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【六川亨の視点】2023年2月17日 J1リーグ 第1節 川崎フロンターレvs横浜F・マリノス

J1リーグ 第1節 川崎F 1(0-2)2 横浜FM
19:04キックオフ 等々力陸上競技場 入場者数 22,563人
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昨シーズンは勝点1の差で優勝した横浜FMと、3連覇を逃して2位に甘んじた川崎Fとの“金J”開幕戦。スコアこそ12の僅差だったものの、チームの完成度の違いが明暗を分けた試合だった。

 

全盛時の川崎Fは、対戦相手が前線からプレスに行っても巧みなパスワークで剥がされた。しかし中村憲剛の引退や主力選手の相次ぐ海外流出などで世代交代を余儀なくされた。そんな川崎Fに、王者の横浜FMが試合開始から襲いかかった。ボールロストと同時に前線からの果敢なプレスで川崎Fのパスワークを分断。ほとんどワンサイドゲームで、4分にはGKチョン・ソンリョンへのプレスからミスキックを誘発し、西村拓真が無人のゴールに先制点を流し込んだ。

 

そんな劣勢の流れを変えたのがベテランの家長昭博と山根視来だった。右FWからボランチに落ちた家長は、ワンタッチでのシンプルなパス交換から攻撃のリズムを取り戻す。山根もサイドではなくセンター寄りに攻め上がり、中盤でのパス交換に参加することで横浜FMのプレスをかいくぐった。

 

鬼木達監督は「やって欲しいことを選手はやってくれた」と評価し、「やって欲しいこと」とは「ああいう失点をしたけど怖がらずに中央でボールを動かしていくこと」をあげた。風間八宏前監督も言い続けたことであり、『ボールを握って剥がすサッカー』は川崎Fの得意とするスタイルでもある。しかし現状では“再構築中”と言ったところか。

 

後半こそ多くの時間帯を横浜FM陣内でプレーしたが、「12点入り、相手のホームだし、(川崎Fが)どんどん前に来た」(ケヴィン・マスカット監督)ため、横浜FMがブロックを作って守備を固めた結果でもある。

 

むしろ、この日の試合を見た他の対戦チームは、川崎Fのパスワークを恐れずに前線からプレスをかけて、先制点のようなミスを誘発しようとするのではないだろうか。前線で起点となれるレアンドロ・ダミアンと小林悠もまだ練習でボールは蹴れていないそうだし、家長もキャンプ中のケガで横浜FM戦は45分が限度だった。

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。

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