「意思がないならボールは持たない方がいい」風間八宏はなぜJリーグのポジショナルプレーに警鐘を鳴らすのか?
近年、GKから相手ゴール前までいかにしてボールを運ぶのか、多くのパターンが生み出され、方法論も確立してきた。ただ、それゆえ相手の対策も進み、ビルドアップに行き詰まるクラブが後を絶たない。Jリーグでもボールを前に運ぼうとしても運べないシーンが数多く見られる。どうすればビルドアップがうまくいくのか? 技術論の総本山である風間八宏氏にその答えを求めた。ボールを前にうまく運べないと悩むすべてのJクラブへの提言、ぜひ耳を傾けて欲しい。(構成/西部謙司)
▼目次
・「ビルドアップしたいけどつなげない問題」の解決法は…
・答えを持っていないならボールは持たないほうがいい
・ポジショナルプレーの考えに頼っていてはうまくいかない
・なぜアルビレックス新潟のパスワークは柔らかいのか?
■「ビルドアップしたいけどつなげない問題」の解決法は・・・
–ゴールキックのルール変更などもあり、Jリーグでもゴールキックからパスをつないでいこうというチームが増えています。一方で、上手くつなげずにかえってピンチになっている場面もよく見られます。この「つなぎたいけどつなげない問題」を解決するにはどうすればいいのでしょうか。
風間 いつボールを奪われているのか? そこをまず考えないといけないですね。分けると3つあって、奪われる原因として、我々が定義する「止める」ができていない場合。そして「運ぶ」ができていない。もう1つはパスの途中でとられる。この3つでしょう。
–自陣からボールを運び出そうとするとき、最初に考えるのがいわゆる「ポジショナルプレー(ボールを前に運ぶためのポジショニングの概念)」になっている気がしますが、そこではないと。
風間 相手のいない場所にボールを動かしていくことを考えがちなのですが、それはもう通用していませんよね。通用しているならもっと勝ち続けるチームがあるでしょう。簡単に言うと、マンマークすれば対処できますから。
–いわゆる可変システムで相手を惑わしてフリーな選手を作ってというやり方は、当初は相手も戸惑いがあって効果がありました。しかし、もうそれはすっかり普通になってしまっているので「形」で優位性を作ろうと思っても難しい。
風間 だから「質」なんですよ。パズルをやるのもいいですけど、合わされてしまえば結局は質の問題になる。
■答えを持っていないならボールは持たないほうがいい
–どういう質でしょうか。
風間 「止める」なら、「何でもできる場所」に常にボールを置けるかどうか。蹴るだけでも運ぶだけでもない、「何でもできる」ところに一発で置けるか。「運ぶ」のなら、ボールが自分の体から離れてしまうのか、離れていないのか。いつ蹴るのか相手がわかってしまうのか、わからないのか。そういう質を持っていないとボールはつながらなくなります。まずはそうした選手の質。そしてどれだけの頻度で相手ゴール前へ行くかの目標設定。この2つしだいでパスを回せるかどうかは決まります。
–選手の「質」があればボールは奪われない。1人1人が奪われなければボールはつながっていくということですね。目標設定のほうはどういう意味があるのでしょう。
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