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【森雅史の視点】2023年4月1日 J1リーグ第6節 湘南ベルマーレvsガンバ大阪

J1リーグ第6節 湘南 4(4-0)1 G大阪
15:03キックオフ レモンガススタジアム平塚 入場者数 11,966人
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G大阪にミスが多発したためとはいえ、21分に始まり38分、40分、42分と前半だけで4ゴールを決めた町野修斗は日本代表にふさわしい働きを見せた。その大量得点もだが、特に称賛しておくべきは試合の流れを完全にひっくり返したことだ。62分に交代したが、G大阪イッサム・ジェバリの得点が交代後だったことを考えると、ピッチを支配していたのは町野だったと言えるだろう。

ただし、「ひっくり返した」ということは、それまではG大阪のゲームだったということだ。湘南が出てこようとするスペースを埋め、逆に湘南の空洞を作り出し、21分までは試合をG大阪が支配していた。また後半システムを変更して再び主導権を握るとPKは失敗したものの再びチャンスを作り出していた。

21分の失点でG大阪は急に自信を失ったようにプレーし、動きがバラバラになって距離感がおかしくなって湘南の飛び出しを抑えられなくなった。戦術面に問題はなく堂々と相手を追い詰めていたのに、先制点を許すとそれまでがウソのように慌てだしてパニックになったのは最近の低迷によるメンタルの問題のように思えた。

この日、最も素晴らしかったのは町野で間違いない。だがその次は前半4点をリードされたのに、後半声を切らさなかったG大阪サポーターだ。劣勢に立っても励まし続けてくれる味方がいるのだから、G大阪の選手たちは焦らずプレーしてほしい。そうすればもっと戦術面の面白さが目立つサッカーになるはずだ。

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート

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