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浦和レッズレディース清家貴子選手「ファン・サポーターに煽られる感じがあります」優勝インタビュー

Hiroki Watanabe / Getty Images Sport / ゲッティイメージズ

浦和レッズレディースが2020プレナスなでしこリーグ1部を制覇。MVPが誰であるか・・・?池田咲紀子選手?南萌華選手?菅澤優衣香選手?塩越柚歩選手?・・・回答者それぞれに答えがあるでしょう。ただ「2020プレナスなでしこリーグの浦和レッズレディースのサッカーを象徴する選手を一人挙げろ」と言われたら、かなり多くの人が、この選手を挙げるのではないでしょうか。

右サイドバック2年目のスピードスター、清家貴子(せいけ きこ)選手

清家貴子選手がトップチームでプレーし始めた頃の姿をよく覚えています。プレナスなでしこリーグにデビューの2014年はリーグ戦24試合出場8得点。直線的な高速ドリブルからのシュートでゴールネットを揺らしました。当時「日本の未来のエースストライカーは清家貴子で安泰だ」と思ったファン・サポーターは多かったと思います。筆者もその一人です。ところが、その後は途中出場が増え、得点機に絡むシーンが減少。エース候補としての存在感が薄れかけていました。しかし、転機が2019年に訪れます。就任した森栄次監督により右サイドバックにコンバートされたのです。そこから清家貴子選手が右肩上がりで急上昇していきます。EAFF E-1サッカー選手権2019でなでしこジャパン初出場、そして初得点も(フリーキックからのヘディングですが)。もちろん、ポジションは右サイドバックでした。

今回は清家貴子選手の優勝特別インタビューです。浦和レッズレディースに繋がった要因は?昨シーズンと今シーズンのプレーの違いは?何が清家貴子選手を成長に導いたのか?清家貴子選手の生の声をご覧ください。

浦和駒場スタジアムのファン・サポーターに煽られる

—COVID-19(新型コロナウイルス感染症)で集客に苦戦するクラブが多かった中、ホーム浦和駒場スタジアム3,899人のファン・サポーターの前で優勝。応援してくださるサポーター、浦和の街の皆さんについて、どのようにお考えですか?

清家–みなさん、サッカーに対する情熱を素直にぶつけてくれる凄い応援をしてくださってありがたいです。ドリブルをすると煽られる感じがあります(笑)スタンドの応援に乗せられますね。仕掛けるつもりがなくても、スタンドがウワッてなると「仕掛けてみようかな」ってなる感じはあります。これはホーム(浦和駒場スタジアム)ならではですね。

—優勝した2020シーズンは個人としてはどのようなシーズンでしたか?

清家–サイドバック2年目です。どのポジションにいたらいいかとか、サイドバックのプレーがわかってきたシーズンでした。1年目は、FWの名残があったというか「前に前に」という感じだったのですが、2年目はバランスを取れるようになってきました。でも、その分、自分の得点数では昨シーズンに及ばなかったので、悔しい部分もあります。

—森監督の指導についてはいかがですか?

清家–自分が今、一番、悩んでいるというか、どうしたら良いのだろうと考えていることに気付いてくれて、(解決策の)ポイントを伝えてくれます。「怒られる」「褒められる」よりも「学べている」感覚ですね。

—ご自分から質問しなくても監督からアドバイスしていただけるのですか?

清家–そうですね。そう感じます。

緩急をつける、役割分担がはっきりしてきた2020年シーズンと猶本光選手の存在

清家–1年目は自分の中では迷いというか「どうしたら良いのだろう」という(一瞬の)時間があってプレーしていた感じです。迷ったのは、特に守備のポジションですね。ここは相手にアタックして良いかとか、絞った方が良いかとか・・・。去年は割と、攻撃の面を重視して自由にやらせてもらったのですが、代表(なでしこジャパン)に行くと、守備の面でも厳しく言われ、学べたことがあります。これはチーム(浦和レッズレディース)でのプレーにも活かせています。

—なでしこジャパンのやり方と森監督の浦和レッズレディースで、サイドバックにのやり方に違いはありますか?

清家–対戦相手が違うので、やり方は全然違いますね。浦和レッズレディースの方が攻撃重視です。代表はバランス重視です。浦和レッズレディースではツーセンターバック(長船加奈選手、南萌華選手2人)を完全に信じ切って上がっています。代表だと対戦相手が大きかったり速かったりするので、リスクマネジメントの考え方から、ポジショニングというかカバーリングの方法が変わってきます。

—単純に戦術が違うということではなく、対戦相手によって方法の選択が異なるのですね。浦和レッズレディースでは左右に大きく幅をとってプレーしているように見えます。

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