地方クラブが難しくなっている時代の中で感じた「J2降格の恐怖感」(えのきどいちろう)
『タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。
考えないようにしていた悪夢の1週間(えのきどいちろう)えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』百四十二段目
※本稿は松橋力蔵監督の退任発表前に入稿したものです。内容に一部、古くなった箇所がありますが、著者の葛藤を生のまま残すため、そのまま掲載することにします。尚、結論は一切、変わりません。新潟は何としてでもJ1で生き残る必要があります。
■頭をかすめたJ2降格の恐怖感
2024年シーズンのアルビレックス新潟はルヴァンカップで初タイトル獲得に手がかかり、その熱闘を多くのサッカー関係者、ファンに賞賛(日本代表 森保一監督「ルヴァンカップ史上最高の試合」)される一方で、リーグ戦は9/14の第30節湘南戦以降、9試合勝ちがなく、12/4最終節浦和戦のスコアレスドローでどうにかJ1残留を確定させるという尻つぼみのシーズンだった。松橋力蔵監督は本稿執筆現在、去就不明であり、来季のチーム編成も見えて来ない。松橋監督の評価はとても難しい。ポゼッションに重きを置いたスタイル構築が高く評価されるも、シーズン終盤の手詰まり感、閉塞感もまた看過できない事実だ。僕個人は松橋監督の続投を望んでいるけれど、もし、J2落ちさせてしまっていたら‥、と思うとただただ恐怖である。
僕は今回、その恐怖の話から始めたい。
どんなに強気に振舞っていたアルビ関係者、サポーターでも9月中旬を最後にぱったり勝ちから遠ざかると、J2降格の恐怖感は頭をかすめる。特に36節、ホームでG大阪に負けてからの1週間は悪夢だった。皆、不安は感じつつ、「ルヴァン決勝であんないい試合ができたんだから大丈夫、ホームで決まるさ」とタカをくくっていたのだ。アルビは引き分けでも残留確定、磐田は勝たないと望みを繋げないという圧倒的に有利な条件だった。それが新潟負け、磐田ドタンバPK勝利で最終節に決着が持ち越されたのだ。アルビは結局、今季ホーム4勝で終わる。これは途中解任された吉田達磨監督(2016年シーズン、9月27日解任)よりも酷かった。吉田達磨氏はホーム15試合で4勝である。今年はホーム19試合で4勝なのだ。
悪夢の1週間、考えないようにしていたが、「またJ2からやり直すとしたらどうなるだろう」と暗澹たる思いにかられた。J2は以前のJ2ではない。J1昇格プレーオフは準決勝が終わり、長崎、山形と上位チームが敗れていた。特に長崎は自動昇格圏まで勝点1差という僅差でプレーオフにまわった強豪だ。強力な外国人FWを擁し、はっきり言って強化費は新潟の比ではない。ピーススタジアムも絶賛を博し、むちゃくちゃ勢いがある。そんなところがJ2確定なのだ。新潟は降格したら松橋監督解任(辞任?)があり得る。FC東京からオファーの新聞辞令を心配する以前に、責任を取って退任というコースが現実味を帯びるのだ。で、そうなるとサッカースタイルの継続はどうなるかという問題がある。型崩れしてしまうのではないか。選手も流出しかねない。「アルベル→力蔵」路線で見ていた夢が消えかねない。僕は今回落ちたら(J2沼にはまって?)時間がかかる気がしていた。地方クラブが浮かび上がるのはもはや簡単なことじゃない。
※この続きは「サッカーパック」に登録すると読むことができます。
(残り 1373文字/全文: 3032文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ