J論プレミアム

ワールドカップが終わり、2022年が暮れていく(海江田哲朗)

タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。

 


目指すは2023年元日、国立競技場でのファイナル。大学サッカー最後のタイトル、インカレでの熱戦が繰り広げられている

 

ワールドカップが終わり、2022年が暮れていく(海江田哲朗)[えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』]九十五段目

 

■流行の言葉がグラウンドに響く

身体の芯から冷える寒さだった。列島を寒波が襲った12月18日、僕は相模原ギオンスタジアムにいた。来季から東京ヴェルディに加入する大学生を追って、インカレ(全日本大学サッカー選手権大会)を取材しているのだ。

この日の目当ては関西学院大のストライカー、山田剛綺である。この俊敏なアタッカーがプロの世界でどう躍動するのか。緑のシャツを着てプレーするのをイメージしながら、未来視点でゲームを見られるのは楽しさ2倍増しである。

ゲームは関西学院大が山田のゴールで常葉大を下し、準決勝に駒を進めた。こうして勝者と敗者に分かれ、トーナメントの頂点が見えてくるにつれ、今年も終わりなんだなあと実感が迫ってくる。

少し前は、高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2022 関東の最終節に足を運んだ。東京ヴェルディユースが5‐2で鹿島学園高に勝利した一戦。高校サッカーには集大成の選手権が年末年始にあるが、クラブユースの選手たちはこれが最後である(Jユースリーグの日程が残ってはいるけれども)。このなかに来季トップに昇格する選手はいない。東京Vが強化の軸を自前育成路線から大卒新人獲得に移している事情もある。

ゴールを決めるたびに「ブラボー! ブラボー!」の声が響き渡った。やはりワールドカップの与える影響力、パワーはハンパではない。

大学に進み、さらなる成長を期す岩崎壮真は言った。
「僕が初めて観たのは14年のブラジル大会でした。あらためて、ワールドカップってすごいんだなと。サッカーに全然興味のなかったクラスメートまで、代表の話をしてますからね。自分もあの舞台に立ちたいという気持ちがより高まりました」

 

■オランダ三銃士に憧れて

今回が初めてのW杯体験という人もいたはずだ。下馬評の低さを覆してドイツとスペインを倒し、2大会連続で決勝トーナメントに進出したのが入口というのはどんな気分なんだろう。初期設定や基準の置き方からして、前時代とはまるで変わってくる。

僕のファーストインパクトは、1990年のイタリア大会だった。

 

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