NWSLでは、選手、みんながリーグのためを考えて行動している「すごいな」と思いました 横山久美選手(ワシントン・スピリット)
Tony Quinn/ISI Photos/Getty Images Sport/ゲッティイメージズ
宝田沙織選手と横山久美選手が所属するワシントン・スピリットが、米国女子プロサッカーリーグNWSL(National Women’s Soccer League)の女王に輝きました。
また、6月にトランスジェンダー(法律上の性別は女性で性自認は男性)であることを公表していた横山選手は、ワシントン・スピリットの本拠地アウディ・フィールドで、かねてからお付き合いする、看護師のなみさんにプロポーズしたことが世界的に話題に(10月)。11月23日に入籍を発表し、横山選手にとっては、多くの人から祝福を受ける2021年となりました。
今回は、横山選手に、NWSLと日本との違い、ご結婚への予想外の反響、2021年シーズンについて振り返っていただきます。最後に、WEリーグで活躍する選手の皆さんへのメッセージもお預かりしています。ぜひご覧ください。
日本語って難しいし文字で見たら伝わり方色々あるな〜
とにかくたくさんのメッセージありがとうございます!
アメリカ婚しました!
より一層身を引き締めて頑張ります!!! pic.twitter.com/hPjqHqMihi— Kumi Yokoyama/横山 久美 (@yoko10_official) November 24, 2021
激動の一年は中盤のポジションを中心に出場
横山—自分自身は試合に出られなくて苦しいことも多かったのですが、NWSLに優勝し、普通では経験できないことを味わえました。チームのフォワード全員が米国女子代表です。そういう環境でチームメイトと競い合えたのは良かったです。
—高いレベルのNWSLでワシントン・スピリットが優勝できた要因は何でしょうか?
横山—チームが団結していたと感じます。今年、ウチのチームは、(言葉による虐待問題の疑いで調査を受けリッチー・バーク監督が解任等)色々なことがありました。だからこそ、選手だけは一致団結していたと感じます。
—先発出場が少ないシーズンとなりました。ご自身のプレーについてはいかがでしたか?
横山—チームは連勝していましたし、監督も替わり、先発メンバーは固定されていました。自分以外のサブのメンバーも出場機会が少なかったと思っています。でも、サブでも自分ができることはやれたと思っています。
—ワントップ以外に両サイドで出場された試合もあります。色々なポジションをプレーしたことについてはいかがですか?
横山—今シーズンは、中盤というか1.5列目をプレーすることも多くて、今まで自分がやってこなかったことを新たにできたのは良かったです。自分よりも足が速い選手も多いですし、どんなに強いパスを出しても間に合ってくれるチームメイトが多いので、フィニッシュの部分よりもアシストが多いプレーでした。海外に来て2年目です。思うことはありましたが(中盤、1.5列目のプレーは)嫌ではなかったので楽しくやらせてもらいました。
選手みんながリーグを良くしたいと考えているNWSLのアクション
—日テレ・東京ヴェルディベレーザの遠藤純選手がNWSLのエンジェル・シティFCに移籍すると発表されました。既にプレーされている横山選手から見た米国女子サッカーの強さの秘訣を教えてください。
横山—どのチームが優勝してもおかしくないのがNWSLのチームの強さだと思います。米国の選手は、サブの選手でも、結構な高いレベルでプレーできます。そして、米国女子代表選手が、各チームに散らばって所属しているからこそ、NWSL各チームの実力が均等になっているのだと思います。(※NWSLは、米国女子代表選手が、可能な限り均等に各チームに分散して所属しプレーする制度になっています。)
リーグ全体のレベルが高いと思います。それから、選手、みんながリーグのためを考えているということを感じますね。(選手会の)選手代表が各チームにいてミーティングを週に2〜3回行っています。さらに、選手全員を対象にしたミーティングも行っています。「すごいな」と思いました。みんながリーグを良くしようと協力的なアクションをしていると感じました。日本では、絶対にあり得ないと思いました。選手は活発に意見を出し合います。
—そうした米国でのプレー、生活で、渡米前の期待を上回っていたことはありますか?
横山—サッカーに集中する環境が作られていることを感じました。そして、それに満足せず、選手たちが意見を出していくことは想像していませんでした。
待遇も違いますね。スパイクやユニフォームを全部用意してくれる人がいます。練習着を洗ってくれる人がいます。朝・昼の食事が提供されます。プライベートジェットで移動することもあります。
逆に、試合が、ストライキで中止になることも、日本ではあり得ないと思いますね。今年は、パワーハラスメントの問題でストライキが起こりました。
—緊迫感や切磋琢磨のようなことは感じますか。
横山—サポーターの多いチームのホームゲームに行くと強いアウェイ感があります。サポーターが多いのでやりがいがすごくあります。結構、怖いところもあります。ワシントンのサポーターは温かいですね。
ご結婚で生まれた自分だけの人生ではない責任
—ご結婚への祝福、周囲からの反応について、どのように感じていらっしゃいますか?
横山—自分の目に見えること、耳に入ってくることは、すごく温かいことが多いです。こんなに大きな反響をいただけると思っていなかったので予想以上です。
—ご結婚後の生活の変化はありましたか?
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