J2全チーム戦力診断。「新戦力の期待値」「イチオシ選手」「予想順位」「戦力の格付け」を徹底大討論!
現場の監督たちから「今年のJ2は史上最高レベル」との声が聞こえてくる新シーズン。J2に精通する記者たちに集まってもらい、全チームの戦力診断を行なった。補強の出来・不出来から戦力の格付け、順位予想から注目選手まで徹底診断。J2全体の傾向と対策も盛り込み、2万字超えの特濃ボリュームでお届けする。
●座談会メンバー
藤原裕久(V・ファーレン長崎番記者)
前島芳雄(藤枝MYFC番記者)
佐藤拓也(水戸ホーリーホック番記者)
司会・構成 鈴木康浩(普段はJ3の栃木SC番記者)
■J2に存在する「18億の壁」。監督交代がほとんどない今季の戦いは「J2史上最高レベル」で最も熾烈になる!?
――今回は「J2全チーム戦力診断」をテーマに皆さんとあれこれ座談会をしてみたいと思います。まずは全体の順位予想をもとに戦力の全体像からお願いします。
藤原 よろしくお願いします。優勝は担当チームのV・ファーレン長崎です。これだけの補強をした以上、J1昇格ができなかったからチーム作りを考え直さないといけない局面だと思います。2位予想のジュビロ磐田はジャーメイン良は移籍したけれど戦力は十分。3位予想のモンテディオ山形は昨季躍進した既存戦力がしっかり残りました。4位予想のベガルタ仙台も大きな戦力喪失は中島元彦くらいでは。一番読みにくいのはJ1降格組のコンサドーレ札幌とサガン鳥栖です。札幌は人員整理をした印象、鳥栖も若手に切り替える作り直しの時期かもしれません。中位は団子状態が予想され、順位予想はめちゃくちゃ難しい。J2昇格組ではRB大宮アルディージャがどこまでいくか、これは楽しみの一つです。
――大宮の予想順位は皆さん似ていますね(3人が7位予想、1人が8位予想)。なぜか誰もJ1昇格プレーオフ圏に届かないという絶妙な一致を見せています。
佐藤 大宮の場合、これからどんどん強くなるのは間違いありませんが、嵐の前の静けさというか、すでに上位を争って奮闘しているチームに対する礼儀のような暗黙の意識が働いたのかも。
藤原 たしかに(笑)。
佐藤 自分はJ1降格組の3チームは自動昇格圏に入れませんでした。3チームとも監督が変わったので即昇格というのは難しいのでは。ただ、ジュビロ磐田は昨季、横浜F・マリノスで暫定的に指揮を執ったジョン・ハッチンソンが就任。外国人監督なので大胆な采配を見せてJ2を一気に勝ち抜く可能性はあるかも。優勝予想はV・ファーレン長崎ですね。圧倒的な戦力を残せたことが大きい。仙台については2年目の指揮となる森山佳郎監督によるチームの伸びを期待。森山監督が望んだ戦力をしっかり獲得した印象もあります。一つ言いたいのは、J2は上位と下位の2グループにはっきりと分かれるのでは? ということ。僕は「18億の壁」と言っていて、その事業規模を境に2グループにわかれていると見ています。今季からベンチ入りメンバーが9人(試合の登録メンバーは20人)に拡大される分、戦力差がよりチーム力に反映されやすくもなる。その中で、担当チームの水戸ホーリーホックの11位予想は2グループ目のトップへ行きたいという願望です。下位予想については、FC今治は昨季のJ3をマンパワーで勝ち上がった印象なのでやや厳しい。カターレ富山も紙一重でJ2昇格プレーオフを制して上がってきたので戦力的な厳しさは否めません。
前島 僕が磐田を優勝予想にしているのは単純に静岡びいきです(笑)。担当の藤枝MYFCを6位予想にしているのは、クラブがJ1昇格を目標に掲げている以上、最低でもJ1昇格プレーオフ圏内に入らないとチャンスがないので入れました。上位予想では長崎は自動昇格する力があると思います。ただ、個人的には山形の戦いぶりに魅力を感じているので3位予想になりました。
――一応、司会の鈴木の予想も伝えておきます。J1昇格争いは皆さんの予想と似ています。中位は大混戦でしょうね。降格予想は、一つは愛媛FC。昨季の後半戦の戦いぶりの苦しさとオフのCB2枚抜きは強烈な痛手です。今治と富山はチームスタイルと戦力を踏まえ厳しい戦いを予想しました。それでは、各チームの戦力診断についていきましょうか。北から南へ一気にいきたいと思います。
■北海道コンサドーレ札幌
順位予想 6位(藤原)/8位(前島)/5位(佐藤)/3位(鈴木)
戦力評価 A
注目選手:中島大嘉、高嶺朋樹、荒野拓馬
藤原 札幌は補強はほとんどしていないんですよね。昨季の終盤戦にめちゃくちゃ補強しているので入れる余地がなかったのでは。
佐藤 大きい補強はKVコルトレイク(ベルギー1部)から高嶺朋樹が戻ってきたくらいですね。
前島 昨季の夏場に外国籍選手も含めて7人も補強しているんですよね。
藤原 戦力の大きなマイナスはないので新任の岩政大樹監督の指揮次第では。長崎はこのプレシーズンに対戦したのですが、攻撃はいいけれど守備の感覚がまだ途上という印象は受けました。
佐藤 個人的には水戸から復帰した中島大嘉に期待しています。彼は昨季のJ2で圧倒的な個の能力を見せつけているし、岩政監督の信頼を勝ちとれば活躍できるのでは。岩政監督が戻ってきてほしいと熱烈なオファーを出したようですよ。
藤原 彼が国見高校の時代に取材しましたが、当時からフィジカル能力な凄さは抜きん出ていました。ただ、その後なかなか力を発揮できていなかったんですよね。
前島 昨季の前半戦は藤枝に所属していたのですが、ややプレーの連続性が欠けるという課題がありました。ワンプレーで終わってしまうきらいがあり、そこが藤枝のサッカーとは合わなかったように感じます。須藤大輔監督は選手の長所を生かすのが得意な人ですが、大嘉に関してはうまくいかなかったので、彼と相性の良い監督が必要かと思います。
佐藤 水戸では完全フィット、力を見せてくれましたよ。
――注目選手はいかがでしょう。三者三様で選手名を挙げていってもらえればと思います。
佐藤 僕はやはり中島大嘉ですね。理由は今出そろったものですね。期待しています。
前島 僕は先ほど名前も挙がった高嶺ですね。札幌からベルギーに飛び立って、ここで戻ってきたわけですが、ベルギーでプレーした成果をどれだけ発揮できるか。札幌は荒野拓馬がゲームを作るような印象はなく、その分も高嶺に期待が懸かると思います。それと札幌はミシャが長年率いていたチームをですから、そのチームを岩政大樹監督に渡したときにどうなるんだろうという興味はあります。
藤原 僕は鈴木武蔵に期待していたのですが横浜FCに移籍してしまったんですよね。なので、前島さんからお話もありましたが、荒野拓馬かなと。彼は札幌育ちだし、先日の長崎とのトレーニングマッチではゲームを作る役割もこなしていたんです。彼がこのチームを背負わないといけない立場なのかなと思っています。
※この続きは「サッカーパック」に登録すると読むことができます。
(残り 21463文字/全文: 24301文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ