対戦相手によって毎試合変わっていくN相模原を見にきてほしい WEリーグ後半戦の巻き返しを誓う松原有沙選手
ノジマステラ神奈川相模原は、WEリーグの前半戦を10位で終えました。得点3は全チームで最も少ない数字です。しかし失点は10にとどめています。守備を重視した我慢のサッカーが続いたのだと思います。今回は、攻守の要としてセンターバックやボランチでプレーする松原有沙選手のお話をお聞きしました。
松原選手はなでしこジャパン(日本女子代表)に召集されましたが、直後に怪我をしてしまい、これを辞退。残念ながら、池田太監督の初陣に参加することができませんでした。どのような気持ちでウィンターブレイクを迎えたのでしょうか。
気持ちを切り替え結果を残したい
松原—なでしこジャパン(日本女子代表)の監督が代わり、池田太監督の最初の合宿に声をかけて頂いたのは、とても嬉しかったので、怪我で参加できなかったのは悔しかったです。1月のAFC女子アジアカップインド2022でメンバー入りすることを目指していたので参加したかったですね。でも、それが今の全てではありません。ノジマステラ神奈川相模原でのリーグ戦、皇后杯 JFA全日本女子サッカー選手権大会があります。気持ちを切り替えて、まずは所属チームで結果を残して、またチャンスをもらえるように頑張りたいです。
—WEリーグの前半戦を終えて、ここまでの手応えを教えてください。
松原—リーグ全体のレベルが、去年のなでしこリーグ1部よりもアップしたと思います。特にフィジカルの強度や勢いが違うと感じます。自分たちのチームは、プレシーズンマッチで1勝もできず、大量失点してしまいました。そこで、WEリーグの開幕前は守備に重きを置いてトレーニングをしていました。WEリーグが開幕すると、直後は守備の手応えを感じる部分がありました。ただ、点が取れない……。守備に重きを置きすぎて、どうしても重心が後ろに行ってしまうことが多かったです。そこが、WEリーグ前半戦の課題だと感じました。
また、前半戦は全試合で3得点でした。でも、ゴールを目指す形は、少しずつできるようになってきたと思います。ただ、攻撃に力をかけすぎると守備がうまくいかなくなる面もあり「できるところ」「できないところ」両方を多く感じています。
前でボールを奪うことができなかった
—松原選手は、強い強度でボールを奪って攻撃に展開する選手だと思うのですが、そうした選手でも、リーグ全体の強度が上がり、シビアになっている印象が強いですか?
松原—球際の厳しさ、切り替えの速さはより上がったと感じます。「守備から攻撃への勢い」があるチームが結果を残している印象があります。
—「守備から攻撃への勢い」というのは速さでしょうか?
松原—切り替えの速さや、瞬時に攻撃にかける人数の多さです。
—ノジマステラ神奈川相模原はボールを奪う位置が深くなっていたデータがあります。「守備から攻撃への勢い」に対して、前から奪いにいかず、後で陣形を立て直すようなところがあったのでしょうか?
松原—できれば、前でボールを取りたい気持ちはあるのですが「まずは失点しない」ことを優先に考えたときに、どうしてもボールを奪う位置が後ろになってしまいます。ポゼッション力のあるつなげるチームではないので(敵陣まで距離があると)良い攻撃に結びついていないのかもしれません。仕掛けられる選手は多いです。ウィンターブレイクのトレーニング・マッチでは、ボールを奪って、サンデイ・ロペス選手を中心に、ゴール前までボールを運ぶ機会が増えてきています。高い位置でボールを奪えば、得点のチャンスは増えると思います。

脇阪麗奈選手(右)はセレッソ大阪堺レディースから加入した3選手の1人
新加入の選手が、すぐに馴染めるような環境づくりを心掛けた
—WE ACTION DAY(理念推進日)の取材もさせていただきました。みなさん、大変に仲が良く、明るい雰囲気だったと思っています。松原選手はキャプテンとして、チームをうまくまとめることができている印象でしょうか?
松原—自分自身は怪我による離脱期間が長かったので、ピッチで何かをできることは少なかったのですが、上下関係があまりないチームなので、誰が年上なのかがわからないような雰囲気です(笑)。そういうムードがずっと以前からあって、それを継続しています。
今年は選手の入れ替わりが多かったので、新加入の選手がすぐに馴染めるような環境づくりを心掛けました。特に関西から来た3人が、すごくすんなり入ってきました(笑)。関西弁が飛び交っています。それを見て、周りの選手も入りやすかったのかもしれません。

WE ACTION DAY(理念推進日)の活動
ボールの失い方が悪くなければ、もっと得点できるはず
—今シーズンは最終ラインでプレーされることが多いですね。
松原—センターバックもボランチも、どちらも楽しいと思っています。でも役割は違うわけで、センターバックでは、より失点しないことを意識してプレーしています。後ろからのビルドアップに関しても違います。自分の長所はロングキックなので、後ろから、ロペス選手を中心に集めるボールを入れることを意識しています。センターバックは、より全体を見られるポジションなので、選手同士の距離感や試合の進め方を考えながらプレーしています。
—今シーズンは、最終ラインからロペス選手に直接入るボールが多く、昨シーズンとは、随分とやり方が変わったように見えます。いかがですか?
松原—後ろから組み立てて崩したりしていくのも一つの手だと思いますが、ロペス選手のような大きな選手は他のどこにもいません。ロペス選手にボールを集めることで、ときには囮にもできます。攻撃のスピードを速くしていきたいですね。もし、速い攻撃の途中でボールを奪われても、高い位置で奪い返せばショートカウンターをすることができます。
—昨シーズンは、多少はルーズなボールでも相手陣にボールを入れて、ロストしてもボールを奪い返して、すぐにショートカウンターを仕掛けるプレーが多かったですね。
松原—ボールの失い方が悪くなければ、自分たちでラインを押し上げて前からプレスをかけられると思います。
—北野監督の考えるサッカーを選手側から見て、上手くやれている実感はありますか?
松原—北野さんのサッカーは、対戦相手によってフォーメーションを変えたり、試合の進め方を変えたりするので、それに対応することが選手に求められています。ただ、実際に、それを試合でできる部分と、力が足りずできていない部分があります。北野さんのやろうとするサッカーを、自分たちがピッチで表現できれば面白いサッカーになると常に思っています。
どの試合でも基本的なところは変わらないのですが、対戦相手によって毎試合戦い方が変わるので、選手は考えて頭を切り替えなければなりません。選手としてはプレーの幅が広がりますね。
—北野監督は、開幕時の会見で「ゴール前に大型バスを置く」という独特の表現をされました。選手との会話でも、このような独自の表現をされるのでしょうか?
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