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どこよりも早すぎるJ1全クラブの陣容予想【札幌、鹿島、浦和、柏、FC東京、川崎編】

 

まだ続々移籍の動きがあるなかで無謀にも来季の陣容を予想しようというこの無理ゲーゲンプレスな企画。西部謙司さんと河治良幸さんというサッカー界きっての戦術通であるライターお二人に無茶ぶりして大胆予想していただきました。ストーブリーグのお楽しみということで妄想込みでお届けします。
【主な内容】
●北海道コンサドーレ札幌、ミシャ式の功罪。大いなるマンネリの未来は?
●現状はややチグハグな印象の鹿島アントラーズ。柴崎岳はラストピースか?
●新監督のスタイルで生き返りそうな浦和レッズの選手、厳しそうな選手とは?
●優勝も狙えそうな柏レイソルの豪華陣容。堅守速攻スタイルからの大転換も?
●真価が問われる改革2年目のFC東京。まだ見えないアルベルサッカーのマスターキーとは?
●川崎フロンターレの弱体化に歯止めがかからない。求められる補強戦略の再考

※対談の内容は12/7時点、IN&OUTの情報は12/12時点
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■崩れつつあるマリノス、川崎の二強体制。一角を崩すのは?

――まず来季のJ1の全体的な展望は?
河治 僕はワールドカップによる変化がどれくらい見られるか気になりますね。たとえば、日本がやったような10分間だけでも人数をかけて攻めて点をとるような効率的な戦い方をリーグ戦でも何チームか出てくるのかなと。

ボールをスムーズに回すことはヨーロッパに比べてJリーグも負けてないけど、ボールを奪いにいくときの鋭さとか強度は足りていないというのは権田修一や酒井宏樹などが言っていました。ワールドカップを体感した選手がJリーグに戻って還元できれば、より強度の高いプレーが見られるようになるかもしれないですね。

上位争いということで言えば、横浜F・マリノスと川崎フロンターレが二強みたいな感じになっているところにサンフレッチェ広島や鹿島アントラーズといった2番手グループのところがどれだけ迫れるか。FC東京はアルベル監督が2年目ですが、「1年目は批判しないでください」というようなことをってたんだけど、ということは2年目は厳しく見ていいという裏返しになる。それぞれ2年目のサイクルに入ったときに何をプラスしていけるのかみたいなところもポイントですね。

あとはやっぱり浦和レッズ。スコルツァ新監督になるので、ポーランドでやってたサッカーをそのまま持ってくるのか、それともある程度Jリーグにアジャストしていくのかというのも見どころになりそうですね。

――リーグ全体で監督交代がまだ少ないですよね。

河治 逆に言うとシーズン始まって早い段階での監督交代があるかもしれないですね。それは当然、就任2年目以降の監督で上積みを期待されるなかでいきなりつまづくと、第6節ぐらいで解任されるようなことが起こりうる。

さっきの二強の話で言うとその構図は崩れつつあって、とくに川崎は多少おつりでやってるところがあった。さらに谷口彰悟がいなくなる。大島僚太はスペシャルだけど、1シーズンをフルで戦えないので、出ないときのギャップが大きい。

マリノスはいつも新陳代謝が多少あるチームですが、昨年、一昨年に比べたらまだそこまでの変化は見られない。岩田智輝だったり、藤田譲瑠チマだったり、欧州移籍するかもしれない選手もいるので懸念材料ですが、国内移籍はマリノスで主力になりきれていない選手が出てるイメージなのでそこまでのダメージはないのかもしれないです。

――西部さんは来季のJ1どうでしょう?
西部 基本的にはサッカーのやり方は2022年の延長になる気はしますね。前から取りに行くというスタイルが多いところは急には変らないと思います。つなぐチームが増えてきたんで前から奪いにいくチームが当然増えるという流れですね。

 

◆北海道コンサドーレ札幌◆
■ミシャ式の功罪。大いなるマンネリの未来は?

 

 

―では、クラブごとに?ていきます。北海道コンサドーレ札幌ですね。

西部 まぁ高嶺朋樹(柏に移籍)だよね。抜けたところをどうするか。

河治 高嶺のプレーを見ているといわゆるミシャ式に動かされてるっていう感じもあってそこから一度外れたいんじゃないかなっていう印象は受けてます。もっと違うサッカーの中に身を置きたいと。もしかしたら日本代表に入るような選手になりたいと考えているのかなと。名前が高嶺だけにやっぱ高みを目指したいみたいな。

――なるほど(笑)。

河治 札幌でやっているとミシャ式の中での機能性みたいなところになってっちゃう部分もあって、言葉は悪いですけど若干小粒化してしまう傾向がある。金子拓郎にしても田中駿汰にしても。小柏剛とかはどうなるかわらかないけど、チームとしては機能していくので悪いことじゃないんですけどね。個の成長を考えたときに、もう3年なので新しい刺激が欲しいなと思っていたときに柏からのオファーだったのかなと。

西部 札幌だと3バックの一角に使われたりするので、普通にボランチとしてプレーした場合の力を見せたいということかなと。

河治 それはあるかもしれないですね。

西部 守備も強いし左足のロングキックの精度は多分J1でもトップクラスだと思うんで、実力のある選手ですよ。なぜ、それほど順位的にも変わらない柏に移籍するのか不思議な感じがしたんですけど、そういう思いがあるのかなと。

河治 これはマリノスの岩田智輝とかにも言えるんですけど、最終ラインで使われるのは、Jのクラブでやる分にはいいんですけど、代表候補に入ってきたときに、このサイズの選手が後ろでやってることって結構デメリットになりやすいんですよね。そのジレンマがある。浦和にいたときの遠藤航なんかもそうだったんですけど、やっぱりスペシャルをある程度出せるポジションでやることによって自分の評価を上げてくってのはあるのかなと。もしヨーロッパでやるならボランチで勝負するしかないだろうみたいな。

西部 高嶺は代表に入れる力あると思うんですけど、目指すのが日本代表なのかという感じはあるんですよね。

―力的にはまだ足りないという意味ですか?

西部 いや、そうじゃなくて。目指すのが本当に日本代表なのか?

―海外とか?

西部 海外も含めて、そこまで日本代表に特化しているのかわかんないですけどね。

河治 五輪の候補に選ばれたときにそういう意識があったのと、海外を目指そうというときには、さっき言ったとおりCBをやっていることのジレンマがあったのかなと。

―今のところ実績のある選手の新加入は浅野雄也だけですね。

河治 高嶺のポジションに関してはユースからの昇格もなさそうなので、やっぱり補強しかないですね。

※その後、神戸から小林祐希の加入が発表される。

―興梠慎三が浦和に復帰という報道もいくつか出ています。

河治 CFに関してはシーズン中盤ぐらいからキム・ゴンヒが結構いいエビデンスを見せていたので大きなマイナスにはならないかなと。ただ、新加入の浅野や中島大嘉とかがいるにしても仮にガブリエル・シャビエルと興梠がいなくなると頭数的には足りないのでここももう1枚加える必要はあるかなと。

札幌はここ2、3年、入れ替わりが少なかったじゃないですか。鈴木武蔵がいなくなったことはあったにせよ。だから比較的に動きのある年になるんだろうなと思っていたんですけど今(12月8日時点)のところはまだまだ…。

西部 もう変わんないといけないタイミングではありますね。ミシャはわりとメンバー固定する監督なので。固定したまま回す感じだと、マンネリ化してどこかでガクっと落ちる可能性はあるので、新陳代謝というか世代交代をはかりたいんじゃないかなと思いますが、現状の補強を見ると進みそうもないなと(笑)。

河治 やや動きがゆったりなのか、もしかしたら交渉中のところが多いからなのか。

西部 これから進む可能性はまだありますね。

河治 第一候補でうまくいかず、第二候補などに切り替えている可能性も。

西部 今のままだと、まだこのままやるのか? という印象(笑)。

―システムもこのままの感じですかね?

西部 システムも何もないから、このチームは(笑)。人もここのポジションやるとは限らないし、ミシャのスタイルは決まっていて、そのやり方をわかっている人たちで構成されて、ずっと同じやり方なのでマンネリ化しやすい。いや、もうしてると思う、たぶん(笑)。だから、変えなきゃいけないんだけど、見てると今季ではないのかなっていう。

河治 だから上乗せがちょっと見えてきづらいですけど、その中で例えば福森晃斗のところに中村桐耶といったように、成長中の選手が何人かいるので、序列を覆してくれば底上げになる。岡村大八とかもね。田中駿汰とかすごいもったいない感じはしますね。身長があるけど、CBだとやや強度不足なので、前向きにボールを獲りにいくのが良さそう。フィードも抜群のセンスを持っているので彼こそ長身のボランチとして見てみたいですよね。
宮澤裕樹、福森、田中だと後ろで構えたらほぼやられちゃうんで(笑)、中村桐耶とか岡村大八は強さを持っているので、期待したいですね。彼らが台頭して田中を高嶺や駒井の位置に上げる。

西部 それか、普通に考えれば荒野拓馬か深井一希を先発で使うことになりそうですね。

河治 そうですね。ただここもまだちょっと駒不足だと思いますね。

―駒井善成はずっとこの場所でいいんですか?

西部 駒井はここもやるし、トップ下もやるし、場合によっては選手交代で3バックに入ることもありましたね。少しでも守備のできる人が後ろに下がるんです(笑)。

河治 駒井はミシャとともに生きる感じですよね。

―全体的な並びは左WBはルーカス・フェルナンデス。

西部 右もできる。

―右は金子?

河治 金子もどっちでもできるけど、スペシャルな部分を出していくには僕としては右WB。

西部 金子はJ1でも毎年のようにドリブル王だから一対一で抜くというところ。一個前でもやれるし。基本的にはドリブルですよ。

―シャドーは青木亮太もありますよね。

西部 ある。

河治 青木もいいですよ。もともとケガがちだったところも改善されて、普通にスタメンになる可能性は十分ありますね。

―トップはキム・ゴンヒ?

河治 か、中島大嘉もそろそろ主力を狙うところにいって欲しいですよね。

 

◆鹿島アントラーズ◆
■現状はややチグハグな印象。柴崎岳はラストピースか?

 

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