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小原由梨愛選手の #女子サカ旅 前十字靭帯の怪我を乗り越えた秘訣は「周りを頼る!」

今回は、元なでしこジャパンの小原由梨愛選手のインタビューです。エレガントなプレースタイルと併せて、常に「萌え袖」と呼ばれる指先しか見えない長袖でのプレーも注目を集めました。小原由梨愛選手は、常盤木学園高校を卒業後、アルビレックス新潟レディースで10年間プレー。2019年シーズンからニッパツ横浜FCシーガルズでプレーしています。AFC女子アジアカップベトナム2014でなでしこジャパンに招集され初出場。当時の日本のサイドバックは、男女を問わず、スピードのあるドリブルで縦に勢いよく突破してサイドをえぐり、浮き球のクロスを折り返すとのが良いとする風潮が強かったのですが、筆者には、プレーに幅のある小原由梨愛選手が、なでしこジャパンに呼ばれたことで、日本のサイドバックの潮流が変化していくことを感じた記憶があります。

提供:ニッパツ横浜FCシーガルズ

2度の膝前十字靭帯損傷を経験

小原由梨愛選手は、なでしこジャパンで初出場した翌年、EAFF東アジアカップ2015決勝大会でもなでしこジャパンに選出されましたがトレーニングキャンプで負傷。左膝前十字靭帯損傷と診断され全治約6カ月。その後、なでしこジャパンに選出されることはありませんでした。実は小原由梨愛選手は、2012年にも右膝前十字靭帯損傷(全治約6カ月)を経験しています。これまで、多くの女性アスリートが膝前十字靱帯損傷に悩まされてきました。この怪我のダメージは大きく、長期離脱や引退を余儀なくされます。しかし、30歳を迎えた小原由梨愛選手は、ニッパツ横浜FCシーガルズでプレーを続けています。小原由梨愛選手は、どのように、この大きな怪我を乗り越え、プレーを続けることが出来たのでしょうか。アルビレックス新潟レディース時代に訪れたお気に入りの島と併せてご覧ください。

このインタビューの直後に行われた古巣のアルビレックス新潟レディースとの対戦。小原由梨愛選手は、とても楽しみにされていました。横浜FCシーガルズは1点を先制したものの1-3で惜敗。69分に出場した児野楓香選手の2得点に屈することになりました。

 1部から2部に舞台を変えてプレーする選手が増えてきた

小原–若い勢いのある選手が、どんどん出てきています。プレナスなでしこリーグ1部のアルビレックス新潟レディースで10年間プレーして2018年シーズンに「潮時かな?」と思いました。私は高校卒業から、ずっとアルビレックス新潟レディースでプレーしてきました。そろそろ、少し違う目線で自分のプレーを出せるサッカーをできたら良いなと思い、2019年シーズンにプレナスなでしこリーグ2部のニッパツ横浜FCシーガルズに移籍しました。以前は1部の選手は1部だけでプレーして引退することが多かったと思っていたのですが、ここ数年間で、1部から2部に舞台を変えてプレーする選手が増えてきましたね。2部は1部と、やっているサッカーが違います。私はニッパツ横浜FCシーガルズで、刺激のある2年間を過ごさせていただきました。最近、2部のレベルが上がっていると思います。

小原由梨愛選手の #女子サカ旅 は新潟県の佐渡島

小原–佐渡島は2日くらいあれば一周できるんですよ。新潟市からジェットフォイルかフェリーで行かれます。ジェットフォイルだと1時間くらいで佐渡島に着きます。佐渡島は凄い好きですね。何回も行きました。二ツ亀という場所がとても綺麗です。海が綺麗で、山もある。ドライブするだけで心が癒される景色です。佐渡島に「弁慶」と「すしや まるいし」という回転寿司があります。本当に美味しいです。新潟市内(と、銀座、神田)の「弁慶」は支店です。あと、佐渡には金山があります。金山資料館に「金塊チャレンジ」という12.5キロもある重たい金塊を30秒以内に片手で掴んで取り出すゲームがあるんです。私、取れました。凄くないですか!? あれ、全然、この凄さが伝わらないですよね(笑)。北沢浮遊選鉱場跡も観光名所になっていて私が行ったときはライトアップしていました。

北沢浮遊選鉱場跡 提供:小原由梨愛選手

北沢浮遊選鉱場跡 提供:小原由梨愛選手

年間で130人ほどしか成功しない金塊取出認定証 提供:小原由梨愛選手

佐渡島は新潟県西方沖に浮かぶ豊かな自然に恵まれた島です。江戸時代から鉱物資源の採掘で知られて、その歴史を辿る旅も人気です。北沢浮遊選鉱場跡砂金採掘は佐渡の繁栄を支えた近代遺産です。二ツ亀は独特な景色と透明な意味で知られ、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで二つ星として掲載されています。

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膝前十字靭帯の怪我からポジショニングを大幅改善

日本サッカー協会が公開している「女子選手の留意点 2種3種年代向けフィジカルガイドライン」によると、女性選手の膝前十字靭帯の怪我は特別に多く、発生率が男性の5倍といわれています。怪我が発生するのは、主にジャンプの着地動作や方向転換動作 。男子よりも骨盤が広く股関節の形状が異なるため、膝が男子よりも内側に向きやすいというところに原因があるといわれています。

提供:ニッパツ横浜FCシーガルズ

小原–1回目の膝前十字靭帯の怪我は上り調子で色々なことが見えてきたとき(201221歳)でした。本当に、何が起きたのか分からなくて……でも女子サッカーは膝前十字靭帯の怪我が多いじゃないですか。だから、周りにいた先輩たちは「あーやったなー」って(落ち着いて)対応してくれました。でも、そのとき、私の中では信じられなくて、これから何が起こるのか、自分の心理がどのようなことに陥るのか想像がつきませんでした。全てが新鮮な9ヶ月間が始まりました。人間が凄いのは、そんな状況の中でも楽しもうという心理になることです。それからは(治療が進み)やれることが日に日に増えていくのが楽しく喜びが大きかったです。サポーターや周りの関係者に助けられました。とても心強かったです。

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