなかろうと、どちらでも良い」と思ってきました。別に高校でサッカーを辞めて、ママになったらまたやってみたくなってプレーを再開したとかでも良いですし、(いつか)帰ってくるべき場所にサッカーがあれば良いという思いが強いです。(WEリーグがスタートして)彼女たちが「WEリーグに行けば幸せになるから行ってこい」と言われるような、WEリーグになってほしいです。

るーしーさんは、男子と一緒に中学校のサッカー部でプレーして、試合開始前に対戦相手の選手から「女と握手なんてできねーよ!!」と握手を拒否された経験をお持ちですものね。

今、女子サッカーに関わる人は、サッカーをやれる環境と、価値を創る役割の一端を担っています。「女なのに、サッカーやっているの?」とずっと言われてきたのに、選手になってメディアに取り上げられると急にメディア側から「ちょっとお姫様みたいにやって見てください」と頼まれたら「いや、ちょっといいです(苦笑)」って否定しちゃう子がいるみたいな感じです。

最初から「サッカーをやっているのはすごいよ」「半端ないよ」「素晴らしいよ」ってずっと言われ続けてきたら、もっと胸を張って「私は女子サッカー選手です」って言えるのかもしれないです。そういう子を、今後はたくさん育てていけたら良いなと思います。

提供:るーしーさん

「女子サッカーやっていた人は歓迎だよ!」と当たり前に評価してもらえる社会に

女子サッカー選手だと胸を張っておっしゃる現役選手の方も多いかと思いますが、それって、きっと沢山の辛い経験もして乗り越えてきたから……。今は、女子サッカー選手が(何であるかを広く)社会に認められているわけではないので……。例えば、就職活動で元甲子園球児をアピールしたら、それなりに「真面目に取り組める」とか社会的に良い人材として見てもらえるイメージがある。それと同じように「女子サッカーやっていた人は誰でも歓迎だよ!」と当たり前に誰からも評価してもらえる価値が、女子サッカーに必要なのかなって思います。

(インタビュー:2020年6月26日 石井和裕)

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