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「スター選手不在」を誰が解消するか?WEリーグの認知率26.4%見える課題と各クラブの成果

WEリーグは「女子プロリーグに関する調査」を実施。2022年1月26日に結果を発表しました。

平均観客数5千人を目標に掲げてスタートしたWEリーグですが、第10節までの観客総数は8万5千771名。1試合平均 1千715名にとどまっています。1試合最多観客数は第9節、三菱重工浦和レッズレディースが埼玉スタジアム2002にマイナビ仙台レディースを迎えた一戦の4千509名です。物足りなさが残る前半戦となりました。これから、どのように課題を解決していけば良いのでしょうか。そして、ここまでの戦略はファン・サポーターに受け入れられてきたのでしょうか。

今回は、2020年9月に実施した同調査との比較をしながら、WEリーグの現在地を明らかにしていきます。

認知率は大幅に向上するものの合格点に達せず

2017年のある調査によると、代表チームの愛称の認知率の中で、なでしこジャパン(日本女子代表)82%と侍ジャパン(野球日本代表)79%が頭抜けています。新体操のフェアリージャパンは32%、ホッケー女子のさくらジャパンは21%ですから、なでしこジャパンの認知の高さがわかります。

今回のWEリーグの調査によると、WEリーグの認知率は26.4%になりました。一年前と比べて+10ptの大幅増加となっています。WEリーグの開幕によって、徐々に世間に知られつつあるといえます。では、この26.4%という数字を、WEリーグはどのように評価すれば良いのでしょうか。

#女子サカマガ は、比較検討するプロスポーツ団体をバスケットボールに定めました。過去10年以内に立ち上がり、成功を収めた代表的なプロリーグだからです。B.LEAGUE onlinesurvey 及びニールセンWEBマーケティングの調査資料によると2015年にスタートした時点でプロバスケットボールリーグ・Bリーグの認知率は41.2%。1年後の2016年には64.8%にまで認知率を伸ばしています。

WEリーグは、Jリーグやプロ野球と横並びの認知率獲得までは難しくても、当時のBリーグと同等の認知率は獲得したいところです。1年目Bリーグとの認知率の差は約15%。全国各地で盛り上がるBリーグに追いつくためには、急ピッチで認知率を向上していかなければならないということがわかります。

26.4%というのは2015年時点、最後のシーズンとなったbjリーグ(Bリーグに移行する前のプロバスケットボールリーグ)の認知率28%と、ほぼ同じです。当時のbjリーグの置かれた状況を思い出してください。この数字から、WEリーグの現在地をイメージできるのではないでしょうか。

男女を問わず共感を広げるWEリーグの戦略は成功

WEリーグの特徴として「観客数は十分といえないが、大型パートナー企業を獲得できている」良い意味のマーケティング先行があります。多くのパートナー企業の支えで、今のWEリーグは成立しています。観戦意向についても同様で、観戦よりも先に共感の輪が広がりつつある調査結果が出ています。

WEリーグの設立意義『女性活躍推進』に共感する」と回答したのは32%。認知率が26.4%ということを考えると「女性活躍推進(岡島チェアは『ジェンダー平等の実現』と表現)」がWEリーグへの共感を先導してきたことがわかります。中でも10代女性の50%、20代女性の41%が共感すると回答。男性も10代は39%が共感すると回答しており、男女を問わず、若い世代からWEリーグの取り組みの共感が広がりつつあるといえます。

集客プロモーションに明確な課題

観戦意向の高さも、共感と同様に若い世代に強く見られるので、WEリーグの設立意義「女性活躍推進(岡島チェアは『ジェンダー平等の実現』と表現)」は、戦略として適切であったといえます。しかし、これが、観戦意向の向上に直結しているわけではないことも示しています。「WEリーグを観戦したい」と回答した人が18%にとどまっているからです。

WEリーグは共感を広げると同時に、認知を向上し、選手、競技そのものや試合会場への興味・関心を醸成することで「WEリーグを観戦したい」と感じさせる集客プロモーションに力を入れる必要があるでしょう。

これまで、共感を広げる広報活動と集客プロモーションのバランスが、やや悪かった感があります。これからバランスは修正され、より効果的な集客プロモーションが展開されるものと予想します。

営業努力が実りつつある宮城県と長野県

WEリーグ・クラブのホームタウンを有する都道府県別では、特に宮城県と長野県で認知が拡大しています。全クラブを比較して見てみましょう。

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