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なでしこジャパン主将・熊谷紗希選手が暮らす街 映画と共にリヨンを旅する 【石井コラム】

ヨコハマ・フットボール映画祭2021は、2020年1月30日に、WEリーグ誕生記念! 女子サッカーを旅する1日 でスタートしますフットボール文化祭 の開催は見送りになりましたが映画祭は開催されます)。今回は、作品の中から「オリンピック・リヨン女子サッカー最強チームの真実」の舞台となるフランス第二の都市リヨンをご紹介します。FIFA女子ワールドカップ2019フランス大会の準決勝戦と決勝戦はリヨンで開催されました。筆者は決勝戦を観戦したのです。

FIFA女子ワールドカップ2019フランス大会決勝戦での筆者 リヨンの街のシンボルはライオン

「女子サッカー選手が自分の意見をかなり言っている」熊谷紗希選手

オリンピック・リヨン(女子チーム) はディヴィジオン・アン・フェミナン(フランス女子1部リーグ)を18回(14連覇中)、UEFA女子チャンピオンズリーグを7回(いずれも歴代最多)優勝している欧州最強チームです。「オリンピック・リヨン〜女子サッカー最強チームの真実〜」は、オリンピック・リヨン(女子チーム)が三冠に挑む2018/2019シーズンを密着撮影したドキュメンタリー映画です。男子のメッシ(バルセロナ)やロナルド(ユベントス)、レバンドフスキ(バイエルン・ミュンヘン)らと同様にFIFA女子最優秀選手候補にノミネートされている熊谷紗希選手(オリンピック・リヨン)は #女子サカマガ のインタビューで、映画について、このように答えています。

「女子サッカー選手が自分の意見をかなり言っているところを見てほしいです。選手の暮らしや環境を見てもらえるので日本公開は嬉しいですね。」

「オリンピック・リヨン〜女子サッカー最強チームの真実〜」より

映画では、練習場を始め、オフザピッチの選手たちの行動や会話が多く捉えられています。では、この映画の舞台となったリヨンは、どのような街なのでしょうか。この記事では、再び筆者がリヨンを旅するように、ご紹介します。


「オリンピック・リヨン〜女子サッカー最強チームの真実〜」予告編

フルヴィエールの丘に街のルーツがある

リヨンはローマ時代から栄えた、2000年以上の歴史を誇るフランス第二の都市です。フルヴィエールの丘には紀元前15世紀に建てられた古代ローマ劇場遺跡があります。ただ、この劇場が、今でも普通にライヴ等に使用されているのが、リヨンの街の特徴です。リヨンでは、古代ローマ人の暮らしの痕跡と、最先端のフランスのカルチャーが融合しているのです。

古代ローマ劇場遺跡の向こうに見下ろすリヨン市街

リヨン中心街のどこからでも見える ノートルダム大聖堂

古代ローマ劇場遺跡のすぐ近くにあるのがフルヴィエールのノートルダム大聖堂。リヨン中心街のどこからでも、フルヴィエールの丘の上にある特徴的な建物が目に入ります。内部はビザンティン様式の影響を受けた美しい金装飾やモザイクが見事です。「オリンピック・リヨン〜女子サッカー最強チームの真実〜」の中でUEFA女子チャンピオンズリーグ決勝戦の直前に、選手が、開催地のブタペストの街にある大きな教会についてフルヴィエールのノートルダム大聖堂と比較して会話しているシーンがあります。フルヴィエールのノートルダム大聖堂は、リヨン市民の生活から切り離すことができない存在です。

フルヴィエールの丘の上に見えるルヴィエールのノートルダム大聖堂

白い特徴ある建物には多くの観光客が集まる

荘厳な内部の壁面とトリコロールの蝋燭

フルヴィエールの丘の下には昔からの石造りの街並みが続き、世界中から沢山の観光客が訪れています。リヨンはフランスの都市ですが、ちょっとローマの街並みを連想します。リヨンの中心街はソーヌ川とローヌ川に挟まれた平地に広がります。この大きな2つの川がリヨンで合流しています。水の流れは世界と繋がっており、かつては横浜からリヨンに大量の生糸が運ばれました。リヨンは絹織物の街としても栄えた時代があり、1959年以来、横浜市と姉妹都市です。

ソーヌ川に架かる美しい橋

歴史地区と呼ばれる街並みは世界遺産

「ガストロノミーの首都」つまりリヨンは食の都

リヨンを代表する人物を挙げると、多くの人は、まず初めにポール・ボーキューズの名を挙げます。1965年より常に三つ星に輝き続けているフランス料理界の巨匠です。リヨン市内には東西南北にポール・ボーキュズのレストランがあります。観光案内所内には像があり、青果市場の名前は「リヨン中央市場ポール・ボキューズ」です。ほら、ここにポール・ボキューズが……。

あっ、絵でした。紛らわしいですね。リヨン市内では、このような不思議で楽しい騙し絵を発見できます。

Fresque des Lyonnais リヨンの歴史的著名人が描かれている 

Mur des Canuts リヨンで最も有名な騙し絵

ステーキ店にも迷わず入るべき

日本ではフランス料理に固定されたイメージがありますが、リヨンのフランス料理は堅苦しいものからカジュアルなスタイルまでバラエティに富んでいます。ただ、ほとんどの店は料理の量が多い。サラダにも肉たっぷりと。また、フランスに行ったら、ステーキ店、特にタルタルを試してほしいですね。生肉だけではなく、軽く表面を炙ったタルタルもあります。

人気店 Café Comptoir Abel のサラダ

ピンクのカバのマークでお馴染みのステーキチェーンHippopotamusのタルタル

それからマクドナルドのパスタのサラダが、びっくりするほど美味しかったです。スタジアムの近くにあります。また、フランス人はワインしか飲まない先入観をお持ちの方も多いと思いますが、ビールも飲みます。ベルクール広場の近くにあるスポーツパブMOS – Maker of Stories2階は、クレジットカードで購入したプリペイドカードで、好みのビールを選んで好きなだけ飲むスタイルです。あれぇ? スイーツの写真がない!? そうです。お腹いっぱいでスイーツの店を巡る余裕がないくらいです。

マクドナルドのサラダ

MOS – Maker of Stories 好みのビールを自分で選んで飲めるスタイル

「大切なことは、目に見えない…」

リヨンを代表する人物をもう一人挙げるならばジュニーニョ・ペルナンブカーノ……ではなくて、サン・テグジュペリにしておきましょう。リヨンで生まれたサン・テグジュペリの代表作は、あの有名な「星の王子さま」。ベルクール広場の近くに像が立っています。手前がサン・テグジュペリ。後が「星の王子さま」ですね。

リヨンは夜景でも知られる街

スタジアムと練習場の紹介の前に、新しいリヨンの街並みを紹介

ソーヌ川とローヌ川が合流するラ・コンフリュアンス地区は2003年から大規模な再開発が行われ、著名な建築家や緑地意匠家による多数の前衛的な近代建築が建設されました。日本からは隈研吾さんが参加し、ビルの設計をしています。

スマホで借りる電動スクーターはどこにでも乗り捨て可能なので街中に転がっている

ラ・コンフリュアンス地区は新しいリヨンの顔

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