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【森雅史の視点】2025年2月8日 富士フイルムスーパーカップ ヴィッセル神戸vsサンフレッチェ広島

富士フイルムスーパーカップ 神戸 0(0-1)2 広島
13:36 キックオフ 国立競技場 入場者数53,343人
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スーパーカップが今シーズンのJリーグ開幕を告げた。試合内容が今季を象徴するものになるかというとすべてそうではなかった。それは両チームがあくまでこの試合を調整のために使っていたからだ。来週から再開されるアジアチャンピオンズリーグのことを考えるとそうなるだろうし、また、お互い開幕前に手の内を読まれたくないという思惑もあっただろう。しばらく公式戦から遠ざかっていたという、試合勘が戻っていない部分もあった。

 

一方で、試合のマネジメントは両チームの選手、審判を含めて素晴らしかった。多少のぶつかり合いは容認され、スピーディーにゲームが進む。選手は倒れてもすぐに立ち上がってプレーする。アクチュアルプレイングタイムを延ばそうという意図が明確に見え、サッカーの面白さをさらに高めてくれた。

 

試合は12分、広島は右サイドの中野就斗のクロスをトルガイ・アルスランが頭で合わせて先制。さらに70分、菅大輝が蹴ったCKを荒木隼人が打点の高いヘディングで叩き込んで追加点を奪った。神戸の決定機は55分。汰木康也のパスを山内翔がシュートするが、大迫敬介がブロック。さらにこぼれ球を冨永虹七が狙ったが、今度は塩谷司が身を挺して防いだ。

 

この最初の大迫のセーブのとき、汰木がマイナスのパスを出した時点で、大迫には止まるか前に出るかという選択肢があった。そこで大迫は足を止め、次のシュートに対してしっかり対応することが出来た。一瞬の判断が勝負の分かれ目だったが、大迫は「同じような場面をキャンプから取り組んできましたから」と、実はトレーニングどおりの対応だったという。去年のベスト11GKは今年も好調を維持しているようだ。

 

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート

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