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「最後の最後までわからない」田坂和昭が占うJ2戦線の結末。ラストに爆発しそうなクラブと一歩間違えたクラブ

 

これまで大分トリニータ、清水エスパルスなどで指揮をとり、昨季まで栃木SCの監督を務めた田坂和昭。昇格の難しさも残留争いの苦しみも経験している、文字通り「修羅場を知る男」に熾烈なJ2戦線の結末を占ってもらった。泣いても笑っても残り3試合、各クラブの命運はどうなるのか?
前編はJ2のほぼ全クラブを総評してもらった。
(インタビュー・構成/ひぐらしひなつ)

※インタビューは9月下旬に行いました。

【前編の主な内容】
・すごくいいサッカーをしているアルビレックス新潟
・個々のクオリティーの高さが目立つ横浜FC
・一体感を感じるファジアーノ岡山
・進化する大木サッカー、ロアッソ熊本
・まだどちらに転ぶかわからないベガルタ仙台
・大分トリニータは「何かすっきりしない」からこそ秘める可能性
・苦しんだ分、爆発の可能性を秘めるV・ファーレン長崎
・横浜F・マリノスのJ2版のように華麗なモンテディオ山形
・なぜかこじんまりした徳島ヴォルティス
・苦労してもスタイルを貫くツエーゲン金沢と水戸ホーリーホック
・ちょっともったいない感じのジェフ千葉
・中位以下に低迷のチームに共通する現象
・残留ラインは42か45? 熾烈な残留争いの行方

 

■戦術はあくまでも「やり方」でしかない

――昨季かぎりで現場を離れ、すっかり姿を隠していらっしゃいますが(笑)、どうお過ごしですか。

いくつかオファーもいただいていたんですが、今年はいろいろ勉強したいことがあったので、シーズン途中でそれを受けてしまうとちょっと中途半端かなというところがあったんです。あとは気持ちの上でも、いまはやるタイミングじゃないのかなと思って。またタイミングがあれば、考えながらやりますよ。

――監督業に対する情熱は変わらずあるんですか。

まだ51歳なので、もちろん(笑)。ただ、こればかりはタイミングと運もあるので。でも全くやらないというわけじゃないです。だからメディアに出るような仕事はほとんどしていません。

監督をやる準備として、この1年はいろんなことを勉強したり、資格を取ったりしています。つい先日も、僕の同郷の先輩でもある畑喜美夫さんのボトムアップ理論の資格を取りました。12人だけが認定される「エキスパートコーチ」というのがあって。内容としては組織作りなんですけど。僕が監督をやるとしたらそれも必要だと思ったので、そのノウハウを今年はちょっと勉強したいなと。

――では次に現場に戻るときには、これまでとはまた違った感じになるんですね。

全然変わっていると思います。戦術はあくまでも「やり方」であって、まずその前にどういう組織作りをするかということ。地域色なども踏まえながら組織作りをして、あくまでもその次なんですよね、戦術というのは。

 

■すごくいいサッカーをしている新潟と一体感を感じる岡山

――では今日は、そういう視点も踏まえながらJ2の終盤戦についてお話をうかがいたいと思います。今季のJ2は御覧になっていますか。

どこかのチームをずっと継続的に見ているという感じではなくて、J1もJ3も幅広く見てますよ。その中でやっぱりすごく目についたのは、新潟がすごくいいサッカーをしているなということ。何がいいかというと、速い。昨季、僕が栃木を率いて戦ったときより攻撃が速いし、トランジションも帰陣も早い。(松橋)力蔵さんが前任のアルベルト監督のサッカーにプラスアルファした感じですね。かつて森保さんがミシャのサッカーに守備面の整備を加えて広島を優勝させた、あれと少しダブるなと思って見ていました。

――トランジションを早くするためには、選手に迷いがあったら難しいですよね。

チームとしての基準、どういうところで切り替える判断をするかという共通認識があるんだと思います。ちゃんとGKからボールをつないで、しっかりチャレンジしていますからね。相手にプレッシャーをかけられても蹴らずに距離感よくつないでいって、ミスしたらすぐ切り替えて、また奪い返してショートカウンター。そういう流れを選手がよく理解してやっている。そして、それにマッチした選手が揃っていますよね。だからやろうとしていることのクオリティーも高い。そういう感じを受けます。

横浜FCもそうだと思うんですよ。選手の個の力も生かすかたちで守備の強い選手が後ろに並んでいて、そこからどちらかというとシンプルに攻めて、効率よく点を取っています。個々のクオリティーの高さが目立ちますね。

――その1位、2位のチームを、いま岡山がすごい勢いで追走しています。

岡山は、昨季まで栃木にいたCBの柳(育崇)が移籍したので、ときどき見ていました。柳は新潟で全然試合に出ていなかったのを僕らがレンタルで獲得して、栃木バージョンにして使って、あそこまで伸びましたから。

――その“栃木バージョン”が岡山でも継続されている感じですね。

素直だし、リスタートの攻撃とか、守備で跳ね返すとか、自分の出来ることを一所懸命にやれる選手です。そういう面でも、岡山でどうかなと思いながら見ていたんですよ。あとは木山(隆之)が監督をやっているので。岡山も前線にタレントが揃っているし、真ん中のラインがしっかりしていますよね。自動昇格圏まで食い込めるかどうかはわからないですけど、安定感があります。

――今季、木山さんが監督に就任したときに、過去の岡山の手堅さに木山さんの手が加わると強くなりそうな気がしたんです。

あそこは原さん(原靖強化部長)が、2011年に木山がヘッドコーチだった清水で一緒にやってますからね。そういうつながりは、監督にとってはかなり重要だから。傍から見ていて、選手、スタッフ、フロントの一体感があるなと感じますね。それが勢いにつながるんじゃないかな。

 

■プレーオフで爆発する可能性のあるチーム

――今季J3から昇格してきた熊本も好調ですね。

 

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